見出し画像

#10 アンス・ファティ取扱説明書

バルサの未来。神童。こう評されるのは現在17歳、我らFCバルセロナの左エストレーモ、アンスファティだ。先日のネーションズリーグ、ウクライナ戦で17歳311日で史上最年少ゴールを記録し、またまた注目を集めている。今回はそんな彼の特徴と来季の起用法について考察する。

●経歴

(引用:Wikipedia)

ギニアビサウ出身の彼は、セビージャの下部組織を経て、2013年にFCバルセロナのカンテラ(ラマシア) に入団した。ラマシアでの彼と久保建英の共闘を覚えているクレも多いのではないかと思う。

2019年8月25日、ラ・リーガ第2節のベティス戦でトップチームデビュー。16歳298日でのトップチームデビューはビセンテ・マルティネスに次ぐクラブ史上2番目の若さであった。
8月31日、第3節のオサスナ戦にてカルレス・ペレスのクロスボールに頭で合わせ、トップチームでの初ゴールを挙げた。16歳304日でのゴールはクラブ史上最年少ゴールであり、リーガ・エスパニョーラ史上3番目の若さであった。
9月14日、カンプノウでのバレンシア戦では先発出場。ホームでのクラブ史上最年少の先発出場を果たした選手となると、この試合で1ゴール1アシストを記録し、カンプ・ノウでの最年少得点者となり、またリーガ・エスパニョーラ史上最年少で1試合中に得点とアシストを記録した選手ともなった。
9月17日、UEFAチャンピオンズリーグのドルトムント戦に先発出場。これは16歳321日での出場であり、クラブ史上最年少CL出場選手となった。
12月10日のインテル戦では途中出場後僅か1分で決勝ゴールを決め、17歳40日でのCL史上最年少得点を記録した。
2020年2月2日、レバンテ戦で2ゴールを決め、リーガの最年少マルチゴール記録を更新した。
9月3日、UEFAネーションズリーグのドイツ戦で、スペイン史上2番目の若さとなる17歳284日でフル代表デビューを果たした。
9月6日、ウクライナ戦で、スペイン代表史上最年少の若さとなる17歳311日でゴールを挙げた。

こんな記録尽くめのシーズンとなった訳で、数々のレジェンドや現役選手の多くが彼のポテンシャルを大きく評価している。
ルイスエンリケ(代表監督)「彼は成熟しすぎ」
フェラントーレス(同代表) 「彼は自分の思い通りにプレーしている、彼はモノが違う」
セルヒオラモス(同代表C)「アンスやデビューした若い選手達の努力を祝福したい」
彼のポテンシャルを認めない人はいないだろうが、彼の一体どこが凄いのだろうか?

●プレースタイル
左エストレーモでも、彼の主戦場はウイングレーンと言われる大外であり、昨季左WGを多く勤めたグリーズマンとは丸っ切りタイプが異なる。
大外に張り出しドリブルを開始するのが得意で、アイソレーションでは右足でカットインを見せながら縦か中かを判断しているように見える。以下に少し個人的に感じたことをまとめてみた。

ドリブル
・相手の重心を見極めて抜く
・ボディフェイントは使うが、何の意味もない馬鹿が喜ぶようなフェイントは使わない
・受ける前の重心移動で突っ込んできた敵を鮮やかに抜き去るパターンもある
・カットイン中心の為右サイドはできない
・精度が抜群
・抜いた後に身体を前に入れるのが上手い

ポジショニングと動き出し
・基本はサイドに張っているが、斜めの動き出しでメッシからのパスを引き出せる
・ハーフスペースなどでも受けるが、スピードに乗りにくい分破壊力は減少する
・オーバーラップよりも内側にサポートがあったほうが活きるタイプ
・最終局面でゴール前に進出し、得点に絡むのは上手い。数字が物語っている(リーガ約1000分で7得点)

キック
・シュートはかなり上手い
・センタリングは中を間接視野で確認しているように見えるが、長い距離の精度は低い
・左サイドで縦に抜いて体勢が苦しくても腰を捻ってマイナスにも出せる
・驚くようなスルーパスはまだない
・左足のキックはまだまだ

フィットネス
・90分は持たないのでほとんど途中交代(無理をさせていないという表現が正しい)

基本張って勝負するドリブラーということだが、来季はどのような起用法になるのだろうか?

●来季の起用法

marca紙による来季予想(引用:marca)

今季も彼の本職である(4231or433の)左エストレーモ起用が濃厚である。彼だけの事を考えれば、彼を左の大外、アレニャを左のハーフスペース、LBを後ろからサポートする選手にするのがいいと思う。得意な大外で彼のドリブルを活かすと共に、アレニャのニアゾーンランで選択肢を与え、LBがバックパスを担保してあげられる。

しかし、バルサのLBの1番手はアルバである為、その布陣を敷くのは少ないだろう。アルバと同時期用された時にファティに求められるのは、アルバとレーンを被らずにポジションを取れるかどうか?
アルバはファティの位置を見て内側を走ってくれることがあるので、基本張っていても大丈夫だが、ハーフスペースに誰もいない時、全体の構造を理解し、神出鬼没的な感じで顔を出せるかどうかが大切だ。あとはそこでどのくらいの違いを見せられるか?

今季も途中出場、途中交代であまり無理なくプレーさせてもらえると思う。そんな彼がより多くのプレー時間を確保するには、このような柔軟なポジショニングとウイングレーン以外でのプレーの進歩が鍵になると考える。ライバルであるデンベレはその両方のレーンでプレーできるからだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?