日本アイスの海外進出成功の秘訣

2024年6月18日 17:12

日本のアイスクリーム市場は、国内外で急成長しています。特にアジア市場での成功は、他の企業にも再現可能なモデルとなっています。この記事では、その成功ポイントを詳しく解説します。

2023年度の日本のアイスクリーム出荷額は、前年比10%増の6,082億円となり、過去最高を更新しました。この成長は、記録的な暑さと価格改定が影響しています。国内市場では「値上げ疲れ」の声もありますが、需要は依然として高いです。

2022年度の和・洋菓子、デザート類市場では、百貨店や専門店、量販店、コンビニエンスストアなど多様な流通チャネルが活用されました。特に、観光客や出張客の手土産需要が回復し、百貨店や空港での販売が増加しました。

アイスクリームは、日本で最も人気のあるスイーツです。日本アイスクリーム協会の調査によると、90%以上の人がアイスクリームを「好き」と回答しています。この人気は、国内市場の成長を支える大きな要因です。

日本のアイスクリームは、アジア市場でも大きな成功を収めています。2023年度の輸出額は前年比16%増の78億円、輸出量は10%増の9,689トンとなり、過去最高を記録しました。

井村屋グループは、マレーシアの工場でハラル認証を取得し、現地のニーズに合わせた商品を展開しています。例えば、ドリアン味のもちアイスは、現地で非常に人気があります。このように、現地化戦略が成功の鍵となっています。以下に、これらの取り組みについて詳しく説明します。

ハラル認証の取得

井村屋グループは、東南アジアや中近東諸国を中心とするイスラム圏への販路拡大を目指し、ハラル認証の取得を進めてきました。ハラル認証は、イスラム教の戒律に従った製品であることを示すもので、ムスリムの消費者にとって重要な品質保証となります。

井村屋シーズニング株式会社は、2014年6月11日に国内の粉末エキス調味料業界で初めてハラル認証を取得しました。認証団体はNPO法人日本ハラール協会で、マレーシア政府のハラール認証機関「JAKIM」やシンガポールの「MUIS」、タイの「CICCOT」からも承認を受けています。

認証品目には、カツオエキスパウダー、コンブエキスパウダー、ハクサイエキスパウダー、ネギエキスパウダー、チキンエキスパウダーなどが含まれています。これにより、ムスリムの消費者にも安心して利用できる製品を提供しています。

井村屋グループは、生産を委託する協力会社との連携を強化し、安定した供給体制を築いています。これにより、需要の急増にも対応できる体制を整えています。

森永製菓やロッテも、アジア市場での生産体制を強化しています。森永製菓は、生産を委託する協力会社との連携を強化し、ロッテは新商品の発売を遅らせることで生産への影響を最小限に抑えています。

現地のニーズに合わせた商品開発と、ハラル認証の取得など、現地化戦略が成功の鍵です。井村屋のドリアン味のもちアイスは、その好例です。

国内外での多様な流通チャネルの活用が、販売拡大に寄与しています。百貨店や空港、コンビニエンスストアなど、消費者がアクセスしやすい場所での販売が重要です。

SNSを活用した新たなマーケティング展開や、ギフト向け商品の多さが、消費者の購買意欲を高めています。特に、送料無料のアピールは消費者にとって大きなメリットです。

現地の消費者ニーズを丁寧に調査し、それに基づいた商品開発を行うことが重要です。例えば、ハラル認証の取得や、現地で人気のあるフレーバーの導入などが考えられます。

生産を委託する協力会社との連携を強化し、安定した供給体制を築くことが必要です。これにより、需要の急増にも対応できます。

SNSを活用したマーケティングや、ギフト向け商品の充実、送料無料のアピールなど、消費者にとって魅力的な販売戦略を展開することが効果的です。

日本のアイスクリーム市場は、国内外で急成長しています。特にアジア市場での成功は、現地化戦略や多様な流通チャネルの活用、効果的なマーケティングが鍵となっています。他の企業もこれらの成功ポイントを参考にすることで、同様の成功を収めることができるでしょう。

引用：　2024/06/18 日本経済新聞　朝刊 13ページ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか？