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Die Toten Kehren Wieder Mit Dem Wind - Stille

ドイツの一人ブラック、Die Toten Kehren Wieder Mit Dem Windの3rd。バンド名は直訳で「死者は風と共に去りぬ」。

・スタスタ調子のスカスカドラムに高音トレモロの猛襲。絶対零度の寂寥の中にどこか熱を感じられるメロディは、日本産のInfernal Necromancy周辺を彷彿とさせるメロイックさ。明瞭な音像も相まってキャッチーな印象を維持しつつも、随所に挟まれる多彩かつ劇的な展開が冗長さを感じさせません。泣き叫ぶVoやアンビエント的アプローチは変化球でありながら、アーティスティックな面でのブラックメタルとして大変良質に仕上がっています。

終わりが近づくに連れフランス的な酩酊系の変態性や、よれよれのギターソロが台頭して来るのですが、求心力と根底の方向性を維持した上で演っているので、いい感じの味変に。十分変化として受け入れられます。寧ろ初期Peste Noireに癖を歪ませられ、後戻りのできなくなったフェチ達には堪らないのでは?アンビエントパートの幽玄な不穏さも極寒で、良い雰囲気に仕上がっています。アウトロのアンビエントはやたら長尺なだけで魅力を感じませんでしたが、それでも全体でお釣りが来るレベル。これは隠れた良作かもしれません。

日本での知名度は皆無な上、音源の入手難度も高いですが、このまま埋もれさせるには惜しい一枚です。思想面も問題ありませんし、どうにかBandcampなどで表に出てきて欲しいですね。


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