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なにもしなくてもなにをしても「時」は過ぎる

2023年6月21日 夏至
「陰極まれば陽となり陽極まれば陰となる」

夏至

最も陽の気が大きくなる夏至、夏のはじまりではありますが最も気温が高いわけではなく、強火で鍋にかけた水がいきなり沸騰することがないように徐々に徐々に温められていきます。

朝陽を浴びて

陰陽を平面でとらえると陰は低いところ陽は高いところ
人生を表現すれば未熟な先天の気(腎の精)が成長し成熟する20代前半頃が陽のピーク。一番艶々して華やかで美しい時です。そこから先、先天の気(腎の精)は下降カーブを描いていきます。とはいえ、低いところがマイナス要素、終わりを意味するのではなく充分に大人ですから賢く後天の気を育て充実させ内面、陰を輝かせる時です。そしてその陰の気から以前とは違う陽に向かい人生をバラ色に染めていくのです。人生の折り返し地点60歳後、フランスではLA VIE EN ROSE・バラ色の人生と呼ぶと聞いた事があります。(還暦という概念があるかは?)陰陽は固定せず巡ったら終わりではなく巡るもの、二度と同じステージはないけれど、螺旋階段のように巡っています。

陰の気を代表する月

台湾のお茶を頂きました。どれを選べばいいのかわからず店主の方にアドバイスを頂き阿里高山烏龍茶をお願いしました。

美しい茶器セット

熱湯を注ぎ湯呑に注ぐまでは20秒程度(へっ?そんなもんなのなのか)1杯目は店主さんが入れてくださり2杯目以降は自分のタイミングでどうぞと。ですがつい置き過ぎるのでしょう、私がじっと眺めていると店主さんが飛んできてさささっと「もうよろしいですよ」と声をかけてくれます。何事も寝かせ過ぎては旨味を逃すということでしょう。
1杯目は薄味、香りも主張するでもなく柔らかく若く癖がなく誰にでも受け入れられそうな感じです。
2杯目から段々とそのもの(といっても他の茶葉と比べていないので次回のお楽しみ)の味、香り性格が出てくるように感じました。
4杯目、5杯目あたりがピークだそうです。陽極まる。香りも味も深みが出てその後は渋味を増し終わりへと近づいていく。

「絶品」お茶請けと少々のお食事

あぁ、人生と同じだ。茶葉も人も同じ天の気の下で生きるモノなのです。
飲み終えた葉を店主さんが見せてくれました。

湯を注ぐ前の茶葉

一茶葉は茎・大葉×2・新芽で出来ているそうです。茶葉を摘む、それも熟練の技なのだろうと想像します。1杯目は新芽の味、そして大葉、茎と味が加わり深い味わいになるそうな。

それ以上は危険と知らせる丸く優しい石

今を基点に過去・現在・未来をセットにして一連の流れで成り立つ自分。どこを捨てることも否定することも出来ないのだと感じます。例えそれが今の自分の中では未熟だと嫌味なものと感じることがあってもまた幸福過ぎるものであってもその点は確かに存在しその時の自分を否定することなく受け入れる。なにかしら今の自分のエキスとなり今の自分が出来ている。前に飲んだ茶葉の味があるからこそ味わえる次の茶葉の味が有るはずです。

照らし照らされる陰陽互根

悠久の昔、古代人が意識をもってまずした事は天空のうちにある自身の場を確認する作業であった。そしてそれがアートの起源でもあった。新たなる命が再生される冬至、重要な折り返し点の夏至、通過点である春分と秋分。天空を測候することにもう一度立ち戻ってみる、そこにこそかすかな未来へと通ずる糸口が開いているように私は思う。

ODAWARA ART FOUNDATION

いつの時代も天の気地の気が大なり小なり荒れています。
自然界の一員に過ぎない存在であることを忘れた人間は宇宙をコントロールできると過信してしまうのでしょうか。
ざわざわと心を煩う時、自然の流れに目を向け季節に応じた過ごし方を意識し人生の陰陽を感じてみる。便利さとエゴを中庸にして生きていければと都合のよい言い訳をしています。

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