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鬼は怠け者の道 ~鬼滅の刃・遊郭編を終えて

鬼滅の刃、遊郭編が終わりました。
鬼滅の刃、遊郭編では、竈門炭治郎禰豆子と、鬼である妓夫太郎堕姫が同じ兄妹で対比が注目されました。

炭治郎も鬼との戦いの中で、自分と妓夫太郎を対比し「一歩間違えれば逆の立場になっていたかもしれない」と考えます。

アニメ制作会社「ufotable(ユーフォーテーブル)」が、テレビアニメ「『鬼滅の刃』 遊郭編」第10話の放送後、主人公である竈門炭治郎と禰豆子、“上弦の陸”の鬼である妓夫太郎と堕姫を描いたイラストを公開した。2組の兄妹の対比に注目が集まっている。

https://times.abema.tv/articles/-/10013893

「炭治郎達は陽の光に向かって歩いている。反対に妓夫太郎達は陽の光を背にして歩いている」
「闇から抜け出そうとする兄妹と闇に堕ちて行く兄妹と」
などの考察も盛り上がっています。
※禰豆子の「禰」は、正式には「ネ+爾」の字

テレビアニメ「鬼滅の刃」遊郭編エンディングテーマであるAimer「朝が来る」の中にも、2つの道の対比について触れています。

♪失うことで堕ちていくのか、
それとも光を追いかけるのか
選んで来た道に散らした
涙も傷も遠くなって

何かことが起きたときに
やさしい道と困難な道の選択肢が2つあったら
どちらを選ぶでしょうか

『私は、人生の岐路に立った時、いつも困難なほうの道を選んできた。』
芸術家の岡本太郎さんが残した言葉です。

岡本太郎さんはそうかもしれないけど…
いつもリスクをとって困難の道を選ぶことはできるでしょうか。
そんなことはしないようにと教えられてきたのではないでしょうか。

なぜ大人は「リスクを取れ」と教えてくれないのか

自分だけでなく、私たち大人は、子どもに対してリスクを取れと言えるだろうか。
リスクや困難というと、とてつもなく危険なことに思うかもしれません。
そうした思考が「リスクを取れ」「困難な道をいけ」とは言えない背景にあるのではないでしょうか。

困難に挑むとは「心の声を聞き、声に従い行動すること」

困難とは、そのひとが乗り越えるべき試練であるのなら、
それを乗り越えるために生まれて来たとも言えるのであるのなら
実は避けてはいけない問題なのかもしれません。

しかし乗り越えるべき試練かどうかを判断するのは自分以外にはありません。

判断するには、心の声を聞く必要があります。
声に従い、行動することこそが
(超えるべき)困難に挑むということなのではないでしょうか。

人はなぜ生きるのかということにもかかわる話ですね。

他人を支配し自分は楽して生きるというのがゴールである西洋的な考えもあるでしょう。困難に挑むことを考えず、とりあえず楽な方ばかりに傾くまたは楽なステージへいくために生きるのも人生でしょう。

これはなかなか大変なテーマで自分を省みて考えさせられるテーマです。
少なくとも、自分の心の声を捉えられるようにしておく必要があると思います。

わかりやすければいいのか

分かりやすさをうたうメディアが跋扈し、便利さを売りにする製品が売れる時代においては、人生において何が重要かが見失われがちにならないでしょうか。そんな社会では、芸術を観る力を含め、判断をする能力が衰えてきてはないでしょうか。

能楽師の辰巳満次郎さんは、能の魅力についてこう教えてくれます。

表現を極限まで削って引き算して、観る人に豊かな発想や想像力を与えてくれるのが能の魅力。

今様 鬼対峙 満次郎の会より引用

触れた芸術の隙間をうめる人間の持つ想像力、創造力が豊かに花開いていくことが、芸術を深め理解していくことだということです。


観る人もそうかも知れませんが…。観る人が、想像力を持ちながら観ようとすればするほど、自分の自由な山、花、川…観えてくる。そこは、前衛的で面白いところであって…。そういうものは、どんどん廃れていくんですね。分らない人が増えていく…今、これから現代は、ボケーっとしてても面白ければいいっていうものばかりが流行る。人間の想像力は、衰えてしまうだけなのでしょうか。この人間固有の能力こそ大切にしたいものなのですが。

今様 鬼対峙 満次郎の会より引用

鬼は怠け者の道

心の声を聞くことは楽ではないかもしれない。特にそういう教育を受けてこなかった人にとっては大変なことなのかもしれません。でも人間固有の能力、人間の美しさを感じ、根源を感じることを放棄するのは、人間としての道を放棄することなのではないでしょうか。

鬼は怠け者の道なんですよ。楽な方に流される。苦労しないで、とにかく奇抜で大きなものをやれば、それがよろしいというのが楽なんです。

今様 鬼対峙 満次郎の会より引用

鬼滅の刃・遊郭編を終えて、改めて自分の中の「鬼」と対峙、まさに鬼タイジしてます。


※追記)この記事は鬼滅の刃・遊郭編10話が終わったあとに書き始めていたのですが、なかなかまとまらず、11話が終わったあとの「吉原の遊郭の今」のあとにやっと書くことができました。

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