【掌編】祝福の光としなびたはんぺん
黄昏時、恋に落ちた。
薄く暮れた空、コンビニを出てアパートまでの道を歩く。
今年初めてのおでんがレジ横に並んでいて、思わず購入した。
ちくわ、こんにゃく、玉子、はんぺん、大根。定番のものばかり選んだそれを、大事に抱えて店を出た。
実を言うと、はんぺんは煮込まれていない方が好きだ。長時間ぷかぷかとだしの上に浮いていたような、茶色く染まったものは論外。
熱が通り、ほのかにふわっと膨らむ程度に軽く煮ただけの真っ白いはんぺんが好きだ。
かじるとしゅわっと音がして、舌の上