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サムレム感想

Fate/Samurai Remnantをプレイした感想 ネタバレあり

未プレイの人はまずは体験版をどうぞ↓
https://www.gamecity.ne.jp/fate-sr/topics/20240116-trial.html







セーブデータ

選択肢

1周目:剣豪 上→下ルート   エンド:一条の光
2周目:剣鬼 下→上→壊さない エンド:可惜夜に希う
3周目:剣鬼 上→上→壊す   エンド:怨讐の焔
(1周目で若旦那エンドも見た)


戦闘システム

周回プレイをするうえで、俗にいう「強くてニューゲーム」にシステム以上の理由付けがされていてよかった
必要最低限の戦闘しかしなかったが、敵を倒せなくて詰むことはなかった
型の切り替えや共鳴絶技の打ち方も簡単でストレスはなかった(覚えるまではゴチャゴチャしてた)
ただ、回避のときに攻撃キャンセルができないので、ボタンを連打して斬りまくるというよりコマンド入力で戦う格ゲーみたいな感じ
剣鬼モードだと伊織のHPを強化しないとワンパンで斃れる程度に敵の攻撃が痛いが、そも伊織は人間なのでサーヴァントや怪異と互角に渡り合える方がおかしいという点で納得せざるを得ない

手ごたえを感じた順番でいうと
2周目セイバー>1周目若旦那>1周目キャスター>逸れのバーサーカー(初見)


1周目感想

まずセイバー目当てで買ったので、ずっとセイバーと一緒に戦えてよかった
絵も3Dもかわいくてよく動くし、表情もコロコロ変わるし、大変満足
屋台で食べ物を買うと、買ったものに応じて感想を言ってくれるのがよい
何度も話しかけると しつこいぞ。と言ってくれるのも嬉しい

序章、正雪に殺されそうになる伊織をセイバーが助ける時の構図が美しい
2章まではあまり話が進まない印象だったが、3章から一気に動いたなといった感じ
「おあいこ」のムービーが良すぎた ここでサムレムにハマった感じがする

アーチャー陣営の脱落は割とショックだったが、アーチャーの意志の強さは見ていて気持ちの良いものだった
ここと共闘するの都合が良すぎる と思ったが脱落の仕方も都合が良すぎて笑ってしまった それだけ強い陣営だったということで 惜しい

アーチャーと鄭の唯一無二の友情を見てセイバーが伊織に問いかけるシーン
じゃあ伊織とセイバーはどうなんだ?と思った
序盤のセイバーは中々に尊大な態度をとっていたので(実力・名声を考えればさもありなん)弱い伊織のことは主とも友とも思っていなさそうだったが… 同時に、伊織は鄭を戦友としたが、セイバーのことはどう思っているんだろうかという疑問もあった


逸れのバーサーカーと太夫のムービーは美しかった 太夫が一番”人間”らしく、自分の道を往く人だったと思う 義理人情に生きるの江戸っぽくて良い
アサシンは愉悦しにきたのかな ドロテアを助けに行くとやや伊織に気持ちが傾いている様子が見られて、伊織の人たらしぶりを垣間見た
アサシン陣営は相性もよさそうだったしアサシンの魔が差さなければ最強だったんじゃないか
ラスボスはてっきり土御門だと思っていたのでまさかのナレ死にびっくりした 地右衛門もサックリでびっくりした
正雪がひたすらかわいそうでかわいかった ライダーは怖い

キャスターと鄭が手を組んだのはかなり苦痛を感じたが、むしろ1周目でよかったと思う 追加テキストやアーチャーの異傳を見たあとにアレをやられたら本気で壊れるところだった でもその不屈の魂は美しいと思った

キャスターのキャラがかなり好み
生前の自分の役目に自信を持っていてよろしい
サーヴァントとしてのスタンスや願望がひたすらエゴの塊でよかった
土御門との会話をもっと聞きたかったが、おそらく利害の一致のみで行動してるので期待するものでもないか…
対セイバーとの相性が悪すぎた セイバーじゃなければ全然勝てたと思う

ラスボスはこれ以上ないほど適役だったと思う デザインは牛のほうがよかったけど ドラゴンって西洋っぽくない?
正雪が強すぎて面白かった 負傷したうえでこの戦力 ライダーがアレじゃなかったら完全勝利できただろ


最終戦の前、武蔵との死合い直前のセイバーとの会話
なぜ伊織がセイバーの真名を呼びたがったのかは考えどころではある
セイバーがただひたすらにかわいかった
かなり動揺していたがあれは照れなんだろうか…
この会話があってからの最後、令呪を使って真名を呼ぶシーンは本当にアツかった 王道を往く 注文通りにきたラーメン

正直エンディングとしてはあっさり終わったなという感覚だったが、これ以上に良いエンドがあるのか?とも思った
正雪が光を見届けて逝けたのはよかったね 正雪の夢だけが成就したルート
セイバーの願いが分からずじまいだったのと、土御門が完全に消化不良だったのでその辺を拾えればもっと輪郭がはっきりするのだろうと思い即座に2周目をプレイ…


異傳も回収しつつプレイしたので
ランサーの兄貴が割とすぐ登場してくれてかなりモチベーションに繋がった
宝具かっこよすぎる 協力の仕方もかっこいいし
アルジュナは動きが意味不明すぎた アーチャーの攻撃より強い 爽やかな声と性格で100キロ先まで矢を撃ってくる
キルケーはかわいかった アサシン戦ではお世話になりました 地右衛門のこと言及してたよね
李書文も瞬間移動しすぎ 正雪への接し方が爺すぎてよかった
若旦那が一番強かった…というか隙が無くて苦労した 反射神経ゲー

タマモアリアは本当にかわいい 妻にしてもよい
伊織を月に例えて美しいと言ってくれたことが嬉しかった
アリアの異傳は伊織という人間の芯をついていると思う

大好き

あとは戦闘前後のかけあいで、序盤はセイバーが「下がっていろ」とか「運が良かったな」とか…伊織を弱い者認定してたのが、終盤になると強さを認めて隣に立つことを心地よいと言ったりしていたのが…よかった
武蔵戦でセイバーが伊織の剣の腕を認めてくれたのも嬉しかった
伊織はあのセイバーに認められるほど強くなったんだなぁ
あそこで秘剣を習得するのも美しい流れだった

伊織が思う美しいもの…



2周目感想

クリアデータを引き継ぎ2章からスタート
追加テキストでは伊織とセイバーの内心が語られ、1周目では不透明だった伊織の人間性が見えてくる
伊織に対する見方が明確に変わったのは、横須賀でセイバーの絶技・八岐怒涛を見たあとのシーン
伊織は剣の道を極めたいんだなということは分かっていたが、このとき抱いてる願いは「セイバーと戦う」ことなんだと確信した
1周目終了時点で、伊織がセイバーと戦うルートを妄想をしていたので、これはもう戦うしかないと思った(流石に敵対は正規ルートじゃないだろうが…とも思いながら)
伊織が余分を捨てて剣の道を往くのをセイバーは良しとしなかったけど、自分は伊織のやりたいようにやらせてやりたい気持ちが勝ってた
セイバーの善性と神の如き剣技、伊織の優しさと剣士としての資質、共存する対比構造が美しい

鄭の追加シーンを見て1周目のエンディングを思い出した 月に手を伸ばした意味が分かった
アーチャー陣営関連は2周目のほうが泣けた

2周目でも土御門があっさり死んでしまい本当にびっくりした 勿体ない
まあ表立って相対することが少なかっただけでずっと暗躍してたんだけど
ドロテアも…そりゃ助けに行かなきゃそうなるよな という
アサシンはこれでも満足していったんだろうか…

正雪はこのルートだと伊織とセイバーの光を見ることがなく、丑御前との戦闘のあとそのまま連れ去られた 悲しい
一条の光は正雪にとって確かに救いだったし、望んだ在り方だったと思う
誰よりも真摯に平らかなる世の中を望んでいて愛しかった

地右衛門とランサー、キャスターの最期はランサー陣営に対する興味が非常にそそられたしムービーがすごかった
このルートの地右衛門が一番好きかも


盈月の器を「壊す」「壊さない」の選択肢
これまでずっと
セイバーと戦いたい、死合いをしたい
と考えながらプレイし続けてきたので(自分も含め)、正直「壊さない」以外の選択肢は考えられなかった
これできっとセイバーと対峙できるのだろうと思い選択した
伊織が望むならそれを許したかったし
一度冗談にしようとしてる伊織が、今思い返すとなんとも…

セイバー戦はかなり厳しかった
おむすびも貴石も無くてこれは5時間かかるなと思った
今まで伊織と一緒に習得してきた技を満遍なく発揮してきて、知っている技なのに避けられないという…
今までどれだけセイバーに助けられてきたか ということをまざまざと実感させられた
特に「滾つ瀬」は便利で強かったから一度も外すことなくずっと使ってた
それが敵に回るととんでもない脅威になっててよかった
そこからひたすらセイバーの行動パターンや回避の仕方を研究した
相手を理解すれば斃せると伊織も言ってたし
そんな感じでセイバーの攻撃をすべて覚える程度までかかって漸く倒した
二人の台詞も覚えてしまった
最後を秘剣燕返しで決められたのが相当気持ちよかったが、物凄い達成感とともに一抹の寂しさもあった 永遠に続く闘いは無いんだなと
可惜夜とはよく言ったもので


本題

ここで本題に入る
伊織は主人公だが、いわゆる自己投影型ではない(フルボイスで喋るし、プレイヤーが選ぶ選択肢はほとんどない)
その割に伊織の過去や内情についてはっきりと語られる機会は少なく、「察する」ことになるのだが、これが逆に物語への没入感を高めたように思う
前提として伊織=自分ではないので、伊織の出自や人生、思考をすべて把握している必要がない 必然性がない
しかし、そんな不透明な主人公であるが故に、伊織に対して「共感」しようとする 伊織の気持ちを推察し、理解し、寄り添っていくことで次第にその人間性がはっきりしてくる
その上で選択肢が用意されると、「伊織ならこうする」という考えで選ぶようになっていた 自分はそうだった

ここで重視したいのが「伊織に対する共感」なのだが、それが”何”に対してのものかという点だ
伊織の「強者と戦いたい、剣の道を極めたい」という願いは、”可惜夜に希う
”の結末を見れば誰もが望むようなものではないと分かる というか伊織のエゴそのものではある
しかしこの願い自体も認められて然るべきだと思う
なぜなら本質は「死んでるように生きたくない」というものだからだ
さらに言えば、「セイバーに出逢ってしまった」(自分が生まれてからずっと願ってきた、平生では絶対に叶わない夢が成就する機会が訪れてしまった)から
それをみすみす逃して、再び凪ぎの日々などを求める気にはなれなかった
そうしない選択肢もあったことは事実なので、これは本当にプレイヤーの選択次第ではあるが… 伊織が余分を、人の道という選択肢を捨てたのならば、こうすることが道理だろう


多分セイバーは伊織の心を解ったうえで闘ってくれた
伊織の優しさに共感を示したセイバーは、江戸の平穏を望み、余分を捨てたことを否定し、伊織の心が解らないと溢していた
ひたすらに伊織を理解しようとしていた
そのうち”剣の鬼”としての部分すらも理解して、それでも名言はせず、伊織の意思に従った
伊織が剣の道を極めるという選択をしてもなお、セイバーは驚かない
すべて理解していたから
そしてこの共感と理解を以て相手を掌握するというシーケンスをセイバーに教えた張本人が、それを捨てて勝負に挑んだ結果がアレという
もはや美しい それは

なぜゲームをプレイするのか
それは自分がプレイすることでしか得られないゲーム体験を得るため
これに尽きる
セイバーとの戦いはまさにそれだった
高難度を選択したこと、自分の意思に忠実な選択をしたことでセイバーの強さと、伊織の意志や強くなるための努力を実感できた
このナラティブな体験こそがゲームをプレイする意義であり喜びである
尤も、この素晴らしいゲーム体験は戦闘だけでなく伊織とセイバーの物語あってこそなのだが
なによりも伊織の生き様が美しいと思った
伊織の生き様をセイバーが肯定してくれたことが嬉しかった
セイバーも伊織も、自分の為すべきを為した
とても対等な関係だった


その他

3周目の感想は書く暇がなかった 書きたい部分はもう書いたのでまあ…
回想戦とトロフィーの回収が残ってるのでまだまだ楽しませてもらいます

テキストについて
読みやすかった
コエテクさんのライター陣が書いたらしいが、これが肌に合う
言の葉が美しいし無駄がない
キャラクターの台詞はもちろん、説明文や章のあらすじも良かった
キャスターもありがとう 読みやすい文章で記録してくれて

一日の終わり、長屋で一晩明かすときに空の月が見えて 満ち欠けで日が経っていることを感じられてよかった
ゲームをつづきからプレイするときにも、二人の背を仰いだあと空に浮かぶ月が見える
いつも月だけが見ていた