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RNAウイルスは突然変異しやすい

ヒトなど多くの生物は遺伝情報としてDNAを有していますが、一部のウイルスは遺伝情報としてRNAを有します。このためRNAウイルスの変異スピードはDNAを有する生物よりもはるかに速いのです。これには2つの理由があります。

複製ミスによるもの
1つ目の理由はミスコピーが多いということです。DNAのコピーを作る酵素であるDNAポリメラーゼは10の7乗に1回程度複製ミスを起こします。一方、RNAポリメラーゼは10の4乗に1回程度と高頻度でミスを起こします。更に、DNAポリメラーゼには複製ミス修復する機能があるためDNA複製のミスは10の8乗~10の10乗に1回程度にまで低く抑えられますが、RNAにはこのような機能がありません。
このように、RNAは複製ミスの頻度が非常に高いのです。これは何を意味しているのかといいますと、ミスコピーが多いとそれだけ突然変異が増えるということになります。

増殖形式によるもの
2つ目の理由は、ウイルスの増殖形式によるものです。生物の細胞は分裂することにより1個が2個、2個が4個というように指数関数的(=2のn乗)に増殖します。一方、ウイルスは一段階増殖という増殖形式で宿主内で活発に増殖し爆発的に数を増やします。例えば、インフルエンザウイルスの場合、1個のウイルスが8時間で100個、24時間で100万個に増殖します。

変異と増殖の繰り返し
これら2つの理由により、変異と増殖を驚きの速さで繰り返し変異していくのです。今、巷を騒がせているあのウイルスはRNAウイルスです。恐ろしいですね~

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