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トシへ

最後に病院の面談室で医師やお姉さんや職員さんに囲まれながら話したとき、事実を伝えることで精一杯だった。
もっときちんと話せていればあなたは今もこの世で笑ったり絵を描いたり出来ていただろうか。

私は残酷な人間だ。
どんどん追い詰めるような事ばかりしてしまう。
こんな残酷な自分と居るよりも力になってくれる人達のもと、ゆっくりとでも好きなことをして過ごせて行ければ。
暫く距離を置いて、数年経てば良き友人としてビリーと一緒にまた再会できるものと、虫のいいことを考えていた。

命日の今日に限らず、答えもなく問うてもどうしようもない言葉が出口なく頭の中を渦巻く。

25年、共に生活した人。
自ら命を断った人。
ただ思い出して、言葉にならず祈る。

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