半月ほど西日
愛は悪の仕業と思う 川面には水切りの輪がすぐにこわれて
手をつなぐつなぎめの皮膚この世には吹かない風もあるから素敵
ひとが燃える映画はみんないい映画 ふたりでこわした銀馬なのだね
でもきみでなくてもよかったということ暮れる川辺でいつか話そう
川沿いの犬の散歩をゆびさせばまるでぼくらが描いた魔法
あの部屋を思い出すとき金色の光あふれて燃えるカーテン
半月ほど西日。それから。それからのことは知らない。行こうか。行こう
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2013年12月に出したネットプリント「金魚ファー」の6号に載せた連作です。