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Branikald - Rdyandalir

ロシアのNSBM、Branikaldの3rdアルバム。
ロシアのネオナチ版ブラックサークルこと、Blazebirth Hall(以下、BBHと呼称)に所属していたバンド。フロントマンのKaldradは19年に交通事故で逝去されたそうで、本人は白人主義の暴漢だったそうですが、もう新作は無いと思うと寂しくなりますね。

筆者は23年にRagnarok Recからリリースされた再発盤を入手しまたが、 このレーベルが再発したBBH系は軒並みブート疑惑があるようなので、気になる方は要注意。

海外の掲示板によると、Ragnarokのオーナーは生前のKaldradと不仲で、彼が関わっているバンドの再発を許可する訳がないとのことで……しかしRagnarok側は本人から許可する旨のサインを貰っていたとしてその写真も投稿されていましたが、それも偽装だという疑惑が上がるなどで堂々巡りだとか。Kaldradの関わっていない同サークルのRundagorやSternatisの再発は公式リリースとされているようなので、一応他メンバーからの許可は受けている模様です。BBHはリリースが多い割に入手困難なCDが多いので、個人的には助かっていますが……何が何だか。


#1 #2 - 音質以外にはほぼ大差のない、寒々しいトレモロリフ+ミドルテンポを一生繰り返す2曲。起伏という物をかなぐり捨てたこのミニマルさがBranikaldの全てであり、最大の魅力と言っても過言では無いでしょう。Burzumや初期Nargarothよりも曲展開が少ないばかりか、他のアルバムも大体こんな感じで、「どれを聴いても一緒」と評されながら、この草木も生えないストイックな世界観に心酔するファンを生むに至った要因でもあります。聴き方としてはアンビエントの様に浸るのが正解かと思いますが、随所で盛り上げてくれるヘタウマクリーンボーカルは、ペイガン的なクサさがあって良いですね。

#3 - 前の2曲とは録音された時期が違うのか、歪み少なめのギターが特徴の1曲。掻き鳴らされる寒々しいリフは彼の真髄にして深淵を伺わせる出来であり、聴き手を須く虚しい気分にさせてくれます。表題曲への繋ぎとしてフォーキッシュな空気を与えたのでしょうが、これが中々乙な趣があり、お気に入り。

#4 - Rdyandalir 表題曲はまさかのドラムレスかつアンプラグドギターで御披露目。しかしこれが、環境系をやりがちなBranikaldの中でも5指に入るであろう、素晴らしいアンビエンスを聴かせてくれました。雰囲気はやはり鬱蒼ながら、自然其の物が内包する無情さ、絶対不可避の生と死のサイクルといった、根本的な不変の領域……壮大な無力感を感じずにはいられない1曲。凄い!

10分以上の長尺曲をほぼトレモロ+ミドルテンポだけで成立させるセンスも然ることながら、それを一発録りで演奏できる体力も凄まじい1作。アルバム毎の違いなど無いに等しいBBHリリースの中でも、珠玉の音源と言えるでしょう。Branikaldを買えばBranikaldが聴ける!

執筆時点では他アルバム含め国内ディストロに在庫がありましたので、気になった方は是非。



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