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製作方法を意識した形状検討とか

家族が「買い置きの固形石鹸があるのだけれど洗面台に置き場が無い」というので、こんなものを作りました。

ゼロぐらいから形状モデリングして小一時間、3Dプリント(ABS樹脂、FDM方式)に1時間程度のとても簡単な工作になります。

3D-CADでカタチをつくる

ご家庭にはあまりないと思いますが、その辺(※仕事場)にあったSolidworksでかるーく。手書きスケッチとか特に作らず一発作業。デザインは自分の感覚のみで、センスはお察し。サイズは「これが置けるヤツを」と言われた石鹸の大きさから。

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バージョンが2015なのはご愛敬。まあ外観のカタチ作るだけなのでそこまで最新の機能は必要ないですし。

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三面図はこんな感じ。隠れてるのでちょっとわかりづらいと思いますが、石鹸を置く平面を傾斜させています。ホネホネ。

形状検討上で考慮した点は以下の感じで、ふんわり。
・石鹸の使用後は当然濡れているので水が切れるようにする。
・落ちないようにストッパーを作る
・使用3Dプリンタは別途サポート材が無いので空中に浮いた部位を作らない。
・一発完成のゼロ次試作なので部材体積は小さめに。
・スミRは成り行きでいいのでフィレットは付けない。
・複製などもしないので抜き勾配不要。
・わざわざ計算するほど強度を気にするものではないが、歪んで折れたりしないように枠構造っぽく

3Dプリントする

一応Solidworksから直接3D Printする機能もあるんですが、弊社環境だとスライスが上手く出来なかったことがあるので、3Dプリンタの専用ソフトを使いました。

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CADモデルをSTL形式で保存し、XYZ Printing社のXYZwareで読み込んで配置。テーブルがXY平面、積層方向がZ軸になります。察しのいい方はお気づきかと思いますが、CADモデルは高さ方向がY軸になっていまして、上記のようにする場合、こちらの出力ソフト側でモデルを回転させて配置する必要があります。よく忘れる…。

買い置きのABSフィラメントが購入当時600g/4000円くらい、20g程度使用したので材料費は150円程度でしょうか。電気代とモデリング&段取り人件費(=自分の労力)は別。設計というほど大したことはやってないですが、構造決める工程が一番高いですね。

まとめ

タイトル詐欺にならないように、作り方を意識した部分の話。

モデリングの項でサラッと書きましたが、今回のモデリングについては、単一材料の樹脂積層なので空中構造を作らない、フィラメント径を下回る幅の形状を作らない、余計な勾配を作らない、あたりでしょうか。

あとまあ、石鹸トレーと言うとどうしても皿状のイメージがあって、最初はそういう構想を立てたんですが、広い面を作るとなると材料の消費が多く、プリント時間も増えてしまいます。また、水切り構造も別途検討が必要だなとなったので全部を解決できる方向として枠だけのホネホネに行き着いた次第。

これが例えば樹脂ブロックを卓上NCフライスで削ると決まっていた場合、加工時間を最小とする場合逆に皿形状で水抜き穴なり水路を付ける、という形状にしたと思います。成り行きのRをカッタ径に合わせるなども検討ポイントになるでしょう。

あるいは、同じものをシリコンなどで型取り複製する前提であれば、積層方向に抜き勾配を付けたり、厚肉でヒケたり面積が広すぎる箇所を作らないよう、敢えて空中に浮いた形状を作るかもしれません。スミに材料が食い付かないようにピンカドを避ける必要も出るかも。

あと、今回のような一発限りの試作はともかく、どういう意図でそのカタチにしたのかを記録しておくことも通常の製品設計だと大事だと思います。改良の際に変えていいのか悪いのか判断出来なくなってしまうので。前任者どころか自分がやったものでさえどこまで覚えているかは保証の限りではないですし。設計のエビデンスってやつですかね。

先にデザインが決まっていてその通りに作らなければならない場合はこういう話はあまりないと思いますが、ゼロぐらいからカタチを決めてモノづくりをするのであれば、どういう加工方法でそのモノを作るのかという意識を持っておくことで、同じ機能要望を満たしつつ安く速い設計が出来る筈。

とか偉そうに書いてますが、私自身は限りなく設計シロートに近いので、話2割くらいで。

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