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【シカゴでバードウォッチング!】Cooper's Hawk

可愛い小鳥たちの記事の後には、やはり猛禽類に登場してもらいましょう。

バーディングを始めるまでは、猛禽類なんて怖いだけと思い、見る気にもならず目を背けていましたが、実際に自然の中でバーディングを始めたら、可愛い小さい鳥よりも、大きくて強い猛禽類に魅せられるようになってしまいました。自分の中にこんな凶暴なものがいいと思う気持ちがあったなんて・・・。

鷹や鷲やフクロウは大きくて見つけやすいということもありますが、それ以上にシカゴでは猛禽類が身近に生息していてよく見かけるというのが大きな理由でしょう。私が住んでいた世田谷区の住宅街の上空に鷹や鷲やフクロウがいたことはまずありませんでしたし、今もそうでしょう。

さて、今回は数ある猛禽類の中のCooper's Hawk (クーパーハイタカ、日本にはいません) をご紹介しましょう。Cooper's Hawkに似ている日本のハイタカは、英語ではEurasian Sparrowhawkといい、旧世界の鳥の分類になっています。

私が初めてCooper's Hawkを見たのは、バーディングを始める前のことです。家の前にある広い公園の木々の中を尻尾の長い猛禽類の鳥が一直線にス〜〜ッと飛翔していて、「わあ〜〜、カッコイイ〜〜!」と痺れて見惚れていた時に、Cooper's Hawkという鳥だと教えてもらったんです。

頭と翼は青みがかった灰色で、胸は白地にえんじ色の縞模様があり、目は赤いです。嘴は、猛禽類らしく、鉤型のカーブした鋭いもので、尻尾が長く、チャーコールグレーの横縞があります。そして、猛禽類らしいしっかりした黄色い足。(私はこれがとっても気持ちが悪くて見たくないんですが。)鷹類は大体雄よりも雌の方が体が大きいですが、Cooper's Hawkも御多分に洩れず雄は小ぶりです。でも、二羽が並んでいないと、大きさの比較は難しいので、見分けるのは至難の技です。

正面から見たCooper's Hawkのオス      ©Dan Lory

どうしてこの鳥が公園の木々の中を飛んでいたかというと、枝を集めて巣を作っていたからです。

家の前の公園の木の上に巣を作っているのに私たちが気がついたのは2015年で、その後は2016年と2017年。でも、2018年には巣を作らなかったのでがっかりしましたが、2019年には戻ってきました。が、残念ながら、その後営巣しなくなってしまいました。そのかわりかどうかわかりませんが、毎日歩いて通っていた大学のキャンパス内の木の上に巣があるのを見つけました。公園でもキャンパス内でも、木の下を歩いている人たちはCooper's Hawkの巣が頭上にあることには全く気づかず、子育てに忙しい様子も目に入りません。なんと残念なことでしょう!と思うのは、バーディングをしている人だけですね。でも、他の人が知らない秘密を私だけが知っているというのもまんざら悪くないです。(笑)

雄はまず枝を集めて巣作りにいそしみます。何回も枝を咥えては巣に戻って形を整え、また飛んできて枝を咥えて巣に戻ります。そのけなげな姿を見ていると、思わず「男はつらいよ」という言葉が口から出てきてしまうのは私だけでしょうか。(笑)そう思うのは人間だけで、Cooper's Hawkの雄は嬉々として愛の巣作りをしていたかもしれませんね。

巣作りのために枝を集めている凛々しい姿のCooper's Hawkのオス     ©Dan Lory     
巣作りの枝をしっかり掴んで巣に運ぶCooper's Hawkのオス      ©Dan Lory

さて、巣が完成したら、次にはお相手を見つけなければなりません。雄は、雌のために小鳥などの獲物を咥えてきて雌の気を引きます。下の写真は、捕ってきた獲物で見事に雌のハートを射止めた雄が、その獲物を足元に「おあずけ」にしたまま、世継ぎ誕生の願望を果たしている瞬間です。カメラのファインダーからの覗き魔と化した夫が撮った写真です。(笑)

念願叶ったオス      ©Dan Lory

それからしばらく経って、雛の頭が三つ巣の上の方に見えるようになり、ついに全身を見せてくれました。やっぱり猛禽類でも幼鳥はモフモフしていて可愛いですね〜!

三羽の雛      ©Dan Lory

でも、三羽も雛がいると親はエサの確保におおわらわ。幸い公園には鳥が色々いるので、エサの調達には事欠かなかったと思いますが、何羽の鳥や小動物が犠牲になったことでしょう。私たちの生活圏の中で自然の生き物の闘いも日々繰り広げられているということを思い出させてくれました。

公園にはテニスコートがあったり犬にボールを投げている人がいるのですが、時々Cooper's Hawkは飛んでいるボールを鳥と勘違いするのか、ボールに向かってス〜〜ッと飛び降りてくるので人間たちは叫び声をあげています。そして、雛鳥たちは枝にちょこんと座って、テニスの試合の観客のようにボールを追って首を左右に動かしている時もあり、微笑ましいです。

テニスボールを目で追っている幼鳥たち      ©Dan Lory

ちなみに、前回の記事に書いたHummingbirdはよく猛禽類の巣のそばに営巣するそうです。Cooper's HawkはHummingbirdのような極小の鳥には見向きもしませんし、他の鳥たちはCooper's Hawkの近くにはなるべく近寄らないようにするので、華奢なHummingbirdにとっては一番安全な巣作りの場になるんだそうです。本当に鳥や動物たちって賢いですね〜。

昨秋、庭を眺めていると大きな鳥がビューンと飛んできたので目で追っていたら、なんとお隣さんの庭に植えてある日本の紅葉の枝に留まりました。Cooper's Hawkでした。公園で巣を作らなくなっても、今でも私たちの生活圏内にいてくれるようで安心しました。

またいつの日か、家の前の公園で営巣し、子育てをしてくれるといいなあと思っていますが、どうなるでしょうねえ。Cooper's Hawkの巣探しは、私にとっての春の楽しみの一つです。


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