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「太っている」という呪い

私は小学校時代、太っていることでいじめられたり、からかわれて過ごしました。



中学生~高校生にかけては、多感な「思春期」と言われる時期ですが、
小学生は、性格や常識の根本が形成されるとても重要な時間だと思っています。



6歳から12歳までの6年間を、皆さんはどう過ごしていたでしょうか?



小学一年生になり、初めて自分が「デブ」なんだと、隣の席の男の子から教えられました。

それまで自分が太っているという認識はありませんでしたし、「デブ」と言っている友だちもいなかったので、保育園の頃は「デブ」という単語に出会うことすらありませんでした。


「デブ」「ブタ」「ジャイ子」
背も高かったので、「怪獣」「ぬりかべ」や、
「バービー」「朝青龍」など、テレビに出ている人の名前で呼ばれたりしました。


6歳の私でも、相手の言い方で、それらの言葉が悪口だと分かりました。


悪口を言うときは、うまく伝えられないのですが、息を強く出して吐き捨てるように単語を発します。

その男の子は、からかうことで周りの子たちを笑わせようとしていたように思います。
周りの子たちも面白がって、私をからかいました。


「自分は太っている」という認識を持っても、育ち盛りの時期はお腹が減ります。
家に帰れば、学校のことなど全く知らない家族と一緒にご飯を食べます。
祖母は私に美味しいおやつを与えてくれました。
自分は食べ過ぎなのか、そうでないのか分からないまま、太ったまま6年生になったため、6年生になっても「デブ」いじめは続きました。


6年生の頃は、前よりもいじめが陰湿になりました。
隣の席になった、1年生とは別の男の子は、授業中に先生に聞こえないような声で「デブ」「怪獣」「二重アゴ」とずっと私を呼びました。

また男の子だけではなく、女の子からもいじめられました。
1人の女の子が主となって、クラスの女子全員に無視されたこともありました。無視されながら、私に聞こえるように「デブ」と言われました。
先生にいじめが見つかり、「なぜいじめたのか」と問いただされてもその子は答えませんでした。

いじめられる原因が他にあったのかもしれません。ですが、今になってもいじめられた理由は「太っていた」ことしか分かりません。


私は「太っていることは悪いこと」だと、6年間身をもって教えられました。


中学生になり、運動部に入ったからなのか、それとも成長して身体が変化したからか、徐々に手足が細くなっていきました。

中学1年生の頃、同じ小学校だった男の子から「元デブ」と悪口を言われたことがありました。
今考えてみれば意味が分からない悪口で腹が立ちますが、当時の私は「もうデブじゃないんだ!」と喜んだことを覚えています。


ですが、「デブ」と6年間言われ続けた呪いは簡単に解けません。
高校生、大学生になり、どんな体型になっても「自分はデブだ」「デブは悪いことだ」と思い続けました。


食べものを異常に気にするようになりました。
コンニャクやモヤシを大量に食べて空腹を紛らわせたり、炭水化物を食べてお腹いっぱいになると罪悪感を感じたりするようになりました。
ハードな運動を毎日自分に課して、できなかった日はずっと落ち込むような日々を過ごしたこともありました。

BMIが18になり、身体は鎖骨やあばら骨が目立つような痩せ方をして、家族から「やつれてる」と言われても、それでもまだ「自分はデブだ」という認識は無くなりませんでした。
気分はイライラ、モヤモヤして、毎日の運動ノルマに追われながら「一生これをしないと生きていけないのか」と絶望していました。



こんなの、おかしいですよね。


「あれ?変だな」とようやく思い始めたのは、24歳になってからです。

6歳からの18年間、「自分は太っていて、太っていると人から嫌われたりいじめられたりするからどうにかして痩せないといけない」と思い込んでいたのです。

正直、今でも完全には無くなっていません。

幼い頃に他者から植え付けられた呪いは、本当に恐ろしいのだと実感しました。


どうして私は、自分の体型が理由でいじめられたのでしょうか。
いじめられたことで生まれた悲しさや怒りや、大人になっても拭えないおかしな考え方は、経験しなければならなかったのでしょうか。


最近、「ボディニュートラル」という言葉を知りました。
「どのような体型でも良い」という「ボディポジティブ」とは違い、
「良いも悪いもなく、自分の体型をただ受け入れる」という考え方です。

今の私は、「ボディニュートラル」を自分に定着させる努力をしています。

「食べることがとても大好きな私を受け入れる」
「どんな体型の私も、健康な限り悩む必要はない」
と、自然に考えられる自分を目指しています。

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