『とても弱い魔女の話』

一人は小さな魔女だった。
特性は「語り部」

知れば知るほど強くなる。そんな魔法。
けれど魔女は無垢だった。
目を背けてはならない。これから全てを知ることだろう。真実を、悲劇を、この物語を。

一人は臆病な魔女だった。
特性は「獅子」

怒れば怒るほど強くなる。そんな魔法。
けれど魔女は優しかった。
恐れてはならない。悲しみを知るがいい、絶望を味わうがいい。怒りとは憎悪にあらず。

一人は愚直な魔女だった。
特性は「案山子」

悩めば悩むほど強くなる。そんな魔法。
けれど魔女は正直すぎた。
放棄してはならない。さもなくば、魔力は塵と消えてしまうだろう。カラス達をその身に集めよ。

一人は空虚な魔女だった。
特性は「絡繰」

想えば想うほど強くなる。そんな魔法。
けれど魔女には心がなかった。
立ち止まってはならない。杖を振るえ、呪文を紡げ、歩き続けよ。答えは自ずと見つかるだろう。

———

今考えている創作の一節