【helck】新世界の戦士についての考察

※helckを読んでいる事前提の記事なので当然ネタバレ満載で進行します。未読の方は読んでから見ることを推奨します。






はじめに

さて、初めての考察記事ですが今回の考察点は
ヘルクが新世界の戦士から戻って来ることができた点についてです。

感動的なシーンですがおそらくこう思った人もいたはずです。
「ヘルクが凄いのはわかるけど都合良くない?」
私自身は全くこんなこと思ってはいませんが細部まで読んでいる人ばかりではないのでこう思ってしまう人がいてもおかしくありません。
そこで、私が細部まで観察した上で納得がいく様な考察をしてご都合展開ではなく考え込まれた展開であると示しておこうかと思ったわけです。
 そのために他の新世界の戦士となったキャラクタと比較して考察していきます。

(1)ヘルクの場合

まずは状況から整理していきます。
ヘルクの場合は次の要素が存在しました

①ピウイの歌
②コエダリオン
③ヴァミリオの存在

①ピウイの歌について

 ピウイの歌は新世界の力を弱らせる働きがあります。これによって新世界の力が大幅に弱体化しています。
 これはアウギスの時にも効果があったことからここに異論がある人はいないと思います。

②コエダリオンについて

ヴァミリオが呼びかけるシーンでコエダリオンでペシペシとヘルクを叩いています。
コエダリオンは世界樹の枝です。そしてピウイは世界樹の苔です。
世界樹が新世界の力に対する特効があるとすればコエダリオンによってピウイの歌で弱体化された新世界の力を祓うことができたとしても不思議ではありません。

③ヴァミリオの存在

ヘルクが新世界の戦士になる前に次のような事を言っています。

helck 12巻より引用

 そしてピウイの歌で動かなくなった後、ヴァミリオの呼びかけに応える形で意識を取り戻しています。
 おそらくここが「綺麗な展開だけど都合良くない?」となるポイントだと思います。
 正直①と②だけでも説明としては一応充分なのですが、
せっかくなので深掘りします。

他の新世界の戦士との比較

新世界の戦士になったキャラクターは作中で次の4人です。

(1)ヘルク
(2)アウギス
(3)エディル
(4)ウリア

 ヘルクについては先ほど説明しましたので、次はアウギスについてです。

(2)アウギスの場合

 アウギスはヘルクとヴァミリオが帝国に戻る途中に戦った戦士です。
 そして、アウギスは新世界の戦士から戻ってきています(その後死亡してしまいますが)。その時の条件は次の二つです。

①ピウイの歌
②アウギスが好きだった故郷の歌

 ①はヘルクと同じ②は直接的に同じものではありませんが本人にとって大切なものという点で共通しています。
 また、アウギスが好きだった歌を教えてくれたイーリスがヤバくなったら歌を歌えと言ったことから、イーリスが何度かアウギスに近づいて生還していると考えられ、その要因が歌であると考えられます。

(3)エディルの場合

 エディルは新世界の戦士から戻ってきてはいますが、アズドラの術によって戻っています。
 そのため、他のキャラと比較がしにくいです。
 そこで、作中の描写から紐解いていきます。まず、新世界の戦士になったきっかけはミカロスからマインドブレイクを受けたことです。
 そして、新世界の戦士になった後、自我は無いはずであるにも関わらずヒュラを襲わずにアズドラの元に向かっています。さらに、ケンロスやヒュラがアズドラを救っているシーンでもヒュラの姿を見て動きを止めている事がわかります。
 つまり、大切な存在を目にすることによって動きを止めたということです。

そもそも、新世界の戦士になるには勇者に覚醒する程の強い精神力を持っていなければなりません。
そして、(1)ヘルク(2)アウギス(3)エディルの情報を総括すると新世界の戦士達は自我を失っても、その強い精神力や記憶によって大切な存在を傷つけないように耐えていると考えられます。

(3)ウリアの場合

 さて、ここで問題になってくるのがウリアです。
 helckをよく読み覚えている人は疑問に思ったでしょう。
「ウリアは大切な存在であるアズドラに刃を向けたよな?」
と。
 それでは、なぜウリアがアズドラに刃を向けたかについて考察していきます。
 ウリアは新世界の戦士になる前にこう言っています。

helck 8巻より引用

 つまり、アズドラならば仲間達を安心して任せられると言っており、暗に暴走した自分を止めてくれると確信しているわけです。ヘルクはヴァミリオよりも明確に強かったために君を傷つけないと約束しましたが、ウリアの場合はアズドラが明確にウリアよりも強く信頼関係もあったが故に守る対象ではないと思ってしまったのだと考えられます。
 ここからは予想にすぎませんが、もし新世界の戦士と化したウリアの前に明確に護りたい存在である彼の家族が現れたら、他の3人の結果から考えるとウリアも止まっていたかもしれません。

終わりに

 以上のように、ヘルクが新世界の戦士から戻ってくることができたのは
①ピウイの歌声
②護りたい大切な存在
③自我を失っても大切な存在を忘れない強靭な精神力
が揃っていたからだと結論付けられ、ハッピーエンドのために強引に戻したわけではなく、きちんと描写に一貫性を持たせた上で戻ってきたと言えます。
 コエダリオンの存在についてはここまで細かく考察をしない人のために納得させるやすくするための物かもしれません。

 初めての考察記事ということで読みにくい部分も多々あったかもしれませんがここまで読んでいただきありがとうございます。
 遅筆ですがこれからもhelckの考察をしていきたいと考えています。
 それでは。


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