air

私は人間じゃない
音の光の中でなら言える
自分に対して、相手に対して、周囲に対して、存在しない人たちに対しても、そう言える
今までよりも楽に言える
人間になりたいけどなれないと言える
私には無理かもしれない、時間が足りないかもしれない、と言える
許してほしいわけではなくて、でも、やっぱり許してほしい
これ以上ここにいていいのかって言ってもいい？
何も返ってこないけど
夢はうまく造れるんだ
だから大丈夫
これからもうまく生きられる
何の目的も無いままいつも誰かのために生きられる
私は私に愛想を尽かされてしまったけど、周りにはそうしないように、されないようにしよう
もう何を言われても平気なはずだ
少し隙間を空けたから、そこに言葉は入っていく
私に触れずに言葉も気持ちも出入りして、きっと私の願いは叶う
みんなを悲しませないように振舞おう
きっと誰も泣かなくなる
誰も不幸にならなくなる
私が笑っていればいい
そしたらお母さんも笑うから
お母さんは今は笑わなくてもまた明日笑うから、私がずっと笑ってればいいんだ
お父さんも笑う
私が笑っていればお父さんも弟も妹もおばあちゃんも笑う
安心してくれる
私はもう治った、人間になれた、大丈夫、って言って笑えば、良かったねって言ってくれる
私はこんなに生きられて幸せだって言って笑えば、たぶん大丈夫
みんなが笑うなら私も本当に笑えるから、最初は嘘でいいの
小さい嘘でいいの
みんな笑って
私が嘘を言ってる間に消えてしまった大事なものも、私が笑えば許してくれるはず
笑わなくてもいいから、安らかになって
みんな安らかになって
そうなれば、安心して悲しめるんだ
助けて
死にたくない
死神に追いつかれたくない
誰か泣かせて
ごめんなさい泣かせて
誰か、私がまだ生きてるって言って
お前の中身はどこ行ったって言って
一人未満になるなと言って
もっと泣けと言って
これから生き返れって言って
嘘でもいいから、お前は人間だって言って
だめだ上手く言葉が出てこない
自分の抱えてるものすら表現できない
言葉が頭の中から足りなくなっちゃったよ
もっと何かを忘れなきゃ笑えないって思って、これからも足りなくなっていく
でもその分、何かが増えていくよね
何を貰っても嬉しくならないけど、半透明になっていく自分を引き止めることができたら、きっと嬉しいんだね
私は人間じゃない　目が覚めてもいい　夢の中で人間でいられたらいい
大丈夫　そう言えばいい　そう言えば大丈夫が返ってくる
また明日になれば、目が覚めれば、また全部が生き返るから、大丈夫
眠れば大丈夫