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アメリカ横断テント旅〜最終章あやうくトロントに帰りそびれるとこだった〜

旅も終盤。
色んなところに行きすぎて、グランドキャニオンを訪れた時には目が肥えていたのか、あの壮大な風景に何の驚きも感じなくなっていた。

個人的にはアンテロープキャニオンとホースシューベンドが好きだった。
ホースシューベンドに関しては、その晩そこにテントを貼って寝泊まりした。
果たしてそんな事をしてよかったのだろうか。

デスバレーに行った時は、砂丘にデカデカとUSAという落書きがなされていたので、私はその後ろにGIと付け足した。
ウサギ…
砂に靴で跡を付けただけとは言え、そこは国立公園。
果たしてそんな事をしてよかったのだろうか。

そもそもテキトーに見つけた空き地でテントを張って焚き火をする生活。
それ自体、果たしてそんな事をしてよかったのだろうか。

ある朝、誰かいるのかい?とテントを開けられた事がある。
人を見た目で判断するのはよくないが、おそらくホームレスのおじさんだった。
3人ヒトが寝ているのを見て、彼は去っていったが、誰もいなかったらそこに住む気だったのではなかろうか。
なんて呑気な事を考えていたが、テントを開けたのが悪い人でなくてよかった。

出会う人に恵まれているのか、カフェのテラスでクッキーをもらった事がある。
その時我々はカフェで何を買うでもなく、ただテラスの机を利用してそこでいつもの20セントのインスタントラーメンを作っていた。
それを可愛そうに思ったのか、カフェのクッキーを恵んでくれたのだ。

人からもらう何かほど美味しいものはない。
昔ヨーロッパを旅している時、泊まったゲストハウスの一階にジャズバーがあったので、そこに行きたかったがお金がなく、ピザトーストを友人と半分こした事があった。
その時も可愛そうに思ったのか、店員がビールを一杯ずつご馳走してくれた。
あんな美味しいビールを初めて飲んだ。

今まで無茶苦茶な旅を何度かしてきたが、危険な目に遭わなかったのはきっと出会う人々に恵まれていたからだろう。

無事にロサンゼルスに到着してレンタカーを返却。
ロサンゼルスには3泊ほどしたが、基本3人自由行動。

私はハリウッドを散歩していると外人にナンパされたので、その日はその人と1日遊んだ。
旅行中だとナンパや通行人にかなりの注意を払うが、カナダで半年以上生活していたので感覚が麻痺していた。
思い返すと無茶苦茶な事を沢山していた。

一緒に旅した2人とはロサンゼルスでお別れ。
1人は日本に帰国、1人はバンクーバーへ、そして私はトロントへ帰った。

一度飛行機でニューヨークへ向かい、それからバスでトロントへ。
余ったインスタントラーメンを大量にバックパックに入れていたので、検問で止められた。

無事にニューヨークに着き、バスまでの時間は友人が働いているバーへ立ち寄った。
そこで隣に座った外人が、私のバックパックを見てどこを旅していたのか尋ねてきた。
テント生活していた事をありのままに話すと、彼は私をとても気に入り、しこたま酒を奢ってくれた。
こちらも気分がよくなりどんどん飲む。
せまりくるバスの時間。

ギリギリまで酒を飲み散らかして店を出た。
バスの集合場所までダッシュ。
しかしバスは目の前で行ってしまった。
大きく手を振りバスを停めようとしたが、運転手に首を振られて置き去りに。

近くで見ていた若者に、俺の家においでよと言われ、若干なびいたが断った。
途方に暮れていると、しばらくして2台目のバスが現れた。
そしてよく分からないが乗せてくれた。

なにはともあれトロントに帰ることができたのだ。
色々あったが素晴らしい経験が出来たと思う。

よく知りもしない小娘をアメリカ横断に連れて行ってくれた2人に感謝している。

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