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飼育日記「めだかのきもち」⑪ウィローモスに卵

水替え中、ヌマエビの住処になるよう底に沈めておいたウィローモスを引き上げると、卵がいくつも付いていた。手で触るとコロンと固く、1ミリほどの卵の中に大きな目玉が2つ透けて見える。

卵が付いたモスをちぎってプラ鉢に移す。

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卵を探すことはしてこなかったが、これで孵化の瞬間を見ることができる、とワクワク。

ところが、じっと眺めている間は出て来てくれない。しばらくして器を覗くと、すでに2匹がスイスイ泳いでいた。その後数日間のうちに次々と針子になったが、孵化の瞬間にはついに立ち会えなかった。

産卵の瞬間も、夜明けにはすでに終わっているので、見たのは先日の一度きりである。人間が踏み込まなくてもよい領域なのかもしれない。

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この1ヶ月あまり、命の継承から死まで、早送りで見せてもらった。

メダカの寿命は自然界で一年、飼育環境では2〜3年と言われている。これまで見た限り、メダカを弱らせる一番の要因は、仲間内での諍いである。スペースの限られた飼育鉢の中ならではの、天敵に変わり、避けるのが難しい"敵"なのかも知れない。

気が揉めることが多々あっても、この窮屈な巣篭もり暮らしの中、メダカ鉢を覗くのは飼育者にとって、心地よい息継ぎになっている。

短くても心地良い命の時間を送ってもらえるよう、目配りをしていきたいと思う。            7.  30





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