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電通

~その知られざる組織内部~

電通という会社に対して抱くイメージは人それぞれだ。「就職人気ランキングで常に上位の、最先端で高給でモテる憧れの一流企業」と思う人もいれば、ネットの風評などから「日本社会を裏で仕切っている、利権と陰謀にまみれたダークな会社」と断じる人もあり、さらには昨今の労働環境にまつわる報道から「若くて意欲ある従業員を、パワハラやセクハラで使い潰すブラック企業」といった印象を抱く人もいるかもしれない。

たしかに、電通はマス4媒体(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)すべての広告取扱においてトップシェアを保持し、国内広告市場におけるシェアの約1/4を同社1社で占めている。グループ売上高は9392億円(2020年度)で、近年は海外の広告会社を積極的に傘下に加えることにより規模を拡大しており、広告代理店グループとして世界5位の規模となっている。

しかし現在、同社の業績は低迷気味だ。要因は、注力していたデジタル分野と海外分野ビジネスの失敗にある。2012年に約4,000億円で買収した英広告大手「イージスグループ」の力によって、短期間で海外売上比率は50%近くまで拡大したが、新興国の広告代理店を買収してビジネスを拡大するという手法が世界経済の成長鈍化に伴い、金利負担の増加と連結減益に繋がってしまった。同社は2020年1月、経営不振の脱却に向けて持ち株会社「電通グループ」を立ち上げ、これまでの電通を国内グループ会社116社の1社に事実上格下げし、経営の意思決定ルートを統一することにしたのだ。

様々な憶測が語られる割に、同社内部の実態が明らかになる機会はあまりない。とくに、新入社員の過労自殺事件が発生してからは同社内で事実上の箝口令が敷かれていたこともあり、なおのこと都市伝説的な情報が独り歩きする事態となっているようだ。今回は、内部現役社員へのインタビューで得られた情報を基に、同社の知られざる実態と、噂の真相をヒアリングした。

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