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2023/3/11/ KOBE Re:Public Art Project present Wizard of OP vol.0000

新作公演のお知らせ

Wizard of OPというパフォーマンスのシリーズも回を重ねるごとに0が増えて、今回で vol.0000となりました。

照明や映像や空間演出といった広い意味でのOpticalな(光の/視覚の)即興表現を一方の軸に、 もう一方はどんな表現でもOKでオープンにしたパフォーマンスとして、コロナ直前の2020年1月にVol.0が始まりました。vol.00とvol.000はどちらも無観客配信だったので、今回の神戸では久しぶりに現場を体験してもらえるものになります。

私は18歳の時にビデオカメラと出会い、その後の表現の核を形成する道具として付き合ってきたのですが、この2023年という年は初めて表現の道具というものを手にした時からちょうど30年経ったという感慨もあり、特別なイベントになりそうです。

1993年、美大受験に失敗して浪人していた私は、どういうわけか家電量販店へ行き、店頭でディスカウントされていたcanonのHi-8ビデオカメラを衝動買いします。絵を描いたこともないのに美大へ行こうとして予備校に入り、絶望的に下手な絵から逃げたい一心だったのかもしれません。

カメラは買ったけど、テープを買うのを忘れた私はとにかく一刻も早くいじりたくて、14インチのモニターにケーブルを差して繋げた時に、カメラとモニターとの間でフィードバックが起こっているのを発見します。そこで湧き立つような映像が勝手に生成され続けていくことに衝撃を受けます。カメラを少しずらしただけで映像が変化するのも面白く、その夜は寝ないで遊んでいました。

手に入れたその日から、記録と編集という映像製作の王道をすっ飛ばした直接性、光を即興するという快楽に取り憑かれてしまったのでした。どうやら無知は無知なりに直観的に、ビデオカメラを楽器として選んでしまったようなのです。

音楽は大好きだったけど何も楽器が弾けずに、表現への欲求だけが膨らんでいた私は、ビデオカメラを入り口に表現することを覚え、「映像で音楽をつくる」ことから「光を演奏する」ことへと進んできました。

今回は旧住友倉庫という巨大空間で、マルチスピーカーのシステムで演奏する内橋和久さんとの即興となります。
私はインスタレーション作品「//」をこの時に演奏するつもりです。ふたつの振り子が揺れる光と影、空間を動き回る音響の共演になると思います。

【出演】
小金沢健人(美術家)
内橋和久(ギタリスト、ダクソフォン奏者)

【概要】
イベント名:KOBE Re: Public Art Project present | Wizard of OP vol.0000
開催日:2023年3月11日(土)
会場:KOBE Re:Public Art Project特設会場 [兵庫県神戸市中央区新港町7]
開場 18:00・開演 18:30・終演予定 19:30
前売 ¥3,300・当日¥3,800・神戸市民割引 ¥2,500
チケット購入:https://t.livepocket.jp/e/s34cm

【スタッフ】
サウンドデザイン: 中原 楽 (LUFTZUG)
サウンドオペレーター: 稲荷森 健
プロデューサー: Kenji "Noiz" Nakamura
サラウンド演奏システム開発:伊藤 隆之 (YCAM Inter Lab)
企画・制作:Kenji.inc | Good Mode Teams
運営:KOBE Re: Public ART PROJECT事務局 | エイベックス・エンタテインメント株式会社
協力:ローランド株式会社
主催:神戸市経済観光局観光企画課

【出演者・プロデューサーからのコメント】

⼩⾦沢健⼈ Takehito Koganezawa(出演)
その巨⼤な空洞にはスパイスの匂いが強く残っていた。
初めて⾜を踏み⼊れたときに、暗くて硬くて四⾓くて冷たいその空間に、官能的な気配が漂っていて驚いたのだ。かつてそこにあったすべてのものが取り払われたそのあとに、微かに運動している粒⼦が窓からの光で⾒えた。スパイスなのかホコリなのか、この⼤伽藍の中でずっと存在してきたやつらだ。仏が粉々になってそれぞれが極⼩のミクロ菩薩となってこの空間を舞っているのだ。この倉庫が建てられた97 年前の粒⼦もいるのかもしれない。
天竺から来たやつだっているに違いない。
よし、こいつらを踊らせてやろうと思った。


内橋和久 Kazuhisa Uchihashi(出演)
空間に⾳を吹き込むという⾏為は、⾳楽家にとってもチャレンジでアリ、⽀配するのではなく、その空間とどのように共存し溶け合うかということが重要です。今回⻑年取り組んでいるマルチチャンネルの⼿法を⽤いて、この魅⼒的な空間に挑みます。神⼾は個⼈的に⾃分の活動の拠点であったということもあり、モチベーションは上昇中。きっと⾯⽩いことになるでしょう!


Kenji “Noiz” Nakamura(企画・制作)
神は神⼾に宿る。
KOBE Re: Public ART PROJECTに参加させていただき、リサーチを繰り返す中でいただいた濃厚な御縁に感じたことです。私のリサーチでいただいた御縁は神社仏閣の数々でしたが、アウトプットとして主催から⾔い渡されたのは本業であるイベント創作でした。であるならば私のやるべきことは、神社仏閣サイズでみると⾼層神殿にも⾒えてくるこの巨⼤な倉庫で、神々の戯れを創造すること。それは、3/11に地⼼祭を神⼾で⾏うこと。⾳の神よ。光の神よ。⼟地の神よ。今⼀度、⽂化を持って払い清めたる祭に、六甲の⼭上から御霊を授け給え。皆様のご来場⼼よりお待ちしています。


【プロフィール】

小金沢健人 Takehito Koganezawa
1974年東京生まれ。
武蔵野美術大学で映像を学び、在学中よりビデオによる映像作品の発表を始めた。1999年よりベルリンに拠点を移し、アメリカ、ブラジル、インド、オーストラリア、ギリシャなど世界各国で作品を発表、その独特の映像表現は高い評価を獲得した。その後、次第にドローイング、パフォーマンス、インスタレーションと表現領域を広げ、多彩で複合的な作品群と旺盛な制作活動に裏づけされた多才なアーティストとして知られている。 国内では、資生堂ギャラリー「Dancing In Your Head」(2004)、神奈川県民ホールギャラリー「あれとこれのあいだ」(2008)、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館「動物的」(2009)など多数の個展を開催。2018年開催の「Asian Art Award 2018」では大賞を受賞。


内橋和久 Kazuhisa Uchihashi
ギタリスト、ダクソフォン奏者、インプロヴィゼーショントリオ/アルタードステイツ主宰。劇団・維新派の舞台音楽監督を30年以上にわたり務める。音楽家同士の交流、切磋琢磨を促す「場」を積極的に作り出し、95年から即興ワークショップを神戸で開始する。その発展形の音楽祭、フェスティヴァル・ビヨンド・イノセンスを96年より毎年開催2007年まで続ける。これらの活動と併行して歌に積極的に取り組み、UA、細野晴臣、くるり、七尾旅人、青葉市子、Salyuらとも積極的に活動。即興音楽家とポップミュージシャンの交流の必要性を説く。近年ではチェルフィッチュの岡田利規の7作品音楽を担当(ミュンヘン、横浜、ハンブルグ、オスロ)。また、2002年から2007年までNPOビヨン ド・イノセンスを立ち上げ、大阪でオルタナティヴ・スペース、BRIDGEを運営。現在はベルリン、東京を拠点に活動。インプロヴィゼーション(即興)とコンポジション(楽曲)の境界を消し去っていく。

©︎ Kenji "Noiz" Nakamura

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