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身につけるということ

入院する、というのは、常に管理されている状態だ。起きて寝るまで、食事も、排便も、入浴も、医療の名のもとに誰かに管理されている状態。管理がなくなれば退院=脱要看護ということになる。

入院中、わたしがしていた装身具は、名前と生年月日と患者番号とバーコードがついたプラスチックのリストバンドだけだった。それらは、退院してははずされ、転院先で再びまた別のものをつける、というのを何度か繰り返した。認識リストバンドを付けるたびに、自分がなにか動物(鳩とか牛)になったような気したものだった。救急搬送されたとき、指輪や時計などの身に着けていたものは一式はずされ、家族に渡された。自分自身は、服は着ているが、点滴などの医療機器をつけられている以外、気持ち的にはほぼ丸裸だった。

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