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【覚書】自然数の弁証法

はじめに

 本稿では、ヘーゲルの『小論理学』を模倣して、(0を含む)自然数を(もっとも単純な)二進法により説明してみる。学知的な意義は乏しいであろうが、読み物としてはそれなりに面白いかもしれない。

存在:1

数を語るためには、まず数が存在しなくてはならない。その「存在」を表す数は、存在の一体性により「1」である。

無:0

存在は、再帰的に存在が存在していることを示す。そして、ここから、何物も存在していないという事態が可能性として立ち現れてくる。存在の欠如とは、すなわち無である。この「無」を表す数こそが「0」である。

「1」と「0」によって複数性、すなわち「量」が生じる。

限度

ここまでのところで「1」という数と「0」という数の二つの数が存在しているが、(十進法で言うところの)「2」を表す数は存在していない。つまり、これが「1」と「0」しかない状態の「限度」である。

「2」という現に存在している数を顕示するには、「0」の先に「1」を配するしかない。こうして、十進法でいう「2」は、二進法では「10」となる。このときの「1」は単体の「0」や「1」の上位にあり、その内実をこれらとは異にしている。同じにみえても一の位と十の位の「1」とではそれぞれ別々の値を担っている以上、ここには「質」の相違が生じている。

体系

今や、ある自然数nは、1と0によって秩序立って表現される。これが自然数の(二進法における)「体系」である。

無限

ある自然数nが存在すれば、そのnに0を加えた「自然数の数」n+1が必然的に存在することになる。すなわち、自然数は連続的にどこまでも拡張される。こうした自然数の可能性が「無限」である。


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