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病気のカミングアウトについての考察

有名人が精神疾患であることを公表してニュースになることはしばしばだ。
一般人である私にとっても病気の公表というのは社会生活にそれなりの影響を及ぼす悩ましい問題である。
自分がうつ病であることのカミングアウトについて私なりの考えを述べようと思う。

私は「うつ病」という診断書を提出して休職している。したがって会社のお偉いさん方にはオープンになっている。ただしこれは個人情報であるから、他の社員には「◯◯さんはうつ病だ」とは明かされない。
理由は不明だが◯◯さんは休職しているとの事実のみが伝わる。

ところが私はうつ病であることをあえて公表(というほど大袈裟ではない?)した。

なぜうつ病をカミングアウトしたか

詮索したがるのが人のサガだ。
休職に入って数人から「どうしたの?」との連絡をもらい、いちいち返信するのは面倒だった。隠すつもりはなかったし噂はどうせ広まる。それならば、と私は途中で「こっちから言ってしまおう作戦」に切り替え、噂好きの同僚に病名を伝えた。
この判断は職場がどのくらい精神疾患に理解があるかによって変わるだろう。

次に、知人や親戚、友人へのカミングアウトについて。
私は信頼できる人(≒尊敬できる人)にのみ、うつ病であることを話している。それは私のことをよく知っていて「うつ病の◯◯さん」ではなく「◯◯さんは◯◯さん」と見てくれるであろう人たちだ。

カミングアウトする際に気をつけていること

病気を伝える際に「うつ病になりました」とだけ伝えるのは不十分だと思う。精神疾患に対する理解は人それぞれだし、どう接したらいいか相手が戸惑うことになるからだ。私が気をつけているのは以下のポイント。

⚫︎「あなたを信頼しているから言うけど」と前置きする。
⚫︎ うつ病になって会社を休んでいるが心配いらないこと。
⚫︎ これまで通り接してくれたら嬉しいこと。
⚫︎ 私も思いがけずうつ病になったのであなたも気をつけてほしい、不安を感じたらすぐに相談してほしいこと。

私がうつ病を発症したのはいわゆる「コロナうつ」が増えてきた時期と重なっている。友人や同僚もギリギリのメンタルで働いている人が多い。彼らに私と同じような目にあってほしくない。自分への接し方に加えて相手への気遣いをセットで伝えるようにしている。

私は我慢強い人だとみんなも自分も思っていた。私がうつ病になったというニュースはそれなりの衝撃とともに伝わったようだ。
病気を打ち明けることで私は「我慢強さはいいことではあるけれど、弱さを素直に他人に見せられる人こそが本当に強い人なのだ」「上手に怠けることも大切なのだ」と友人や同僚に伝えているつもりだ。

以前に比べて精神疾患に対する理解は広まっているとはいえ、まだまだ理解の乏しい人・組織も多い。
まとめると、病気をカミングアウトするか否かを決定する上で私が重要にしていることは下記の2点。

①伝える必要性の有無
→職場には休んでいる理由を伝えるほうがいいと私は判断した。

②相手との関係性
→信頼のおける人か否かで私は線引きをしている。


伝える場合には「うつ病になった」という事実だけでなく、下記の点も併せて伝えるようにしている。

❶相手への要望
→これまで通り接してほしい、配慮をしてほしい、相談に乗ってほしいなど

❷相手への配慮
→自分の経験から、あなたも気をつけてねと伝える


今のところ、うつ病を理由に私から離れていった人はいない。ありがたいことだ。

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