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無料のサンプルマネージャー「ADSR Sample Manager」と「MUTANT」を併用する(便利)

 「ADSR Sample Manager」は2018年において今のところ, もっとも話題に上がったDAWフリープラグインと思われるが, 確かにこれが無料で良いのかと思うほど使いやすく高機能である. 一方, 使いやすい無料のサンプル音源管理マネージャーとして以前からあった「MUTANT」が, 最近いつの間にか提供元のSONICWIREからダウンロードできるようになっていたので, 並用して優勝する流れを述べていきたい. (MUTANTはなぜか一時期DLできなかった.)
※記事は基本的に「Macintosh Logic Pro X」で解説するが, いずれもMacintosh / Windows両対応で, ADSR Sample ManagerはAU/VST形式に対応している. MUTANTはスタンドアロンで動作する.

【ADSR Sample Manager】
 ダウンロード/インストール方法と基本的な使い方は下記記事を参照されたい.

ダウンロード/インストール手順(by Sleepfreaks):
https://sleepfreaks-dtm.com/sale/adsr-sample-manager/

使い方(by Sleepfreaks):
https://sleepfreaks-dtm.com/softsynth/sample-manager/
(スリープフリークスさんは公式上で「SLEEP FREAKS」「sleepfreaks」「Sleepfreaks」の英語表記があるが, どれが正しいのだろう.)

■ADSR Sample Managerのここがすごい
・PC内のサンプル音源ファイルに自動でそれらしいタグを付けてくれる. 自分でタグ削除・新規タグ追加等の編集もできる. (自動でタグが付かなかったファイルは「Untagged」ととしてまとめられるが, 自分でタグを付けることができる.)
・DAW上でMIDIインストゥルメントとして動作する. サンプル音源に対してMIDIコントローラでリアルタイムに音階をつけて演奏でき, MIDIノートを打ち込めばサンプラーに入れなくても音階をつけて再生できる(すごい).
■ADSR Sample Managerのここが今ひとつ
・完全にタグ管理となっており, フォルダ管理ではない(エクスプローラ型のツリー表示はできない).
・画面の表示領域を変えられない(macOS 10.12.5 / Logic Pro X).

 上記画面のようにタグで管理されており, フォルダごとの区分け表示はない. 例えば「○○○○○HOUSE Pack」のようなサンプル音源パックを入手したとして, 中に「完成形のミックス済みループ」「オケごとに分かれたステムとワンショット」が入っていることが良くあり,「各ステムをミックスするとこのような雰囲気(完成形)になる」ことがわかるが, ADSR Sample Managerでは同一フォルダの各ファイルをそれぞれ独自のAI?でタグ付けし, ファイル/フォルダをエクスプローラ表示する機能はないので,「同一フォルダ内のファイルをひととおり聴く」ことには適していない. (対象のファイルを右クリックして「Reveal in finder」をクリックすれば, そのファイルが内包されているフォルダをファインダーで開くことはできる.)
 また, 画面の表示領域を変えられないので, 1ファイルに対してタグが4個も5個も付いている場合, 表示が見切れる. 気に入った1つのサンプルを, 疲れからか, 様々なプロジェクトで使い回してしまうことは避けたいので, 自分の場合タグにそのサンプルを使用したトラック名などを入れておきたいが, そういう用途には向かない.

 ADSR Sample Managerの真骨頂は,「DAW上でMIDIインストゥルメントとして動作する」点にある. これは本当にすごくて, ピアノロールで打ち込んだノートのピッチ(原音からの相対)でそのまま再生してくれる. それをサッとオーディオ化していけば, いちいちDAWの機能でトランスポーズしたり, サンプラーに入れて再生することに比べてかなりの時短になるだろう. しかも, サンプル音源の始点と終点(画面右下波形表示部の旗のマーク)を決めてその範囲でMIDI再生可能である. なんて便利なんだ. 以下はADSR Sample Managerと手持ちのサンプルを使用して約75分で作成した女性ボーカル入り8小節. (クリックすると音が鳴ります↓)

【MUTANT】
 基本的な使い方は下記記事を参照されたい. ダウンロードはSOINCWIREサイト画面上部のメニューにある「MUTANT」ロゴから行える.
使い方(by SONICWIRE):
https://sonicwire.com/news/special/howtouse_sp4

■MUTANTのここがすごい
・エクスプローラ型のツリー表示で見た目も操作も簡単. ADSR Sample Managerと同じく, ファイルをドラッグ&ドロップで直接DAWに落としたり, 任意のフォルダにコピーできる.
・表示領域を自由に変更可能. (というか, なぜADSR Sample Managerは画面のリサイズができないのか) 視認性に優れる.

■MUTANTのここがダメ
・最低限の機能はひととおりあるが, ADSR Sample ManagerのMIDI再生のような特筆すべき機能はない.


【まとめ】
 両方入れたら便利だと思う.

・こういう雰囲気のトラックを作りたいな…という時に, ADSR Sample Managerのタグ(ジャンル)付けから手持ちのサンプル音源を流して聴いて, 構想を固める. ADSR Sample ManagerのMIDI再生を活用し, 制作効率を高める.

・エクスプローラ型のツリー表示でファイルを探したい時は, MUTANTで見る. また, 自分が既存のトラックで使用済みでないか(逆に「あのトラックで使ったあのサンプルを再度使いたい」場合も), MUTANTのタグ検索で確認する. 「既使用」「トラック名」のようにタグを2つ付けておくと便利. (-完-)

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