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日記(2021年2月)

2月の日記です。矯正のワイヤーがはずれたのはめちゃくちゃでかい出来事でした。もうワイヤーに麺もネギも何もかもくっついてしまうめんどくさい日々はおしまいです。リテーナーを装着し、食事のたびにリテーナーをはずし歯を磨きリテーナーを洗いリテーナーを付け直すめんどくさい日々の始まりでもある。歯列矯正をワンクール先に進んでいる姉がリテーナー生活に入るのを見てから私はぜったいめげるとおもっていたけど、5月になってもまだめげてないので、意外と大丈夫なのかもしれません。
そして「ワイヤーがはずれたらおいしいもの食べに行きましょう」をいろんな友だちに言っていて、そのうちのひとりとピクニックに行ったのも2月でした。大学のサークルの後輩です。ちょうど食べてみたいアイスがあったのと、でも室内で飲食するのが嫌だったのと、三寒四温はなはだしい日々だったのが合わさって、「その日になって、よく晴れた暖かい日だったら食べたいアイスを公園で食べる、寒い日だったら別の温かいテイクアウトを公園で食べる」という計画。だったけど、「せっかくワイヤーがはずれるのに食べたいものを食べなくていいんですか?」となり、結果的には寒い日に冷たいアイスを公園で震えながら食べるピクニックとなった。
震えながらは嘘。かなりあたたかい格好をして行ったし、後輩にピクニックの才能があって、私のぶんのホッカイロまで用意してくれていたから(わたしはピクニックの意思はあってもピクニックの才能・ピクニックへの努力がないのでそういう準備がとてもダメだった……)。
ピクニック会場の公園には銀座から歩いた。銀座シックスの、以前別の友だちたちとパフェを食べたお店で、ピスタチオ味のアイスがチョコでコーティングされた「ぴすたま」をテイクアウト。公園までの道のりでドトールに入り、あたたかいコーヒーも買った。公園までの道で後輩から「冬でも半袖の小学生だったけどとにかくお腹を壊しやすい子どもだった」話をきいて、この寒い日にこの子にアイスを食べさせて大丈夫なのかしら……と不安になったけれど大丈夫だった。ぴすたまの表面のアイスはがちがちに硬くて、たぶんワイヤーのついた歯では戦えなかった。ワイヤーがはずれた記念にふわさしいメニューでした。それに上品でおいしく、飽きのこない味をしていた。
後輩が私の倍の時間をかけてぴすたまを食べ終えると、公園のトイレを探し、歯を磨いてリテーナーを磨く。後輩も歯列矯正をしていて、同じようにリテーナーになっていたのだけど、そんなにこまめに洗ったりはしてないとのことだった。いろんなひとがいますね。リテーナーを付け直したら公園を何周も歩きながらいろいろ話をした。後輩の中高時代の部活の話をきいて、すごくおもしろくて、なんで大学で続けなかったのと訊ねたりしたとおもう。私は中高吹奏楽部をしていて、大学でも続ける気持ちが少しだけあったんだけど、見学に行って、楽器は買わなくちゃいけないし、遠くに演奏しに行く旅費とかもかなりかかるときいて諦めたのだった。のを思い出したりしていた。思い出したりしていたけどあんまり私は話さなくて、とっさに話をするのが苦手だからね、後輩の話すのをききながら歩きながら写メを撮ったりしていた。池に浮かぶ鳥とか、なんかかっこいい建物とか、閉まっている売店の寂しい様子とかを。なんで撮るんですかと訊かれて、思い出すのに使うからって答えたかもしれない。もう忘れ始めてる。後輩はじぶんはあまり写真を撮らないと言ったあとに閉まっている売店の寂しい様子を撮り、「先輩がこの風景を撮っていたなあと思い出すことにします」というようなことを言った。連れて行っていたシルバニアファミリーの赤ちゃんの撮影もしました。ごらん、これがぬい撮りですよ(ぬいぐるみではないけど)という顔をして撮った。アルパカとシルバニアファミリーの赤ちゃんを旅先で撮影したとき用のインスタアカウントがあるのだけど、もう全然動かせてないので、ふだん行かない公園で写真が撮れてうれしかったです。
公園をぐるぐるするのにも飽きたら銀座に戻って、閑散としたテラス席で温かいスタバを飲んだ。後輩が私との会話用にと呪術廻戦を読んできたと言うので、めちゃくちゃええやつだなと思いました。野薔薇ちゃんが好きだという話と、でも子どもが命がけで戦う話を大人として楽しんで読んでるのがじっさいきついという話と、なんかつらい話がいい話っぽくまとめられるのがすごい嫌いだという話をした。後輩もそれに関係あったりなかったりする話をいろいろしてくれて、お互いたぶん2割もいかんくらいしかわかりあわなかったけど、そういうのもかなり、ありだ。
後輩はこういうかんじでじぶんにとっての後輩や先輩と連絡をとるのをずっと続けているようで、なんだかすごく感動した。「いろいろ落ち着いたらまたみんなで遊びましょう」みたいなのをマジでやるのもいいかもしれないね。
それで「書くのを続けないと」という気持ちになり、「でもずっと書いとらんな」になり、3月のあいだ待ったけど頭のなかはミキサーにかかったみたいにムーっとするばかりで、4月にリハビリを始めることになるのでした。まだあんまり書ける気がしないけど、嘘でもいいから書けたいですね。
2月はほかに、通販で文旦を一箱買ったりもした。文旦、それも土佐の文旦をずっと食べたかったのです。グレープフルーツやメローゴールド、パール柑、べつの土地の文旦を買ったりもしたけど、土佐の文旦がどっさり食べたい! 段ボールで文旦がやってきてからは幸せな日々が続きました。でも幸せが終わるのが怖過ぎて、食べるスピードを落としすぎ、ついには残り2個ほどの文旦をダメにしてしまった。教訓話みたいになっちゃったね。つぎ文旦を箱で買うときは容赦はしない、もったいなくてもおいしいうちにハイスピードで食べあげてやる、と心に決めた双子なのでした。