サイドコントロールエスケープ2(ベーシックカリキュラム) 1/30

今週のトライフォース志木のベーシックテクニックはサイドコントロールエスケープのパート2です。池袋や新宿など早川先生の目が届くところでは完璧にマニュアル通りの指導をするし杉村の目が届くところではインストラクターたちにトライフォースオンライン教則のクイックレビュー通りマニュアル通りの指導をさせていますが、トライフォース志木で杉村が指導するときは雑談も交えたりします。生え抜きの会員さんだともう6年間同じことばかり言われてそのうち飽きちゃうと思うので毎回なにか新しい情報を提供したくなるのが指導者の本能というものです。たぶん数年以内に杉村ベーシッククラスは消えてなくなると思うのでクラス内でよくする雑談や今後生まれてくる志木の生え抜きインストラクターたちへの伝言を残そうと思います。適宜追記すると思います。

1.ロールエスケープ (マウントカウンター) / Roll escape (mount counter)
このテクニックに関して、ニアサイドの膝がちゃんと相手のおなかにくっつくまで上げておかないとステルスマウント的なかんじでマウントテイクされてしまいますし、お尻がマットから浮くことも確認したいですね。最後にひっくり返すとき、かかとを自分のおしり近い位置においてからブリッジをするとブリッジの威力が激増するので、ペアドリルの最中にそっとアドバイスすると生徒たちの満足度がぐっとあがります。生徒の悦びが先生のエネルギーになるのです。ここまでやらなくても検定で減点したりしませんがやるなら最大のちからが出るフォームを目指したいです。

2.エルボーエスケープ(バックドア) / Elbow escape (back door)
この技法は相手と小気味よくコミュニケーションを取りながら進めるといいかんじのドリルになります。テクニックのやり取りです。最初は互いのやりたいことや相手にやってほしいことをぶつくさぶつくさ言い合いながらドリルするべきです。このやりとりは、アドバンストカリキュラムのフックスイープなんかに続くので、その週や翌週のレギュラークラスでフックスイープまで教えたいです。そもそも、リバースクロスボデイコントロールからマウントを狙う→防御フォームを取る→様子見る→罠をはる→罠を回避→フェイクのブリッジでもう一回罠をはる→更にリアクション、という細かすぎて伝わらない攻防の流れを前提としたテクニックになるので普通だったらこれだけで有料セミナーができちゃうような情報量です。カリキュラムの利点は仲間同士での技術の伝達が超高速だということなのでぜひともその利点を味わいたいものです。
あと、白帯の未経験者とスパーリングするときに、スイープさせて、パスガードさせて、抑え込ませて、さあマウントポジションですよというところまで持っていきこのバックドアのエルボーエスケープをすると最初に戻れるので、スパーリングの流れが途切れず永久にきもちよく攻防をやりとりできるので便利です。攻防をリセットできるベーシックテクニックがいくつかあります。
このテクニックはすべての動作を順番に行うことが肝要で、失敗例は2つ3つの動きを同時に再現しようとしてすべてが中途半端になることです。一つ一つを大げさくらいに再現していくと結果的に最短距離の最速ムーブになるトライフォース七不思議です。そしてそういった動きは結構多いです。

3.ファーサイドエスケープ(キックターン) / Far side escape (kick turn)
これぞ柔術これぞトライフォースのテクニックですが、ゆるゆるとやるといい感じにならないしゴリゴリやってもうまく動けないし、喧嘩腰にならずしかしリアルに動くことが強く求められる攻防のドリルです。このドリルをするときは必死で逃げる気持ちを再現したいです。もうすぐ死ぬかも的な。喧嘩商売(82点)の無極っぽさを。
志木の会員はバルボーザ先生と早川先生の試合を全員暗記していますがその試合でもキックターンがありますね。相手は結構ゴリゴリどころかゴリンゴリンきます。気持ちよく動くことと必死で動くことは矛盾しません。

柔道の教科書でキックターンを逆エビと呼んでいるのを目にしたことがありますがたしかにまあエビの逆ではあります。日本の一部の道場ではキックターンをバルボーザエビと言っていますがなぜでしょう。謎。私はバルボーザ系のブラジル人から紫をもらったし、たとえばバルボーザ先生の上の試合で腕を巻き込む抑え込みはポルトガル語でセントン(たぶん100トンの意味)という必殺技だったりしてけっこう彼らの動きに詳しいはずですがバルボーザエビという単語はきいたことない。謎。ホレッタスイープ的な俗語が日々生まれますが惑わされたくないものです。たとえばハヤカワエビとかシバモトエビっていうようなものですよね。芝海老みたいで失礼すぎてバルボーザエビの語源を調べることすらできません。

4.スピニングエスケープ / Spinning escape
ノーギでブルファイターが一気にノースサウス方向に走り込んできましたというときに焦らず様子見するとブルファイターがちょっと戸惑うのでさあ抑え込むがいいさと誘ってみるとこの動きがハマったりします。スピニングエスケープ自体がノースサウスコントロールへの特効薬的技法ですが個々の動きや考え方なんかをパーツごとに個別のスパーリングで使ってもやはり便利です。これはカリキュラムのテクニック全般に言えますね。相手が追いかけてくれるのを待つのが大切です。テクニックには正しいタイミングがあります。これもまたトライフォース技法全般に言えます。

5.レッグスイングエスケープ / Legs swing escape
2つ目のバリエーションのフィニッシュの流れがものすごく大切でしかも柔術っぽいのですが雑に再現するひとを見ると悲しい気持ちになりますね。といっても細かく細かく説明すると言われたほうも悲しい気持ちになっちゃうと思うので見守るにとどめます。帯を握っていた腕がスティフアームとなって相手の腰との距離を確保するところとか結構感動的だと思うんですが会員さんたちはどう思ってるんでしょうか。肩ベースで亀になってください二人分の体重をうけたまま腕立て伏せで起き上がると肩がぶっ壊れますよと何度言っても腕立て伏せする人がいます。柔術は直接コンタクトする格闘技なので限りなく暴力の領域に近いスポーツなのですが我々が敬意を払っているのは暴力ではなくスポーツであって、スポーツと暴力のあいだで揺れ動く中で腕立て伏せムーブと肩ベースを利用したムーブだったらより一層暴力から遠い動きを選びたいものです。ここらへんは言い方が難しくて、参ったと言わせたほうが正しいルールに敬意を払っている以上、腕力全開暴力マンが結果を出したらそっちが正しい柔術なのです。


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