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小説ができるまでの話。

昨年書いた創作についての記事がよく読まれたので、今回は小説ができるまでの話をしたいと思います。選考通過常連者ではないので、あまり参考にはならないと思いますが、こんなやり方で小説を作っているんですよ、という紹介。

1.構想段階
主に歩きながらアイデアがひらめくことが多いので、散歩をよくします。20代の頃は会社に通勤していたので、その帰り道、夕方のちょっと理性が鈍る時間によく物語の種を考えたりしていました。今では買い物の行き帰りがその時間ですね。

ひらめいた話は、iPhoneの日記アプリに箇条書きにしてストックしておきます。たとえば「高校生の恋愛・ルッキズム」や「ひとり暮らし・孤独」とか、タイトルが思いつけばそのタイトルを。だいたいストックしたら、少し置いておきます。漬け物のように。

それから、アイデア出し。A4の裏紙にその話に関して、考えつくものをひたすら書きます。始めから設定を詰めるわけではなく、とにかくそのテーマから考えられるもの、エピソード、人物像などをとりとめなく書く。書いたものはすべて採用するわけではないので、あとで丹念に読み返したりしません。書きながら物語や人物像を煮詰めて、掴んでいく感じです。

余談ですが、わたしが影響を受けた作家の江國香織さんは、構想段階で人物の"子ども時代”について丁寧に書いていくみたいです。

私は長編小説を書くときには、たとえ子供時代が出てこない小説でも、書く前にそれを作るんです。その子は、たとえば私立の小学校に通っていたとか、いじめっ子だったとか、いじめられっ子だったとか、学校が好きだったとか、ともかく過去のことが決まっていないと書けないんです。
(引用元|文藝 秋 2010 特集江国香織)

2.プロット
プロット……以前までは作っていたのですが、最近ではあまり正確に作らなくなりました。掌編小説はもともと作らず、アイデアが出たら即執筆に入っていたんですが、短編・中編はプロット立てて書いていたんですよね。それをやめた原因は、①執筆に入るまでに時間がかかる、②執筆に入るときどうしてもプロットから脱線したくなる、③単につまらない、の3つです。ずぼらな性格が表れていますね……。

それでも構想段階で3~4割は物語のあらすじが想像できるので、もう最近ではえいやっと執筆にはやばや入るようにしています。改め直したいのは、せめてラストくらいは考えようかな……ということですね。

3.執筆
そして執筆に入ります。執筆作業は毎回同じ時間にしています。ちょうど、ご飯を食べてゆっくりしたあとの、夕方より少し遅い時間。この時間に毎日30~60分書いて、あとはヨガ・瞑想して寝るといった感じ。朝に書く人も多いと思いますが、朝はどうしても思考がすっきりしていて、わたしの場合創作には不向きだなと感じます。ちょっと、頭が鈍っている、不安感や憂鬱感のある状態がいちばん言葉が吐き出されてくる。

4.推敲
原稿が終えたら、推敲。推敲ではパソコン上で修正しています。削るのが楽だから。そう、推敲はほとんど削る作業です。わたしの場合、初稿段階だと書き過ぎるんですよね。描写が多い、というより、人物の思考が多い。しかも地の文の。そこでいらない箇所を削り、形容詞に頼っているところを直したり、現実と矛盾している設定がないかリサーチしたり(この段階で)、表記統一をして、だいたい4巡以上して脱稿です。

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以上がわたしの小説を書くまでの話、でした。またこれからも、工夫して変えていくかもしれません。でも、10年書いていてようやく定まってきたやり方がこれです。この方法が、創作を嫌いにならずにつき合える方法なのかな、とわたしは感じています。ではでは。

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