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ショートショート27 『電話をしてるふり』
『電話をしてるふり』
まただ。
もう。
しつこいってば。
「ああ、もしもしごめんパパ。もうすぐ帰るよ。うんうん。そうだねうん。迎え?あ、どうしようかな。来てもらおうかな。ええと、今はね…」
私はよくナンパされる。
特に男受けを狙った格好はしてないつもり。
でもそりゃあ、かわいい服は着たいし、メイクも好きだし、見た目には気をつかっているつもり。
夜一人で歩いていると、繁華街、駅前、最寄り駅から
ショートショート68『My Life Book』
例えば自分のこれまでの一生が、
例えば自分の歩んできた人生が、
一冊の本になるとしたら。
例えばそれを死んでから読めるとしたら。
この出来事は一体、どんな物語となっているのだろう。
それはそれは甘くて、悲しくて、苦くて、酸っぱくて。
読者(私)が、ページを捲るたび引きつけられて仕方がない。
そんな物語になっていることを、切に願う。
*
昇(のぼる)と出会って、私の白黒だった人生は
ショートショート67『だれかがだれかを』
ショートショート
『だれかがだれかを』
「よしよし!売れる!これで売れる!」
20歳から始めた芸人。
その男の名前は山下一座。
一座、というのはもちろん芸名であり、ファンのみんなもぼくの一座ですよ、というダサめの意味も込めたピン芸人だ。
30歳のときに、初めて出たテレビ番組で爪痕を残した山下は、分かりやすく有頂天になっていた。
お笑い芸人、ピン芸人として、初めて掴んだ分かりやすいチャンス。
ショートショート65『ラブソングの秘密』
『ラブソングの秘密』
(A)
コンパで出会ったとある若い男女。
二人は盛り上がった。
とにかく話が合った。
いや、厳密に言うと、合わせていた。
お互い、顔が好みだったから。
中身なんて二の次。
顔が好みの相手の言うことは多少、的が外れていても受け入れることができた。
男は冗談交じりに、奇跡という言葉を乱用した。
出会いは奇跡だね。乾杯できるのも奇跡だね。
女は笑った。
少し“奇跡ノリ”がしつこい
ショートショート59『五等分の花嫁』+近況報告
『五等分の花嫁』
四人でケーキを食べたいなら四等分。
八人でピザなら八等分。
そうやって人々は昔から“平等”という愛すべき平和なやり方で一つのものを分けてきた。
では
『愛する一人の女を五人の男が欲した場合は?』
答えは簡単。
女を五等分にすればいい。
一応、先に言っておくが、ケーキと同じように文字通り“五等分に女を切り裂く”みたいなシリアルキラーなそれではない。
男全員が女を花嫁にし