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JT、財務省、たばこ利権

本日2022年4月2日、元神奈川県知事の松沢成文さんがたばこ利権と戦ってきた経緯を聞き、『JT、財務省、たばこ利権』という著作本も読ませていただきました。この本は松沢さんが受動喫煙防止条例の制定を進めるにあたって様々な利権と戦ってきたということが記載されています。

驚いたのは、日本には強固な「たばこ利権」があるということです。

そこには、たばこによる健康被害とか、国民の健康という視点はなく、たばこの販売量の維持によるたばこ税の確保であり、生産流通秩序の維持という、自由な競争による市場経済から隔離された「社会主義的計画経済」です。

ぼくは農学部の大学時代、コメの流通のことで卒業論文を書き、食糧管理法について調べていました。コメですら1995年に食糧管理法が廃止され、一部の輸入を認め、自由な販売や流通が可能になっているのに、たばこに関しては、JTが葉タバコ農家から全量買い上げをしているというではないですか。

JTは財務省の管轄で、監督、製造独占、小売免許を出し、天下り先にもなっています。財務省はJTの30%以上をもつ筆頭株主で、毎年300億円もの株の配当金をうけとっているそうです。また、たばこ税は財務省にとって勝手に操作できる財源であるだけなく、地方自治体にとっても貴重な財源なのです。

日本たばこ協会より

だから松沢さんがこの受動喫煙防止条例の素案を出すと、議会から反対され、当然JTだけでなく、飲食店やパチンコ業界からも猛反対があったそうです。

ただ市民の70%は賛成してくれ、医師会の賛成も得られたので、タウンミーティングで各業界へ説明したり、反対の多い議会でも多数派工作したりして、4年かかってやっと制定できたと話してくれました。

神奈川で起きた変革から、兵庫、静岡、そしてオリンピックをひかえる東京へと広がり日本全国へ広がったということだそうです。

一見、誰もが支持してくれそうな案による改革であっても、構造によっては非常に困難な道のりをたどるのだなということを知りました。でもこうやって少しづつ改革していくことが政治であり、それを支える民意なのだと思いました。





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