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alongH

その頃はもう手遅れなんだと思う
無ければ作れ、いなければ成れ、
その精神に則ってゆっくりと自己救済に取り掛かるも
最期で私はまた一つの喪失に出会う
この術で誰を救えるだろう、誰をも救えない…と
一体誰を救えるだろう
時代も同じく私のように
その道を辿るものならば
私の実験は破棄されるのだ
私の試みの無造作な複製作業は
悉く阻止されて然るべきもの
そしてそこで気付く、自己の揺るぎない救いようの無さ

恐らく何もかも
最初から手遅れだったのだ

それでもこの苦い味わいを
生の産物として噛み砕く快感は
誰にも分からない

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