縫と織@根津美術館
根津美術館@表参道
1月28日(日)が最終日。
もともと行けないと思っていたが、予定が変わり行って来た。
私達は地下鉄銀座線の表参道駅A5出口からアクセス。
メトロの入り口を出たら右に向かってまっすぐ行けば程なく到着。
予約をして行ったから並ばず入ることができた。
年末に出水美術館に行った時にこの企画展のチラシを見て、友達と行きたいねとなって実現した。
ここはお庭もあるからゆっくり行くのがオススメ。
ただ今回は企画展『縫と織』が目的。
以前、京都の細美美術館で特別展「日本の色-吉岡幸雄の仕事と蒐集-」を見て大変良かったので今回も楽しみだった。
根津嘉一郎と美術館
根津嘉一郎氏は山梨県出身。
リンク先に写真があるが、銅像は眼鏡もかけてなくて、ちょっと雰囲気が違った。
根津嘉一郎氏が蒐集した日本・東洋の古美術品コレクションを保存し、展示している美術館。
事業のかたわら、茶の湯にいそしむようになると、その蒐集はさらに進むのだけれど、コレクションを秘蔵するのではなく、『衆と共に楽しむ』ことが初代根津嘉一郎氏の願いであり、その恩恵を今私も受けられている訳だ。
初代根津嘉一郎の遺志を継いだ二代根津嘉一郎が、昭和15年(1940)に財団を創立して、その翌年根津美術館が開館した。
美術館の外には、17,000㎡におよぶ庭園が広がり、4つの茶室を有している。
ゴールデンウィークの頃には(混むから一度しか行ったことがないけれど)庭で見事なカキツバタも鑑賞できる。
施設内にカフェがある。
今度またここでお昼を食べてのんびり過ごしたい。
縫と織
美術館の中は展示室が6つあり、『縫と織』は第1展示室と第2展示室で見ることができる。
ロビーやホールにもいろんな美術品が置かれている。
今回の企画展の作品リストはこちら。
第1展示室
ここでは、裂(きれ)から、能の衣装や小袖などを拝見。
最初は『上代裂』から始まる。
「じょうだいぎれ」と読む。
7世紀頃の織物など、まさに『断片』が展示されている。
断片でも一定の大きさなものもあれば、ものすごく小さなというか形も危ういものもあり、よくぞここまで残ってくれましたね、と思った。
小さな裂にも価値を見い出して大切にしてくれた多くの人達の手を経て、令和の今、古(いにしえ)の時代の織物を見ることができるのだ。
一番最初の展示品は、『上代裂 緑地草花文刺繡』。
リンク先で画像が見られるが実物は全く色味が違う。
グリーンはとても深い緑で、全体の色合いも暗めに落ち着いている。
刺繍なのか分からないくらい細く繊細な縫だった。
『残霞帖(上代裂手鑑)』という、上代裂の見本帳も興味深かった。
一部が開かれていたが、小さな上代裂が綺麗に並べられて見本になっている。これを作る作業は楽しそうだ、なんて思いながら拝見。
ここからしばらく上代裂が続き、終わると能の衣装〜小袖と続く。
能の衣装は9点展示されていたが、いずれもたいそう美しく見事なものだった。
『唐織 紅地青海波に松帆浜辺模様』
『唐織 紅薄縹段鉄線唐草模様』
『紅地鱗向い鳥丸模様』
『厚板唐織 白紅萌黄段枝垂桜模様』
『縫箔 紅地芒扇面散模様』(特にこれが好きかも)
『唐織 金地枝垂桜花車模様』
『舞衣 薄紫地葡萄栗鼠模様』
『着付 紅地流水源氏車花模様』
『摺箔 白地冨田雲模様』
平置きされた『紅地鱗向い鳥丸模様』もとても細かい仕事が伺えた。
写真では決して分からない実物の凄さだ。
『縫箔 紅地芒扇面散模様』は全体的にトーンが一色で柔らかな光を纏う上品な装束。
『摺箔 白地冨田雲模様』は、他は華やかな中、白地に雲が箔でのっており、色数が少ないもののその雲模様の風合いが素敵。
写真撮影禁止🈲なので撮れないのでお見せできないのが残念。
(『厚板唐織 白紅萌黄段枝垂桜模様』は右半分の下段で布を合わせたところのお花の色が上は濃い鮮やかなブルーで下はライトブルーになっていて、まさか間違って織った?と非常に気になった。他の合わせ目を見てもそんな場所はなかったから。)
どれも鮮やかな色だけれど絹特有の風合いで柔らかく優美な衣装になっている。
第2展示室
続く小袖も素晴らしい。眺めながら幸せな時間。
特に『小袖 染分縮緬地せせらぎあやめ模様』が好きな小袖だった。
能装束や振袖の華やかさはないものの、小川のせせらぎの表現や、せせらぎとあやめの間に描かれる亀甲や七宝模様、あやめの表現、どれも細かく繊細で眺めていて飽きない。
タイトル画像は購入した絵葉書。
『振袖 綸子地桐鳳凰模様』これ以外に、鮮やかな空色の振袖もあって今でいう結婚式の色ドレスみたいなものでこちらも素晴らしかった。
ちなみに小袖は元々肌着だったけれど動きやすいから外でも着るようになったものらしい。
最近のジャージがおしゃれなセットアップになって、外でも着られているようなものかしら(笑)。
企画展以外の展示室
ここからあとは企画展以外の展示が続く。
第3展示室:仏教美術の魅力 ─平安時代後期の仏像─
展示室以外にホールや地階にも展示されている。
第3展示室の3点。
『菩薩立像』
『薬師如来坐像』
『不動明王立像』
いずれも、木造彩色 日本・平安時代 12世紀のもの。
平安時代・・・・。『菩薩立像』は顔が柔和で立ち姿が美しい。
『不動明王立像』はちょっと腰を捻ったこの時代特有のポーズらしい。
服のひだの表現などとても繊細で、よくこんなものが作れるなあと。
像の表面もなめらかで木ということを忘れそう。
第4展示室:古代中国の青銅器
ここの展示品達を見て、似たようなものを鹿児島の美術館で見たような・・・?と記憶が曖昧。
いろんなところでいろんなものを見ていると分からなくなってくる。
特にこの分野はまだ私の中で優先順位が低いのでデータベースの蓄積が少ない。
『双羊尊』は見るべきものなのかも・・・。(美術館のサイトで写真が見られる。)
似たのを見た!なんて思ったら、「ロンドンの大英博物館所蔵の双羊尊と本作のほか、同形の遺例はない」と説明文も添えられており、じゃあ、勘違いか他の動物だったんだろうか?(大英博物館も行ったことはあるがそこで見た記憶ではない。)
動物モチーフの青銅器をどこかで沢山見たのだ・・・やっぱり鹿児島だったかなあ。美術館の雰囲気を覚えているのに美術館の名前が思い出せない。
鹿児島ではなかったのかな・・・。
第5展示室:中国の故事と人物
ここでは『二十四孝』にまつわるものが展示。
ここも疎く眺めるだけに終わるが、一つ衝撃的な作品が・・・
(びっくりして作品名を失念)
多分『孝子図屏風』だったと思う。
年老いた姑に自分のお乳を飲ませるという女性がいたらしい。
「いやいや、いくら孝行とはいえ無理!」と友達を話す。
この時代に生まれずよかったわ・・。
今検索したらアメブロにヒットした。「乳始不怠」という話らしい。
唐夫人・・・なんという広い心の持ち主なんだろう・・・・。
こういう自分の知らないことが増えるのも美術館に行っていいことだなと思う。
(それが何の足しになるの?という人とはお友達にはなれない気がする・・・)
この歳になってもまだなお不知のことが沢山あって・・・昨日もちょっと情けなくなってしまった。
第6展示室:寿茶会 ─来福を願う─
茶道を文字通りちょこっと齧った私はこの展示室は楽しく拝見できた。
茶室のしつらえの展示もあり、習っていた時のことを思い出した。
忘れかけているが基礎くらいと思って茶道検定も3級は取得した。
今年は2級を受けようかなあ・・・。
これは茶道を習わなくても、知っておくと美術館などで展示品を見る時に役立つ知識だと思う。
次回は「大倉集古館の春 ~新春を寿ぎ、春を待つ~」
毎度のことながら備忘録が長くなる。
(大したこと書いていないのに)
今回根津美術館で「これを見たいね」という話になった。
企画展:大倉集古館の春 ~新春を寿ぎ、春を待つ~
2月は、美術館に行こうと思えば行けるのだが、旅行を目論んでいるので3月に行くことで約束した。少し早いけれど4月生まれの友達と美味しいランチでも食べようか・・・となっている。
(またしても建て替え前の最後の帝国ホテルの中華かフレンチか・・・とか考えるのも楽しい。)
北海道と栃木に行くが、栃木ではオルゴール博物館とステンドグラス美術館に行きたいので芸術鑑賞をしないわけでもない。
北海道でも行けるかな・・・。
1月は、
・三の丸尚蔵館
・東京国立博物館
・根津美術館
で終了。
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