見出し画像

犬飼道子さん、今読んでも新しい


「セーヌ左岸で」

この本に母の字で、55.6.1と小さく書かれている。初版は昭和52年。

中公文庫の犬飼道子さんの本は、

お嬢さん放浪記
マーチン街日記
花々と星々と
ラインの河辺
セーヌ左岸で
女が外に出るとき

があるが、ほとんど母の本棚から読んだ本。

ただ『花々と星々と』だけ知らなかったから借りるか買うかして読もう。
家のどこかにあるのかもしれないけれど。

昭和55年の本故、茶色に日焼けしながらも私の愛読書として枕元にある。

お嬢さん放浪記も、マーチン街日記も、そしてドイツの話であるラインの河辺も面白くて。
手元に残しておきたい本。

ドイツの暮らしぶりも合理的で環境保護意識が高くて、羨ましいなと思っていた。

私のヨーロッパ志向は母の影響もあると思う。


話を『セーヌ左岸』に戻す。

ゴミ・この世界の問題
という章がある。

犬飼道子氏はパリでの住まい探しにおいて、

・不動産業に携わっている人の女性比率の高さに驚き(ほぼ女性。当然当時の日本は男性ばかり。)

・新しいマンションは、パリ新都市構想に基づき、「必ず大樹に囲まれ」「必ず小公園風の庭をもつ」ルールを守っており

・ダストシュートは小さく作る
(ゴミ箱が小さければ、人はゴミを少なくしようと考えるから。)
マーケットにゆけば、プラスティック容器には入ってなくて、持参の容れ物に切り売りで買える 

「新しい暮らし方」の新しいアパートを売り出す会社の、どの部分にでも主役として働いている女性たちの、大半はこういった。「まう、モノを持って暮らす時ではありませんからね」「ものを勝手にいくらでも使い捨てる時代ではありませんからね」要するに、時代認識があるのであった。

セーヌ左岸で/犬飼道子著より

日本でミニマリストが流行ったウン十年も前、昭和50年代のパリは時代が進んでいた。

先日知り合いが、松山駅が新しくなったが昔の面影はなくなり、残して欲しかったと言っていた。

日本では古き良きものを残しながら進化することはもう叶わないのだろうか。

古き良きものが好きな私は、こうして昔の本の世界に入って、令和を暮らしている。

来年は昭和100年なんですね。


芸術の秋、食欲の秋、
そして、読書の秋。

秋の夜長にのんびり本を読む時間。
少しでも楽しみたい。


お読みいただき、ありがとうございます。 いいなと思ってくださったら、サポートいただけたら嬉しいです。 いただいたサポートは美術館巡りの活動費に使わせていただきます。