見出し画像

#1 吉祥寺ブックマンションの棚主になる

それは突然決まりました。でも10年越しでした。
Twitterは見たくないものまで入って来てしまい、ちょっと身体に悪そうな気配だったので、ずいぶん前にアカウントも消していました。
そういう訳でアカウントはなかったのですが、近所の本屋さんや、遠くの素敵な本屋さんのアカウントはちょくちょく見に行っていました。アカウントのないスマホからだと登録するよう促され、すぐに見えなくなるので必死です。

SNSは、人生を変えるような啓示を、絶妙なタイミングで与えてくれる機能を標準装備しているようです。AIからのオススメという形で。

吉祥寺のブックマンションが、棚主を募集しているというのでした。
ブックマンションには何度かお邪魔したことがありました。
いいな、と思いました。
ブックマンションさんのホームページに行ったりしましたが、TwitterでDMをしなければならないということでした。空きはあと8棚でした。
もう募集が終わるかも知れない。
アカウントを作りました。アカウント名は書店名(この時点で書店主を気取っています)にしたい。Björn och Tiger にしよう。
DMで、DMすらしたことなかったのですが、「まだ大丈夫ですか?」と送ることができました。

片想いの相手にメッセージを送った経験がある方ならお分かりになると思いますが、突如そうした時と同じ状況に陥りました。
返事が、ない…やっぱりだめだ(実際には時間は全然経っていません!)、ああ返事、来た、イエス!

ーどんな本を販売される予定でしょうか?
ごくごく当然の質問です。ブックマンションの方も、どこの誰かも分からないアカウントからDMが来て、困ったなという感じだったかもしれません。この時点でTwitterで何も呟いていないのですから。

そして気がつくのです。
どんな本を販売するか、1ミリも考えていなかったということに。人に説明することばが何もないということに!

何も呟いていないのはまだしも、何も考えずはまずい。マズイ。ヤバイ。
棚には限りがあり、数多の応募者がいる(私の頭の中の実際の出来事です)。考え、答えなければ。

そして閃いたのです。
「浦辺法穂の憲法学教室を置いたら、いいかもしれないと。」

何も考えていない時に、慌てて自分でも変なことを口走ってしまう、ということは多くの人に時々あることだと思います。
20年近く前に読んだ、これまで読んだ1番厚い本のことを口走ってしまいました。好きな小説とかではなく。
厚いことさえ気にしなければ、本当はとても読みやすい本なのです、と付け加えました。

そして、落ち込んだり、自分に質問をしたり(なぜよりよってその本、しかも一冊だけ?)、縁がなかったんだなと思ったりし、忘れよう、と理由のない奮起をしたりしていました。気を紛らすために甘いものを食べました。立ち直りが早くなるのは年齢を重ねる(主に脳の記憶機能が低下する)ことで得られる一つの効用です。

良いお返事をいただいていたのに、何日か気がついていませんでした。

そういう経緯で、吉祥寺ブックマンションの棚主になります。
置きたい、と言ってしまった憲法学教室も棚に入る予定です。

啓示を得た無思考者の変化は、スピーディーに感じられます。
最初の質問を受けて「今年はたくさん本を読みたいから、読み終わった本を並べればいいか、でも、質問への答えには個性も見せなければ」という短絡思考が生まれました。
棚入れスケジュールが3/4に早まると「こだわり」が芽生え始めました。
読みおわった本をただ並べれば良いのですか?ほんとうに?
本屋さんに憧れていたのでしょう?
棚にテーマが必要では?
コンセプトを決めよう。

自分の好みと離れたところで(かといって完全には離れず)思考が進み、最初の棚のテーマは「考える」になりました。文字通り。最初の棚の本は、新刊書になり、棚に置く本と自分用の本を2冊買ったりと、大変おかしな状況になっています。

昨日、昔自分で書いた紙を探し、見つけました。
「ビョルンオティガ(Björn och Tiger ) 雑貨、アンティーク、茶、食品、書籍、衣類等の輸入・販売」とありました。
2013年8月に書かれたものでした。

そしてnoteも始めました。
棚の本の中から実際にいくつか読んで(!)、ここに書く、ということをしたいと思います。
10年越しなのですから。








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?