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AIで販促効果アップ

はじめに

AI(人工知能)を活用した販促活動が注目を集めています。特に、西鉄ストアが実施したAI生成POP(Point of Purchase)の実験は、売り上げ増加という成功を収めました。この実験の成功ポイントや他の企業でも再現可能な方法について詳しく解説します。

実験の概要

西鉄ストアは、福岡県内の2店舗でAIを活用したPOPの実験を行いました。実験期間は2024年4月下旬から5月下旬までの約1カ月間です。AIは、店舗の購買データと通販サイトの口コミを解析し、効果的な「売り文句」を生成しました。この実験により、対象商品の売り上げが前年同期比で約6%増加しました。

課題と背景

  • スーパーマーケットでは、POPを付ける商品は作成工数や費用の観点から重点商品に限定されており、定番商品の販促手段は価格訴求が中心で、利益を圧迫している。

  • 広告費や販促費をかけられないメーカーの商品は消費者の認知と販売機会を得ることが難しく、新規のユーザー獲得が難しい課題がある。

  • 消費者は現状の売り場では、パッケージの情報や限られたPOPの情報でしか商品を選ぶことができず、それらの情報も中立性に欠ける。

実施のフロー

  1. 西鉄ストアのID-POSデータをAIで解析し、顧客層の特性と購買傾向を解明。

  2. 1の結果から潜在需要が見込め、かつ種類が多く訴求が難しいカレーカテゴリと韓国のりを対象商品に選定。

  3. マインディアのEC口コミ・購買データをAIで解析し、商品ごとに消費者評価の傾向を特定。

  4. 各商品に対して見込み客の特性を踏まえた商品説明文を、AIで自動生成。

2024年4月24日から5月21日の4週間、AIで生成した商品説明文のPOPを、「レガネット 牛頸」(カレーの定番棚に並ぶSKU30点)と「レガネット 東郷」(特定SKU1点)の2店舗で展開されました。

カレーの棚にAIで生成したPOPを展開
重点商品にAI生成のコピーを採用

引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000059670.html

成功のポイント

  1. データ解析の活用

    • 西鉄ストアのID-POSデータをAIで解析し、顧客層の特性と購買傾向を把握しました。これにより、特定の顧客層に向けた効果的な販促メッセージを生成することができました。

  2. 口コミデータの活用

    • マインディアが保有するECサイトの口コミデータをAIで解析し、消費者の評価や感想を基にしたリアルな情報をPOPに反映しました。これにより、消費者の購買意欲を高めることができました。

  3. 効率的なPOP作成

    • 従来のPOP作成は手作業で行われ、多大な労力と時間がかかりました。しかし、AIを活用することで、迅速かつ効果的なPOPを短時間で生成できるようになりました。

他社での再現方法

  1. データ収集と解析

    • まず、自社の購買データとECサイトの口コミデータを収集し、AIで解析します。これにより、顧客層の特性や購買傾向を把握します。

  2. AIツールの導入

    • AIを活用したデータ解析ツールを導入し、効果的な販促メッセージを生成します。具体的には、ChatGPTのような対話型AIを使用することが考えられます。

  3. カスタマイズされたPOPの作成

    • 解析結果を基に、特定の顧客層に向けたカスタマイズされたPOPを作成します。これにより、消費者の購買意欲を高めることができます。

専門用語の解説

ID-POSデータ: 販売時点情報管理データのこと。顧客の購買履歴や属性情報を含むデータです。例:「ID-POSデータを解析することで、どの顧客がどの商品を購入したかを把握できます。

POP(Point of Purchase): 購買時点広告のこと。店舗内で商品をアピールするための広告です。例:「POPを設置することで、消費者の目に留まりやすくなります。

結論

西鉄ストアの実験は、AIを活用した販促活動の成功例として注目されています。データ解析と口コミデータの活用により、効果的な販促メッセージを生成し、売り上げを増加させることができました。他の企業でも同様の方法を取り入れることで、効率的な販促活動を実現できるでしょう。


引用:2024/06/29 日本経済新聞 地方経済面 九州 13ページ

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