記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

イベント「愛歌う星の継承者」から考える「成宮すず」


この記事はファンコンテンツ・ポリシーに沿った非公式のファンコンテンツです。株式会社QualiArtsの認可/許諾は得ていません。楽曲の歌詞は表記にある通りの楽曲より引用、記事内画像は全てゲーム IDOLY PRIDEより引用権利は作詞者とProject IDOLY PRIDEに帰属します。



この記事はアプリ「IDOLY PRIDE」のイベントコミュ「愛歌う星の継承者」の感想及び個人的解釈による考察もどきの記事となります。

イベントコミュや関連カードのコミュのネタバレを大いに含むため、ご注意ください。

また筆者個人の思想、妄想、幻覚などを大いに含む内容となるため、
苦手な方はブラウザバックを強く推奨いたします。










はじめに


 アプリ「IDOLY PRIDE」にて、2022年3月28日からイベント「愛歌う星の継承者」が始まりました。

 こちらがイベントの告知画像及び報酬カード。成宮すずのカードかと思われそうですが長瀬琴乃のカードです。
 一見すると、顔を赤らめながら少女漫画チックな内容を話す成宮すずに対して、目のハイライトが死んでいる長瀬琴乃と神崎莉緒が「それは無い」と言わんばかりに手を横に振る、と言った様子のカードイラストなので、コミュもギャグ風味が強い、もしくはほとんどギャグの内容かと思われた方も多いのでは無いでしょうか。
 かくいう私もその1人で、自分の担当アイドルが度々他のコミュで出番を貰ってる分、反動としてこういう立ち回りをさせられるのはどこの作品でも同じなのか・・・と残念な気持ちになっていました。

 しかし実際にコミュを閲覧したら想像していたものとはとても大きくかけ離れた、「少女成宮すず」「アイドル成宮すず」の両面を描いた非常に感情を破壊しにかかる内容で、完読し終わった後はしばらく放心状態となり何もできなかったぐらいの衝撃を受けてしまいました。

 当記事では前回の記事で紹介しなかった(できなかった)イベント「愛歌う星の継承者」について私なりに感じたことや考えたことをまとめていこうと思います。
 私が受けた衝撃が少しでも伝われば幸いです。

※個人の解釈の都合及び分かりやすくするため、以降アプリ内に出てくるマネージャーのことを「牧野航平」として一部記載、取り扱っていきます。




"成宮すず"と"長瀬麻奈"


 コミュの内容は月のテンペストと LizNoirの合同レッスン中、牧野の視線が気になる、自分だけ異様に見られていると神崎莉緒に申告する成宮すず。理由は「長瀬麻奈のトリビュート企画」という色んなアイドルが長瀬麻奈の曲を歌う、と言った内容のテレビ特番のオファーが星見プロに舞い込み、考えた牧野は「Precious」を歌ってみないかとすずに持ちかけるところから始まります。

 一度この作品に触れたことのある方ならご存知の通り、成宮すずは長瀬麻奈を信奉し、自ら「二代目星降る奇跡」を名乗る場面があるほど麻奈のようなアイドルを目指しています。それこそ神格化してしまうほどに。
 きっかけは違うとしても麻奈を追いかけアイドルの頂点を目指すすずが麻奈の曲を歌う、本人にとって非常にプレッシャーが強いことです。コミュ内でも研究やレッスンをしていくうちに麻奈との実力の差をこれでもかと見せつけられ凹んでしまいます。


 そもそもすずにとっての「長瀬麻奈」とは一体なんでしょうか?


 麻奈の歌声やライブパフォーマンスに魅了されたファン、憧れの対象。と言えば非常に楽だと思います、ですが本当にそうなのか、それだけなのでしょうか?

 「パワフルガール 成宮すず」のコミュでは麻奈のプロポーションと自分の体型に違いを強く感じ、牧野にスタイルをよくする方法を聞き、「無理に背伸びをする必要はないんじゃないか」「自分の目の高さにある長所を見つけていけばいい」と諭されます。

牧野「なあ、すず
無理に背伸びをする必要はないんじゃないか?」

成宮すず「・・・背伸び、ですって?」

牧野「そうだ。
   どんなアイドルにも長所と短所がある
   もちろん麻奈にない、
   すずだけの魅力だってある
   背伸びをするんじゃなくて、一つ一つ
   自分の目の高さにある長所を
   見つけていけばいい」

「パワフルガール 成宮すず」アイドルストーリー1話「背伸びしてる?」より

 それに対しすずは「何も分かっていない」と返します。

成宮すず「あなた、麻奈様のそばで何を見ていたんですの?
 麻奈様に限って弱点などありえませんわ!
 あの方こそ、アイドルという山の頂
 一点の曇りもない、究極の存在!


 とにかく!「自分の目の高さにある長所」
 なんて甘えたことは言ってられませんの

 アイドルたる者、上を目指して当たり前
 理想のプロポーションも必ず手に入れて見せますわ

ですから 改めて・・・秘訣を教えなさい
アイドルのマネージャーなのですから
当然、そのくらい知っていますわね?」

「パワフルガール 成宮すず」アイドルストーリー1話「背伸びしてる?」より

 またその後のコミュでも長瀬麻奈を「目標」というより「目的」としているような意思を強く汲み取れるような発言があります。

成宮すず「アイドル界にその名を轟かすことになる成宮すずが
 こんな所でつまずいてる場合ではありませんわ
 第二の長瀬麻奈様になるために生まれてきた私ですもの!
 ファンの目は今日から私だけに釘付けですわ!」

「パワフルガール 成宮すず」アイドルストーリー2話「成宮すず、ここにあり!」より

 このコミュからだと長瀬麻奈を「目標」兼「目的」となっており、「アイドルになった理由は長瀬麻奈、頂点を目指す理由も長瀬麻奈」と、道なりもゴールも長瀬麻奈になってしまっており、初期の長瀬琴乃と同じような事態になってしまっていて非常に不安でした。しかし他のコミュでは

成宮すず「でも誤解なさらないでください。アイドルは私の夢
 留学したくないから目指す訳ではありません
 私は長瀬麻奈様のいた星見プロで、アイドルになりたい
 ──そうずっと、強く願っていたのですから

・・・かつて麻奈様もおっしゃっていました
 どんな困難が立ち塞がっても、自分を信じで突き進めば
 きっと打ち破れる、と
 あの麻奈様のお言葉がなければ、私は星見プロの前で
 二の足を踏んでいたかも知れません・・・」

牧野「なあ、すずはどうしてアイドルになりたいんだ?」

成宮すず「星見プロのマネージャーたる者が何を言いますか!
 麻奈様を見た女子がアイドルに憧れるのは、当然のこと
 ・・・でも、そうですわね
 かつて私が麻奈様の言葉に背中を押してもらったように
 私もまた、夢を抱いた人の背中を押してあげられる
 存在になりたい
、とも思っていますわ」

星見編2章 24話「逃げ出さないこと」より

 と、星見編のコミュにてしっかり「長瀬麻奈のように夢を抱いた人の背中を押してあげれる存在になりたい」という発言があり、上記の不安は杞憂であったことがわかり非常に安心しました。この時点での成宮すずにとっての長瀬麻奈はしっかり「アイドルになる目的、理由」ではなく「アイドルとしての目標、指標」として捉えていることがわかります。

 しかしそれだけで言えば他のアイドルも似たようなことが言える子がいますが、すずは違いました。アニメ版から通じて言わば「神格化」している節が多々見られます。

 そして神格化している長瀬麻奈に近づこうとしている、すなわち「神を目指している」とも捉えることができてしまいます。
 そこから自分の考える「長瀬麻奈は神様ではない」「人は神様を目指してはいけない」という考えについては、自分の中でもっと他人にも自分にもわかりやすく綺麗に言葉がまとまり次第、文章にしていこうかなと思います。
(ここについてずっと考えてたら1ヶ月以上過ぎていた為飛ばすことにしました)


 閑話休題。


 話をコミュの本題に戻しましょう。
 実の妹の長瀬琴乃や、最後まで競り合っていた神崎莉緒とはまた違った、特別な想いで長瀬麻奈を考え、追いかけ、成長を続ける成宮すず。そんな彼女に持ちかけられた長瀬麻奈のトリビュート企画。
 喧嘩をふっかける形で莉緒がすずのやる気にエンジンをかけるものの、上記の通りに長瀬麻奈と自分との実力の差を感じてしまい酷く自信を無くしてしまい、「どうして今回の企画に自分が選ばれたのか」と考え込んでしまいます。

 実力の差についても、他にも麻奈の妹である長瀬琴乃心臓の持ち主とされている川咲さくら〝長瀬麻奈のライバル〟神崎莉緒などを差し置いて一人目に、言ってしまえば第三者から見たらただの熱烈なファンの成宮すずが選ばれたことから、本人がそう悩んでしまうのも無理はないと思います。

 レッスン初日、ストレスとプレッシャーで体調不良の状態で自己暗示をかけボイストレーニングを始めますが、「全然声が出ていない、体調でも悪いのか」と牧野に指摘され開始二時間でレッスンが中断されてしまいます。

 すずは昨晩ずっと長瀬麻奈の研究をしていて寝ていないことを伝え、「どうして自分が自分が長瀬麻奈の曲を歌うのか、なぜ自分なのか」と牧野に問います。

成宮すず「あの、マネージャー、私、分かりませんの
 どうして、麻奈様の曲を私が歌のうか・・・
 マネージャーが、私を選んだのか・・・」

牧野「そうか・・・。俺の説明不足ですずを悩ませてしまったんだな
 すまない。ちゃんと説明するから、外に出よう」

成宮すず「はい・・・
 (ああ、私の体調管理ミスでマネージャーに
  心配を掛けてしまって・・・
  プロのアイドルになったのに、情けないですわ・・・)」

イベント「愛歌う星の継承者」3話「ラブストーリーは突然に」より

 この後カフェにて牧野が「なぜ数ある楽曲の中から "Precious" を選んだのか」「なぜ琴乃やさくらを差し置いてすずが選ばれたのか」を説明してくれるのですが、すずの寝不足の頭に牧野の

「(麻奈のことを)すずが誰にも負けないくらい好きだからだ」

が間違ってインプットされ、牧野から愛の告白を受けた、牧野が自分のことが好きだから今回選ばれたのだ、と勘違いしてしまいます
そんなことある?でもかわいいね




"成宮すず"と"牧野航平"


 こうして牧野からアイドルとマネージャーという関係を超えた禁断の愛の告白(?)を受けてしまったすず。
 そこで悶えているところに琴乃と莉緒が来て呆れ返っているところが今回のイベントカードのイラストの様子ですね。

 でもここですずは正直満更でもないような言動をします。

成宮すず「もし・・・仮に私が、
    彼を受け入れたとしたら・・・
    きっと、もっと先の段階を
    求められて・・・!?
    きゃー!きゃー!! 
    そんなの恥ずかし過ぎますわ!
    ・・・でも、ちょっとくらいなら
    ・・・ってバカあああ!

イベント「愛歌う星の継承者」4話「禁断の恋」より



は??????????????

ちょっとくらいなら・・・え???????????



 普通だったら「どう断るか、どう伝えるか」「これからどうか変わっていくか」を悩むところかなと思っていたのですが、すずは本当に可愛らしい顔で照れながら付き合ったその先のこと」を少しだけだとしても、「断るかの前」に考えています。
(いや元からすずはめちゃくちゃ可愛いですけどね照)

 つまりすずは以前から牧野を異性として考えたことがある、もしくは今まで男性経験が全くなかった為少女漫画的思考に直結してしまう、のどちらかとなります。僕は両方だと思います。

 すずは「困りましたわ〜」って言ってますが僕も十分困ってます。
「二代目星降る奇跡」を目指して途中経過まで似せなくてもいいだろ。


 ここで一旦牧野航平は成宮すずからどのように見えていたのかを簡単にまとめようと思います。

 アニメ序盤でも分かるように、最初牧野は完全に舐められてました。アニメ3話で事務所にいる牧野にみんなで本格的なレッスンがしたいと相談しにいくシーンでも開口一番「失礼しますわ、牧野はいる?」ですからね。

 そこからすずは少しずつ牧野のことを信頼していきます。アニメでだと8話の打ち上げで奢りと聞かされた時に「牧野」から「牧野さん」に変わったシーンが印象に残りがちですが、アプリのコミュには頼れるマネージャーへと印象が変わっていく様子が見れます。
(アプリで最初から癖は強いけど牧野の言うことはすぐ信じる節があるので、印象はずっと変わってない説はありますが・・・)
 その点に関しては「パワフルガール 成宮すず」の3話が特にわかりやすいかなと。

 牧野のことを信頼するようになってからは自分からワガママな行動を謝罪するようになります。すずは良い子だ。

成宮すず「はぁ、はぁ・・・やっと岸に戻れましたわ
 浮き輪で遊んでたら急に波にさらわれて驚きましたわ
     (中略)
 私を見つけるなり海に飛び込むなんて
 慌て過ぎじゃないかしら
 そんなに焦らなくても自力で泳いで戻れましたわよ」

牧野「そうだとしても、万が一ってことがあるだろ
 頼むから俺の目の届く範囲からいなくならないでくれ

成宮すず「そんなに私のことを・・・
 そ、そうですわね・・・
 心配させてしまって・・・そ、その・・・」

牧野「反省してるならそれでいいんだ
 すずが無事でよかったよ」

      (中略)

成宮すず「帰る前にちゃんと謝っておきたくて
 海で遊びたいとわがままを言ったせいで
 迷惑をかけましたよね
 私のために無理をしてくれたのに
 私は自分のことしか考えてなかった
 わがままばかり言って大人げなかったのですわ
 ごめんなさい・・・」

牧野「それを言うなら俺の方こそ謝らないと
 毎日忙しくて息が詰まってたんだよな
 すずはまだ中学生なのに、いろいろなことを我慢させて
 すまなかった。気をつけるよ」

       (中略)

成宮すず「だから今日みたいにみんなで海に来て
 スイカ割りをしたり、ビーチバレーをしたり・・・
 そうやって海で遊ぶことにずっと憧れていたのですわ」

牧野「そうだったのか・・・だからあんなにはしゃいで
 ・・・じゃあ、今日は楽しめたか?」

成宮すず「ええ、良い思い出になりましたわ
 こんな風に楽しめたのはマネージャーの
 おかげと言えなくもないというか・・・
 だ、だから、今日だけは特別に
 感謝してあげてもいのですわ
 あ、ありがとう・・・ですの」

牧野「すず・・・顔が真っ赤だぞ」

成宮すず「やかましいですわ!」

「ほろにがサマーメモリーズ 成宮すず」アイドルストーリー3話「サマーメモリー」より

(そういえば某アイドルさんもマネージャーにわがまま言ってかき氷の出店手伝ったりしてましたね)



 イベントコミュの話に戻りましょう。
告白(勘違い)を受けて悶えるすず、それを見て琴乃と莉緒はすずに原因は何かと問い詰めます。
 くるみ(とりんご)を割れる莉緒の握力で問い詰められたすずは2人に「マネージャーに告白された」と話します。
それを聞いた2人は「マネージャーは星見プロのアイドル全員のことが好きって言う気がする」「本気でそう思ってるでしょうね」と返します。ちなみに僕もそう思います。

成宮すず「実は、マネージャーさんに・・・告白されましたの
 私のことが好きだって・・・」

長瀬琴乃「・・・マネージャーさんは、星見プロのアイドル
 全員のことが好きって言う気がする」

神崎莉緒「ええ、本気でそう思ってるでしょうね」

成宮すず「そうではなく!マネージャーさんは!
 異性として私を愛してしまったんですわ!
 アイドルとマネージャーの禁断の恋ですわ!
 ああ、私はどうしたら良いのか・・・!」

琴乃・莉緒「ないない」

成宮すず「どうして、そんなことが言い切れるんですの!?
 ちょっと私の扱いが酷過ぎません!?
 まるで、私に女性としての魅力がないみたい
 ではありませんか!?」

長瀬琴乃「そういう意味じゃないけど・・・
 マネージャー、恋人というか、お兄さん?」

イベント「愛歌う星の継承者」4話「禁断の恋」より

 早速否定されましたがすずはこのままで牧野と2人でレッスンなんてとても出来ない、しかしトリビュート企画のレッスンはやらなくてないけない・・・と悩みを話します。話を受けた2人は保護者的な(?)立ち位置ですずのレッスンに立ち合います。

 今日こそはと見守られながらレッスンを始めるすず、しかし昨日よりかは声は出ているものの、マネージャーを意識してしまい歌に集中出来ず、牧野に「もっと丁寧に歌ってほしい」と言われてしまいます。

牧野「声、昨日よりは出ているけど、上ずっている気がするな
 すず、歌に集中出来ていないだろう?」
 「すずはこの歌が大好きだったはずだろう?
  なら、もっと丁寧に歌ってほしい」


成宮すず「!? だ、誰のせいだと、思っているんですの!
 この大切な時に、あんなことを言うなんて──
 マネージャーは無神経過ぎますわ!
 私・・・初めての経験ですのに!

牧野「——え? 俺? 俺が何か・・・」

成宮すず「あ・・・。い、いえ、その・・・
     失礼しますわ!」

牧野「あっ、すず!」

イベント「愛歌う星の継承者」4話「禁断の恋」より




" Precious "


 ここで一度今回成宮すずが歌うことになった「Precious」について書きたいと思います。

 単刀直入に言うとこの曲は長瀬麻奈が牧野航平に向けて歌った歌という説があり、自分もそれを押しています。

エメラルドの そよ風 誘う
遥かな 未来 (未来) 旅行 (旅行)
Happyな予感 カバンに いっぱい
詰めたら Good day (Good day) New day (New day)


夢の 蕾 ひとり 育てていた
過去は 咲いた
一瞬の魔法 あなたの存在
変えたの One way(One way) My way (My way)


Sharing 想像以上の共鳴にFeeling
光った その眩しさに泣きそうになる
笑って そこにいてくれるだけで
羽ばたけるよ もっと


毎秒 想いを束ねて
あなた目掛けて投げるから
You are my precious

Precious / 長瀬麻奈(CV.神田沙也加)
https://www.lyrical-nonsense.com/lyrics/mana-nagase/precious/

「毎秒想いを束ねて あなた目掛けて投げるから」てあなた・・・

それと

「夢の蕾ひとり育てていた」

の下りの「過去は咲いた」は「牧野航平という存在によって過去夢見たアイドルへの憧れが再び動き、新たな目標を持って咲き始めた」という意味合いかと考えています。だから

「一瞬の魔法 あなたの存在
変えたの One way(One way) My way (My way)」

かなと。新たな目標についてはコミック「IDOLY PRIDE Beginning of Lodestar」を是非読んでいただきたいです。ステマします。

 そんなメッセージ性の強い曲ですが、この曲を牧野航平に当てたような曲に感じるのは私たちがこの作品の登場人物ではなく、第三者の読者であるからそういう発想にたどり着くのであって、作中のキャラクターにはそう簡単にこういう思考まで行かないと思います。

 それでも、朝になるまで何度も何度もこの曲を聴いて、パフォーマンスを研究することができる成宮すずには、少なくとも「大切な人へ送る、強いメッセージ性を持った、とても繊細でとても大事な歌」であることは理解していたと思います。

 そんな彼女がこの「Precious」を雑に歌うなんてことあり得るのでしょうか。

 最も敬愛する人物が残した、最も自分の愛する曲を、レッスンとはいえ想い人の前で歌うというのは、非常に難しい行為だと私は思います。

 イベントコミュ4話の牧野の「もっと丁寧に歌って欲しい」という発言は、事情を知らない(そもそも被害者みたいなところはあるが)としても彼女にしたらかなり心が傷ついてしまうような発言であると思う反面、ずっと長瀬麻奈のそばにいた1人で、成宮すず以上に「Precious」への強い感情を抱いている、本当に大切な曲を自分が信じたアイドルに託したのに関わらずまともにレッスンが進まないといった現状を考えると、そういう言葉が出てしまうのも頷けるとも思います。



 ショックを受けたすずはレッスン中なのにその場から走り去ってしまいます。「今は貴方じゃない方がいい」と牧野に言いすずを追う莉緒、事情を聞く為にその場に残る琴乃。

 すずは逃げた先で「うまく歌えないことを牧野のせいにした」ことを反省して落ち込んでいました。曲が曲なので尚更でしょう。
逃げたすずを見つけた莉緒は牧野から預かった楽譜を渡します。そこには牧野が「Precious」について牧野なりに気がついたことがびっしりと書き込まれていました。
 歌の特性、歌い方のコツ、すずの歌い方の癖まで細かく、長瀬麻奈の隣で誰よりも彼女の曲を聴いていた牧野にしか書けないことばかり。
長瀬麻奈が遺した曲を、すずに、沢山の人に知って欲しい、聴いてほしい、牧野はそんな想いを込めてすずに渡してもらうように莉緒に預けていました。

 すずは、この楽譜を見てあることに気づいてしまいます。


成宮すず「(私は麻奈様の曲を完璧に理解したつもりでいました
 けど、このメモを見たら、全然だってわかりますわ・・・
 マネージャーの必死さが伝わってくる・・・
 本当に、麻奈様のことを・・・)
 胸が苦しくなってきましたわ・・・

神崎莉緒「ん? どうしたの?」

成宮すず「な、なんでもありませんわ!
     それより、莉緒さん」

神崎莉緒「何?」

成宮すず「もしかしたら、マネージャーは
 麻奈様のことを異性として好きだったんじゃ——


神崎莉緒「さあ、どうかしら。それは私にも——」

イベント「愛歌う星の継承者」5話「敵わぬ相手」より
↑は?    


 すずは、2人の想いを悟ってしまいます。
 勘違いから始まったとはいえ、まだ完全に自分自身の気持ちを理解しきれていないとはいえ、牧野のことが好きになってしまった彼女に恋敵が発覚してしまいます。それも、絶対に手が届かない相手。

 ちなみに、このイベントの同時期に限定ガチャに登場した成宮すずのカード名は「背伸びをしても、届かない」です。

 この後事情を聴いてきた琴乃によって「全てすずの勘違いで、牧野はすずに対して恋愛感情を持っていなかったこと」が追い討ちのように発覚します。

 全ては終わるかのように思うかもしれませんが、一度進路を決めて動き出してしまった人の願いや想いはそう簡単に止まったり変わることはないものです。
 隣の席の少年の為にアイドルを目指した少女が、そうであったように。
家を飛び出し「星降る奇跡」を夢見て、高みを目指す少女がそうであるように。


 収録当日、すずは無事最高の「Precious」を歌い上げます。舞台袖から見ていた牧野が思わず聴き惚れてしまうほどに。

成宮すず「あの、マネージャーさん・・・。お聞きしますわ
 本当は、怖いのですけれど・・・
 ・・・私は、うまく歌えましたか?
 私を選んで、後悔していませんか?


牧野「・・・俺は聴き惚れていたよ。仕事を忘れるほどだった
 すずに頼んで、本当に良かった。ありがとう

成宮すず「・・・そ、うでしたか・・・私・・・
 マネージャーの期待に応えられましたのね
 ぐすっ、
 良かった・・・良かったですわ・・・!」

牧野「泣くなよ、いや、今ぐらいはいいか・・・
   本当によくやったな、すず」

成宮すず「あ、頭を撫でないで下さいまし!
     私は子供じゃありませんわ!
     (中略)
     ・・・まあ、
     嬉しかったからいいですけど・・・」

イベント「愛歌う星の継承者」6話「Precious」より

 敬愛する長瀬麻奈に向けて「Precious」を歌い切った成宮すずは、牧野に話し始めます。

成宮すず「マネージャー。私、改めて分かったのですわ
 私は麻奈様の大大大ファンですけど──
 今は同じステージに立つアイドルだということに!
 だから、あなたはもっともっと私を大切にするのですわ
 私のことを今まで以上に大切にしてトップアイドルに
 育てて下さい! 二人で次の伝説をつくるのです!
 成宮すずはきっと麻奈様以上のアイドルになって
 あなたを伝説のマネージャーにして差し上げますわ!

イベント「愛歌う星の継承者」6話「Precious」より

 そうしてすずに反省会へと連れてかれる牧野を見ながら呟く莉緒のセリフでこのイベントは締められます。

神崎莉緒「・・・あの子も、麻奈と張り合う気になったのね
 もっとも、歌以外でも、張り合いそうだけど・・・
 当人達は気づいてるのかしらね?麻奈

イベント「愛歌う星の継承者」6話「Precious」より




おわりに


 「愛歌う星の継承者」というイベントは、「少女成宮すず」「アイドル成宮すず」の両面を描いた内容だと、最初に書きました。
 初めて恋心を知り、周りを巻き込みつつも成長する「少女成宮すず」
自分が最も敬愛するアイドルさえも超えて見せるという決意を我々に示した「アイドル成宮すず」。
 この2面の成宮すずを少しでも感じ取って、少しでも成宮すずのことが気になっていただけたのであれば、それ以上に嬉しいことはありません。

 彼女は「二代目星降る奇跡」を目指しています。それはとてもとても高く、険しい壁で、目標です。
 私は彼女が「星降る奇跡」になったその時、一体彼女にどんな感情が芽生え、それらを見守ってきた彼は何を考え、そして彼女は彼になんと言葉を掛けるのか、2人の関係はどう変化していくのかが非常に楽しみであり、それらを見て知るのが身体が震えるほど怖いです。

 「夢」というのは時に「道標」になり、「希望」になり、「呪い」になります。
 行くべき先を照らし、使命を追わせてしまう。
 「二代目星降る奇跡」を同じく夢見てしまい、奇跡が叶う瞬間を求めてしまった私にかけられたのは「希望」でしょうか?それとも「呪い」でしょうか?

 敵わぬ恋を胸に抱き、背伸びをしても届かないものを相手にしてしまった「成宮すず」が私に見せてくれるものは、一体どんな「奇跡」でしょうか?

 願わくば、彼女に輝かしい未来が降り注ぎますように。
 彼女やその周りが笑顔でいてほしい。
 せめて、この関係が続くまでの間だけでも。


 最後に同時期に登場した限定カードのコミュから1つ引用して、この記事を終わらせたいと思います。

 書ききれなかったところなどは、また別の機会に。

 最後まで読んで頂きありがとうございました。


成宮すず「・・・ところで、なんですけど
    麻奈様は・・・マネージャーのことを
    どのように思っていたのでしょうね?」

牧野「え?ど、どうって・・・
   別に、麻奈と俺は単に
   アイドルとマネージャーの
   関係だから・・・」

成宮すず「その顔、何かあったのですわね」

牧野「い、いや・・・そんな、ことはだな・・・」

成宮すず「まあいいですわ
   これ以上追求するのはやめておきましょう
   大切なのはこれからのことですから
   マネージャー、これからの私の活躍を
   『二代目星降る奇跡』としての成宮すず
   どうか見守っていてくださいまし」

「背伸びをしても、届かない 成宮すず」アイドルストーリー3話「砂浜で夜風に吹かれて」より











P.S.
相川奏多さんへ
7月2日本当にPrecious歌うんですか?
ぼくより


2022.06.29.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?