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供給ストップ…が、漏水で救われる

写真=現在はすっかり水溜まりも引きました

 水の出が明らかに悪くなった。最大にひねっても、通常の半分程度の水量しか出ない。台所や洗面所はまあなんとかなるし、トイレもMAXでさえなんとか流れてくれた。
 けれど、シャワーが困った。チョロチョロと、こぼれ落ちてくる程度。海外の、水圧の弱いそれよりももっとひどいレベルだった。
「こりゃアカン。風邪ひいてまうわ…」
 水道局に連絡することを決意した。

 が、はたと思い出した。2、3日前、担当のおじさんが水道使用量チェックにやって来て以降、こうなったんだ、と。そして、山のように積み上がった請求書やら何やらをまさぐってみた。

「○日をもって、水の供給をストップいたします」

 ふた月前(水道は2ヵ月に1度の請求)の水道料金をうっかり支払いそこねており、あのおじさんは栓を締めに来た人だったのだ。

 ふたたび阿蘇山のような請求書をほじくり返す。そして、ようやく払込票を見つけたが、コンビニでの支払いはすでにアウト。遠く離れた水道局や近所にある市役所内の受付など、指定場所が数箇所。折悪しく、その日は土曜日だったので、市役所もアウト。幸い、小田原駅構内にある受付が土日もやっていることがわかり、慌てて競歩並みの速度で支払いに行った。
 料金を払うと、水道局に連絡を入れてくれ、「局の担当者が1時間半ほどで栓を開きに来てくれるそう」とのこと。

 で、やってきた人に、嬉しさ余って話しかけてみた。
「あれなんですね。ストップされても水は出るんですね!」

 自分はこれは水道局の温情だと思い、“平民の味方”水道局を賛辞するつもりで話したのだが、事は違った。
「え、水、出ましたか? おかしいなぁ。栓を締めたら、タンクに水が残ってるトイレくらいは出ますけど、それ以外は出ないはずですよ」

 それで判明した。漏水していたのだ。
 庭にある水道メーターが入ってる蓋の周りが水浸しになっていたのは何ヵ月も前からのこと。だが、極端に料金が跳ね上がっているわけでもなく、基本料金だけの請求だったから、ほったらかしにしておいたのだった。

 漏水は、また別の部署担当ということで、「担当者に伝えておきます」とのこと。そして、その担当部署から電話がかかってき、「○○だったら水道局負担、△△だったら、お客様で水道業者を探していただき、そちらは個人負担となります」という。
 何か人為的なミスで水道管を破裂させてしまったとかなら個人負担というのも納得できるが、何もしていないで…というのは腑に落ちない。そもそも、水道局と街の水道屋さんみたいなのは、やっぱり持ちつ持たれつで繋がってるんだということがわかった。
「年末で案件が一杯なので、年明けに伺います」とのこと。特に立ち合いは必要ないというが、立ち会わなければ、先方は何とでも処理できてしまうではないか。こういうことは、訪問前に連絡をくれるはずだが、それもしないという。ますます怪しい。

 で、先日。バイトを終えて帰宅し、PCで仕事をしていたら、若い男性2人が庭に入ってきた。ガラッと窓を開けるとびっくりして、「漏水を見に来ました」と。私の目を決して見ず、その目はパジャマ&部屋着兼用のドラゴンズパーカーに釘づけになっていた。オレのおでことしゃべる清水聡を思い出した。

これを着てました。ちなみに沖縄へはいまだ行ったことがありません

 ここに居る、ということだけでもプレッシャーをかけられると思う。事の真偽は定かではないが、結果、「パッキンの老朽化」ということで、無償交換で終わった。その説明をする彼の目は、竜のイラストから決して離れなかった。

 後から思い返して気づいた。私がドラゴンズファンということがわかっていれば問題ないが、そうでなかったら「辰年にちなんで着ている」と思われたんじゃないかと。
 それは恥ずかしすぎる。着ているものは同じだけど、その意味を取り違えられるだけで、両極端になってしまう。あ、辰年だからドラゴンズを応援していると思われるのも恥ずかしいな。いずれにしても、人と話すときは目を見て話したいし、話されたい。

 結果的に、漏水していたことで、数日は救われたということになる。そして今は快適な水圧を堪能している。もう2度と止められたくない。

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