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最近の写真測量がすごい。

背景

最近はコンピュータの性能向上、デジタルカメラやソフトウェア(画像認識技術)の性能向上、UAVなど新しい機器の低価格化などの恩恵をうけて、写真測量が身近なものになってきました。
我々地方の中小土木測量設計業者が仕事を行う上で、成果作成に関する省力化や精度向上にかなり役立つようになってきましたので事例紹介させていただきます。

で、どんなものができるの?

とにかく、見てもらうのが一番ですので以下の動画をみてやってください。
すごいですよね。これ3次元モデルなのです。かなりリアルですね。
しかも、この現場は下写真のように樹木が張り出しておりUAVが使用できなかったため、これは地上撮影の動画から作っているんです。(そのデータから樹木部分をざっくり消したものです)

現地の状況写真

データの特性

ただ見てスゴイだけでは意味がありません。BIM/CIMというからには、設計~施工に役立つデータである必要があります。
役に立てるには、このデータの特性を把握しておく必要があります。

  • 位置精度はそこそこある
    被災道路上に調整点を配置・測量して補正を行っているため、平面/高さの位置精度ともに実測平面データとあわせても違和感がない程度のデータとなっていました。
    なお、綺麗に映りこんでいる不動の地物をあとから追加で測量して再解析することもできます。これを利用すると、実測との誤差が出た場合にもある程度補正できます。※作業の順番に縛られないのも利点ですね。

  • 路面から外れるとずれてくる
    激しく浸食している谷部の底などは、元動画をそれ用に撮っていないということもあり、映り込んでいるのは道路上から見えやすい所のみでしたので、実測データより往々に高めの位置となっていました。
    ※こういう場合の実測は掘れている所(凹んでいるところ)で測りますから、どちらが 正しい/正しくない ということではないです。

  • よく映っているものはよいデータ
    写真測量データの特性上、見えやすい(元映像から位置が特定しやすい)ものはキッチリとれています。逆に、見えにくいものは実際の位置を特定できていなかったりします。(テクスチャ上とれているように見えても実際の凹凸が反映されていない等)
    上の動画は起点から終点方向に向けて撮影したデータをもとに作成しているため、実は反対を向くと取れていない面がたくさんあって、歯抜けの多いデータのように見えます。(タイトル画像参照)
    当然ながら、映っていないものはとれていません。

それで、どう役に立ったの?

このデータをどう役立てたかについて、以下に列記します。

  • 現地調査の効率化
    映りこんでいるものであれば画面上で位置座標や寸法を測り出すことができますので、いちいち現地に行って測り出す必要がなくなります。

  • 測量作業の安全性向上
    被災直後は特に危険ですので、①危険な場所に近づかない ②危険な場所に近づく時間を短くする ということが大切になります。
    十分に映りこんでいるものはデータから位置寸法を割り出せますので無理に現地で測り出す必要はなく、現場での滞在時間を減らすことで安全性は向上したと思います。
    今回の災害では、被災直後速やかに道路法線(線形)を復元するために、①基準点(調整点)配置 ②路側水路,舗装端,主断面(激しく削れたところの抜き横断)など主要法線の測量 ③写真測量(動画撮影) ④縦横断測量 ⑤平面図補測という手順ですすめました。

  • 設計作業の効率化
    上記③~④の間で各種設計検討(復旧方針の検討),④~⑤の間で詳細設計を行いましたが、わかりやすいデータがあるおかげで方針決定が楽でした。
    データ精度がよかったおかげで、詳細設計時の調整も僅かでスムーズにいきました。
    方針に迷って現場に寸法を測りにいくことがありますが、いかなくても手軽に位置や寸法を計測できるのは、とてもいいです。
    「ここ、どんなふうになってるの?」
    「わかりません!」
    「仕方がないから、現場行って確認してこーい!」
    というかんじで現場に行く回数は減らせます。
    現場作業のやり方も、今までとは少し異なってきますね。

  • 説明のわかりやすさ向上
    これは言うまでもありませんね。

どんなソフトで作成したの?

今回使用したのは以下のソフト(3DFゼファー)です。
製品概要|写真計測用ソフトウェア 3DFゼファー (3DF Zephyr) | OPT (opt-techno.com)
ちなみに、お世話になった販売代理店はこちら→ https://ps-trust.co.jp/

制限はつきますが、フリー版のビューワーでも撮影写真からモデルをつくることができます
3DF Zephyr Free - a complete and free photogrammetry software (3dflow.net)

最近は日進月歩でどんどん新しいソフトやサービスがでています。
「TRANCITY」というクラウドサービスでは、PC要らずで現場から動画を送信してモデルを作ることもできます。(先日試用させて頂きました)
https://calta.co.jp/service/#sec1
おっと、社長さんのnoteを発見しました。
高津 徹 【CalTa活~真摯に愚直に誠実に】|note

さいごに

最近は測量技術がどんどん向上して、ついていくのが大変ですね。
弊社では試行錯誤しながら、これらの活用方法を模索しております。

※このような取組に興味がある方、良い情報をお持ちの方がおられましたら、是非コメントください。

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