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日記

2023年になりました。
去年の日記は去年のうちにと思ってたけど、書き終わらなかったけど、まあそんなこともある。続けましょう。

このあいだの日記に仕事がつらいなあということを書いて、そのあとの期間も仕事はずっとつらかった。手持ちの繁忙期が終わったかと思うと前担当していた仕事の繁忙期の手伝いをし、新しくやってきた仕事を担当することになってまた勝手も何もわからず……というかんじ。ていうか暮らしをするために(感染症流行の世で)毎日ぎゅうぎゅうの電車で通勤して残業もして休日は眠ってすごして……みたいなのがそもそもつらいよね。労働はクソ。
職場の最終営業日に飲み食いは無し&ちょっとした抽選会が有りの納会があって、抽選が当たると前に出てしゃべらなくちゃならないので「当たらないでくれ……」と祈りながら待っていたら当たらなくてほっとした。けど「よくがんばったで賞」みたいなのをいただいて結局すこししゃべることになって悔しかった。お菓子をもらいがんばりを認めてもらえるみたいなのはちょっとばかりうれしくて、うれしくなってしまうことがまた悔しい。「がんばったとおもってもらえるなら、時給にもっとあがってほしいし、有給がほしいし、ボーナスがほしいです」と言いたかったけど勇気がなくて「みなさんの助けがあってなんとかなりました、これからも力をお借りすると思いますが云々……」みたいになってしまったね。これ言っときながら来年の仕事始めの日に出社しなくてその後も永遠に出社なんてせず音信不通どこに行ったかわかられないまま南の島で楽しく暮らしていたらすごくおもしろいけど、なかなかそうはいかないのだ。

でも全然。
全然仕事がつらかっただけじゃないのがこの年末です。

12月のちょっと手前、11月の終わりのほうに、もう閉館してしまう元バイト先に最後のあいさつにいきました。なくなってしまう建物にさよならを言いに行く。仕事が終わってお菓子を買い、向かうと、このあいだ元バイト仲間と映画を見に行ったときに対応してくれた社員さんがすぐに私を見つけてくれる。「上に行ったらいいよ」とカジュアルに言われて、「マジかよ」と思いながら10年ぶりくらいに「関係者以外立ち入り禁止」の扉をひらく。階段をのぼる。正直、まったく覚えていなかったな。エレベーターがなくて階段でのぼりおりして、何階に休憩所として使っていた部屋があっただとか、そういうこと全部忘れちゃっていた。でも扉を開けると社員さんがいて、「あ、ここでパンとおにぎりと野菜ジュースを週3で摂っていた」て確かに感じる机があって、その机にたくさんのひとからの差し入れのお菓子やらが積まれていて、部屋中に引越しのためのダンボールがあって、「ここを知っている、このひとを知っている」っていう懐かしさと「ここはもうなくなるんだな」っていう実感が一度にきてやばかった。映画館のこれからの話とか、私の近況とか、とりとめないことをいっぱい話した。もう他に住人の去った半分廃墟みたいな建物を少しだけ案内してもらった。「ここは画家のアトリエとして使われていて」「それで絵の具のにおいがするんですね」。持ってきていたお菓子も忘れず渡した。「みんなで分けてください。最終日、他の元バイトのかたや元社員のかたが来たらその人びとにもぜひ」「ええ、きっとそうします」。一緒にインカメで写真を撮って、ラインを交換し、ラインで写真を送った。お互いいい報告ができるといいですねって言い合って。
楽しかった。
本当はすごく緊張していました。仕事終わりにお菓子を買いに行ったとき、「行っても何もしゃべれずに(いっぱい言いたいことがあったのに)って思いながら帰るんだろうな」って不安でした。職場では雑談を極力しないようにしていたし(雑談が苦手だから)、ずっと話し相手は姉と毎週通話している親しい友だちくらいで、なんかもう、私にはその他のひとと話したりとかはちょっと無理なんかもしれん……みたいになってたから。
久しぶりのひとと話せて楽しかったし、私は私が思ってるより大丈夫かもしれんなって思って、これがちょっとした転機の気がする。しています、今。

12月の始めには遠くに住んでいる(毎週末通話をしている)友だちが東京に遊びに来た。ので仕事を早退して一緒にカレーを食べた。いつも通話するときはマスクなんてしていないので、マスクをして待ち合わせるのが少し不思議だった。今年は去年に引き続きほとんどひとと会わなかったけれど、この友だちとは夏にも会っているので、遠くの友だちが「いちばん多く(2回)会った〈姉と職場のひと以外のひと〉のひとり」なのはなんかおもしろいな。カレーは大学のとき一緒によく行っていたカレー屋で食べた。ちょっと早めの時間に行ったからかガラガラで、のんびり食べることができました。でも安くておいしいんだし、もうちょっと客がいてもいいと思う……。
友だちと私とで、「ちょっと早いけどクリスマスプレゼント」てことでお互い持って来ていたコスメを交換した。私が髪を青く染めたからって青いマスカラをくれて、でもそのときにはもう髪は緑になっていたから、また青くしてこのマスカラをつけたいな。10個入りのマルセイバターサンドももらった。いつも5個入りだったから、10個入りってこういう箱なんだってそこにも感動した。
カレーは少しメニューや値段が変わっていたけれど、変わらずおいしく、なつかしい味だった。大学生のときも私、いつも日替わりカレーを頼んでいました。日替わりメニューが何かもとくに確認せずに、「何が出るかな」を楽しみにしていた。この日の日替わりカレーはチキンとブロッコリーだった。ブロッコリー入りのカレーもいいものですね。
カレーを食べ終わってから、大学までの道をゆっくり歩いた。記憶と違っているところと同じところが交互に出てきて、夢のなかにいるみたいだった。ふたりでよく行っていたツタヤも本屋ももうどこにもなかった。見たことのない店はたくさんたくさんあって、かつてそこに何があったのかは思い出せなかった。大学の様子もかなり変わっていた。ベンチにぬいぐるみを置いて写真を撮った。大学から駅まで歩いて戻るとき、知っている風景は少し増えていた。そうだった、この道を夜に歩くのはたいてい大学から駅に向かうときで、こっちのほうが「知っている」んだった。「ここは入ったことある」「一緒に来たっけ?」「どうだろ、一緒じゃないほうのサークルの集まりだったかも」「ここは行ったことない」「入ったことない店ばっかりだな」「これは前はなかった店」「うん、たぶん」ってお料理やさんひとつひとつとの記憶を確かめながら行く。
駅の近くの本屋もまた、もう存在しない本屋になっていた。「うちらの時代は終わったね」とか笑いながら歩いて、友だちの泊まるホテルの前で別れる。感染症の流行がもっとなんとかなったら、また一緒に旅行したりしたいなあと心底思います。

1年ぶりにストリップ劇場にも行った。浅草と渋谷のはしご。
その前日は手伝いをしていた仕事の繁忙期の山場で、深夜になっても終わらず、当日の朝になって帰宅しました。そこからちょっとだけ眠って、起きて、ぼーっとしてたら待ち合わせの時間ぎりぎりになって、さらに乗り換えに失敗して(同じホーム乗り換えで失敗するの悔しいぜ……)遅くなり、先に劇場に入っておいてもらう。まずは浅草。
徹夜明けでハイだったし遅刻であわててたから、ひとと会うことへの緊張は全然だったんだけど、「ストリップが初めてのひとに劇場を案内する」とき、いつも独特のドキドキがある。楽しんでもらえるといい。ぴったりの演目があるといい。スペシャルな出会いになってほしい……。
そういうドキドキはだいたい杞憂です。
浅草の1回目。いちばんうしろでも全体が見渡せるけど、近いほうがいいですかね、ですよね、うん、そうしましょう。というかんじで盆の横あたりの席に3人並んで座ります。いちばん盆に近い席はすでにとられていたけど、仕方ない。幕が上がるとめくるめくショーの世界。もう音と光だけで「またストリップに来れたんだ」とおもって泣きそうだった。それぞれ違う個性のコーデをまとった踊り子さんたちが、ティアラを順に渡してゆく。ところでアイカツ!曲のなかのとくに好きなひとつが「Take Me Higher」です。歌詞に「ここはハートが目覚めて花咲いてリスペクトし合う場所」っていう部分があるの。「女の子たち」の表象って「嫉妬し合い競い合うのを見て楽しむ」ものにされてしまうことってあって、「でも違うんだよ」という歌詞(だと私は思っている)。きらきらの照明のしたであかるい笑顔でティアラを渡し合うのを見て、「ウワー! ハートが目覚めて花咲いてリスペクトし合う場所だ!!!!」ってグッと来ていたね。
ひとりずつのショーもそれぞれ楽しくて、あっという間に前半が終わる。幕間に横に座るふたりに「どうでしたか」と声をかけて、なにか答えをきく前にその笑顔でもうわかる!みたいになる。楽しんでもらえてうれしい。後半もワーッて思っているうちに過ぎていきます。
次の劇場に行く前にカフェ。それぞれフレンチトーストとかパンケーキとかウインナーコーヒーを摂りながら見たばかりのショーの感想を伝え合ったり、他にもいろんな話をする。ストリップってひとりで行ってもサイコーだけど、やっぱり見終わったあとに「もこもこファー、超かわいかったですよね」「あのストーリーが感じられるのもよかった、切なかった……」「マジで目が合ったって思いました」みたいに言い合うとさらにサイコーです。カフェを出るころには夜になっていて、いざ渋谷。
渋谷には3回目の途中から入りました。ちょうどポラタイムだったので、明るい場内にちょうど並んで座れるところを見つける。座ります。さて、次に始まったのはお客さんとのコミュニケーションの多いクリスマス演目。なんかいろいろミラクルじゃんと思う場面があって、でも書いちゃうのがもったいないな。忘れたくないから書く日記だけど、そのいろいろは書かずに覚えていよう。それか紙の日記に書きます。2023年は紙の日記をやってみる年にしてもいいかもね。
渋谷には最終回の最後までいて、ステージ上の踊り子さんに手を振られながら退場します。最終回で撮ったポラを受付で回収する。「見てめっちゃかわいく撮れました」ってポラを自慢し合う。終電まではまだ少し時間があるのでまた少しお茶でもって流れになったのに、お茶できるところがあたりになかったのは残念でした。「このままラブホ女子会どうですか」と思ったけれど、初対面のひとに言うのもなと思ったし、何より徹夜仕事の疲れがどっと来ていた。「またもくりで感想言い合いましょう」ってことにして帰宅。

「もくり」というのは通話できるアプリで、ツイッターでなんらかの創作をするひとにはそのアプリを使った作業通話の相手を広く募っているひとがたくさんいます。私は「作業通話」に参加してみたくてアプリをダウンロードし、でも最後の通話するボタンが押せねえんだよな〜〜勇気がなくてよお〜〜〜というのを半年以上ずっとやってました。けど勇気を出したのがこの年末というワケ。またアイカツ!曲の話になりますが「SHINING LINE*」の「逸らせないくらい綺麗だったの」が頭のなかに流れたよね。好きな二次創作の作者さんと通話し、一緒にストリップに行ってもらい、同じ夢を見て同じ言葉を手にしたのです。(「ストリップ」に関するこの世にあるイメージってけっこう実際のストリップと離れていて、同じものを見て劇場の雰囲気を味わってやっと言語を共有できるようなところがあるので)。へへ……。

そのつくる作品が一次創作でも二次創作でも文章でもイラストでも漫画でも映像でもショーでも、「好きな作品の作者と親しくする」みたいなことへの抵抗感というか、「恐れ多い」ともちがうんだよね、「ファンと友だちは同時にはできないじゃん」みたいな気持ちってずっとあって(なんでそう思ってるのかわからないし、それが正解だとも思わないのだけど)、けど、二次創作だとたぶん特に(「編集さん」とか「ディレクターさん」とか「商業的な成功のため」のフィルタを通さないから)「あ、このひとは同じものを憎んでいるかもしれない」みたいなのをより強く感じることがあって、手を伸ばさずにはいられねえ瞬間が……ある……。
あったのでした。

ストリップに行った数日後には同人誌の大きい即売会があり、「一般参加」をしました。素敵なアンソロに参加させてもらったので主催のかたに挨拶をしたいがきっと会場に行く勇気がない……というのをこれもまた何ヶ月も前からくよくよ悩んでいたのだよね。相談相手もいないので姉に「どうしよう」てめっちゃ言ってた。けど「(締め切りに関して)迷惑をかけたので挨拶をしたい」の他にも「そのひとから本を受け取りたい」みたいなかたがいくらもいて、出しました勇気を……。「差し入れしてみたいけど何がいいかわからない」も姉にめちゃめちゃ相談していた。結局見た目と味が好きな食べ物を用意して、早起きをし、会場に。開場前に着いたけど行列がすごくて、「部数少な目です」てツイッターで見てた本もあったから「これは終わったな」ってちょっと思った。列が動き出して、自分の行きたいホールにちゃんと辿りつけますようにって祈りながら進む。入場の際に「見えるように入場券を掲げてください」ってアナウンスがあり、6人ずつの太い列がいっせいに入場券を掲げるので、槍を持って進む古代の軍みたいでおもしろかった。地図の見方がよくわからなくてあわあわしたりしつつ、売り切れに「そうよな、もっと早く来るべきだった……」てなったりしつつ、売り切れ以外の「手に入れるつもりだった」本は手に入れ、差し入れも渡し、大成功の向きでした。学生のときからの友だちもサークル参加していたから会いに行って本も買わせてもらい、差し入れも渡した。もし他のひとに差し入れを渡す勇気がなかったら全部この子に預けて帰ろう……と計画していたので、この友だちの荷物をいたずらに増やさないためにも大成功できてよかった。
「適当に歩いて気になった本を手に取る」みたいなことは全然できなかったので、次回の課題にしたいです。あと「自分から名乗る」もできなかったんだけど、インターネットに顔出ししてるおかげで見つけれもらえる場面があり、うれしかった……。いろんなことがありますね。
会場をあとにしても緊張が解けないので近くの海を見に行ってベンチに座ってぼーっとしていた。ぬい撮りもした。遊覧船が通ったので手を振ったけど誰も気づいてくれなくてさみしかった。ぼんやりツイッターを見てたら「撤収後どなたかお茶しませんか」のツイートを見つけて、「なんか出待ちしてるひとみたいになっちゃったな」て思いつつまたしても勇気を出し、めっちゃ楽しくお茶してもらって、いい人生だった。
これまでも2回くらい一般参加ってしたことがあって、そのたび「本を得てうれしいけど、声が出せなくなって指差しでなんとかするみたいなのがつらかった……」とかで落ち込んで帰ってたので、「楽しかった!」って思って帰れたのがすごくすごくうれしかったです。

映画館にも久しぶりに行った。「にわのすなば」を見に行きました。ちょうど後輩と友だちがトークイベントに出るので、仕事を早退して向かいます。帰りに挨拶に行って「えっ来てたの?」ってサプライズになりたかったんだけど、チケットを買ってるときに鉢合わせてしまった。でも少しだけど話せてうれしかったな。近況報告として「ジャンルに友だちができました!」みたいに話したんだけど、この友だちは短歌の先輩で好きな歌人でもあり、このひとといつの間にか友だちになってるみたいな経験がなかったら、「好きな二次創作の作者に声をかける」みたいな勇気もなかったかもねと思ってひとりでエモくなっていた。映画館で見る映画もすごくよかった。トークイベントはバラバラの知り合いが一堂に会して話をしてる変な夢の景色みたいで、それも映画の内容と合ってるようでおもしろかった。

そういうかんじで長くなったからもうやめるけれども、11月の終わりあたりから夢みたいな夜がいっぱいあった。物語は最後の最後まで気が抜けねえなって思います。うちらは物語じゃないけどね。2022年から脱出して、いま2023年ですが、ここでもまた勇気が出せるといいし、いろんな楽しいことが起きればいいな。

正月は帰省せず、東京で双子で楽しくやっています。