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【雑記】純猥談

◆佐伯ポインティさん


この令和の時代に、「猥談(わいだん)」に注目して成功を収めた人がいる。皆さん、特にこのページに来るような皆さんはすでにご存じだと思うが、佐伯ポインティさんである。早稲田大学文化構想学部卒で、元は漫画編集者だったという27歳の若者だ。

佐伯ポインティさんnote(https://note.com/saekipointy/n/nc50368cd80a8)より


ポインティさんは、エッチな話が大好きで、明るくコミカルに猥談を紹介するwaidanTVというYouTubeチャンネルを開設し、瞬く間に人気を集めた。
その後、阿佐ヶ谷に「猥談バー」という、猥談だけを明るく楽しむ会員制のバーをオープン(土日のみの営業)。一時は、新規会員申し込みを停止していたほどの大人気である。

猥談バー公式ホームページ(https://waidanbar.com/welcome)より


僕がポインティさんの存在を知ったのは、ネットでたまたま「猥談バー」を見つけた、1年ほど前のことである。「面白いバーはないか」といろいろ探していて、見つけたのだった。それから、彼のYouTubeチャンネルなどを見るようになり、その人柄や発想力、企画力に敬服した。

残念ながら、まだ「猥談バー」の会員にはなっていないのだが、コロナがもう少し落ち着いたら、ぜひ会員になりたいと思っている。また、こんなエロ限定のnoteを始めたのも、多少、ポインティさんの影響が入っている。


◆純猥談


さて、このポインティさんが「純猥談」という企画を開始したのが2019年のことである。ポインティさんが代表の株式会社ポインティの一事業として、性愛にまつわる体験談投稿サービスを立ち上げ、「純猥談」と銘打って一般から広く性愛にまつわる体験談を集め始めたのである。

この「純猥談」というネーミングセンスが素晴らしい。Y談などとせず、ストレートに「猥談」とし、「純」をつけた。これは、純文学を意識してのことだろう。

このサービス開始から数か月後、ポインティさんは集めた体験談の1つから短編映画『触れた、だけだった。』を制作し、2020年2月14日のバレンタインデーにYouTubeにupした。この動画はすぐにバズり、半年で300万回再生を突破。2021年12月29日現在で1061万回以上の再生を記録している。


ポインティさんの展開力は、これだけでは終わらない。すぐに2作目の短編映画の製作に取り掛かり、「Netflixを通した世界配信」を目標とするプロジェクトを始動した。そして、2020年11月にCAMPFIREのクラウドファンディングで491人から386万円もの資金を集め、その年の12月14日に2作目『私たちの過ごした8年間は何だったんだろうね』をYouTubeにupした。


さらに、2021年8月には同じくCAMPFIREで、今度は3,874人から1584万円の資金を集め、3作目の「私もただの女の子なんだ」を10月10日にupした。この3作目は2021年12月29日現在ですでに2193万回再生であるから、驚きである。


そして、2021年2月には、河出書房新社から単行本『純猥談:一度寝ただけの女になりたくなかった』(純猥談編集部編、2021年2月26日)を出版、今年の9月には2作目の『純猥談:私もただの女の子なんだ』(純猥談編集部編、2021年9月27日)が刊行された。


この単行本『純猥談』は、2021年9月でシリーズ累計12万部というから、すでに16万部くらいは売れてそうである。この本が売れない時代に、単行本でこの部数は素晴らしい。確かに、書店では面陳めんちんで大々的にPRしている。面陳とは、書店の棚に背表紙ではなく、オモテ表紙を見せて並べることで、棚のスペースを取るので、売れ筋の本に限定の並べ方である。

ほかにも、Karinさんが歌う映画の主題歌も注目を集めている。


ポインティさんの「純猥談」は、この「コンテンツが売れない時代」のなかで、映像・書籍・音楽の連動企画として、短期間で若い男女の間で1つのムーブメントを引き起こしているのである。

……引き起こしているのである。。。

ひ、引き起こし……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………わーん!!!!(ToT) (ToT) (ToT)

この間、俺は何をやっていたんだ!!!(>_<)(>_<)(>_<)

酒飲んで、エッチして、風俗行って、オナニーして、SMして、酒飲んで、エッチして、風俗行って、オナニーして、ハプバー行って、コロナ禍で酒が飲めなくなって、パパ活始めて、飲み食いして、エッチして、パパ活やめてTinderして、エッチして、、、、、、、、もう、最悪!!!(ノдT)

……………すみません、執筆中に錯乱しました。大変失礼を致しました。


◆『純猥談』を読んでみた


さて、これほどポインティさんを好ましく思っていながら、また、書店に行くたびに凪さん(@nekokawaii1012)が描いた素敵な表紙の本が目に留まっていながら、手を出さないで来た。

凪さんInstagram(https://www.instagram.com/nekokawaii1012/)


家に積読が貯まっているし、仕事もそこそこ忙しいし、家庭もあるし、副業もあるし、ブログも書いているし、遊ばないと生きていけないしで、興味を持ちながらも手が出なかったのである。また、「どうせ、若い子向けの薄っぺらい本だろう」という気持ちもあった。

そんな気持ちでずっといたのだが、先日、D-8さんの『【書評】純猥談 佐伯ポインティ』という記事を読んで、「買ってみるか」という気持ちになった。あれだけ流れるような綺麗な文章で、質の高い作品を書く(ただし中身は倒錯の極みw)、D-8さんが推すのだから、読みがいがあるのかもしれない、と思ったのである。


そこで一昨日、購入したのが、『純猥談:私もただの女の子なんだ』(純猥談編集部編、2021年9月27日)である。間違えて2作目から買ってしまった。まあ、いいや。

早速、通勤の行き帰りの電車の中で読んでみたのだが…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………感動である

まだ半分程度しか読んでいないが、もう、1話を読むごとに、胸がキュッとなる。そう、アラフォーのオッサンの胸が、キュッとなるのである。最近の技巧派の若手小説家が書くような、サプライズやドキドキ感がある訳ではない。1話、1話は、あっけないほどに短い。だけど、そこに、現代の若い男女の性と愛のリアリティが凝縮されているのである。

猥談というが決してエロくはない。登場人物の多くは、今にありがちなセフレの関係だったりするのだが、セフレから恋愛関係になれないもどかしさ、すれ違い、悲しい別れなどが表現されていて、僕が持っていた「セフレ」に対するイメージが変わった。こんな気持ちもあり得るのか。いや、体だけの繋がりこそ、無理がある。これこそが、リアリティだろう、などと思った。

もちろん、ハッピーエンドの話もある。猥談の枠には入らない恋人同士の出会いと別れの物語もある。しかしどれも、最後にちょっとした展開、心に刺さる言葉があり、胸に響く作品になっている。元ネタをここまで仕上げるには、かなりの苦労がいっただろう。
さすが、河出書房新社だな、とも思った。

もう、2,800字、書きすぎた、苦笑。


◆純猥談は「猥談」か


しかし、話はこれで終わらない。

このように読んで感動している『純猥談』であるが、これは果たして「猥談」なのか、と思ったのである。

確かに、様々な形の性で繋がる男女が描かれているが、物語の根底にあるのは純愛だと思うのだ。元のストーリーの投稿者の大半は、女性である。これは男女の齟齬そごにも通じる話だが、女性にとっては多くの場合、性とは愛と不可分なもの、むしろ表現したいのは愛の方だと思ったのである。これは男とかなり異なる。

「純猥談」への投稿は今も続いており、Twitterで新規に投稿されたエピソードが配信されている。たまに流れてくるのを読むのだが、これも猥談ではなく、純愛のエピソードが多い。女性にとっては、どんなに乱れた性生活を送っていようが、求めているのは純愛なのだ、ということを再認識した機会であった。

この話、次の「雑記」に続きます。「素朴女子のアドバイスとアングラの病」というタイトルにする予定w

あー、またこんなに書いちゃった、苦笑。

※最後のイラストは韓国のフリーアイコンです。

ネットで検索したら「ネット乞食」という言葉に出くわしました。酷いこと言う人、いるなー。でも、歴史とたどれば、あらゆる「芸」は元々「乞食」と同根でした。サーカス、演芸、文芸、画芸しかりです。つまり、クリエイトとは……、あ、字数が! 皆様のお心付け……ください(笑) 活動のさらなる飛