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年収1億円医師になるためにはどの診療科を選ぶべきか②

前回の続きである。

まず、開業医において年収をあげるためには、どういうアプローチがあるか、考えてみよう。

まず思いつくのは医業収益のアップだろう。

次に挙がるのは、経費の削減である。

本稿では分かりやすく、医業収益の向上に絞って考える。

医業収益を最大化させるには?

医業収益を最大化させることを考えてみよう。

1日の医業収益を因数分解してみると、

(1日の医業収益)=(1日の患者数)×(患者単価)

となる。

当たり前である。

医業収益を上げるには、1日の患者数をあげて、患者単価を高くなればいいのである。

ここで本題に戻ろう。

何科を選べば年収1億円医師になれる?

年収1億円医師になるためには、何科を選ぶべきなのだろうか。

この答えは、1日の平均来院患者数が多くて、患者単価が高い科を選べばいいのである。

厚生労働省の平成26年医療施設調査によると、主な診療科の1日あたりの患者数は以下となる。

①診療科ごとの1日あたりの平均患者数

内科:35人
外科:45人
産婦人科:35人
小児科:43人
耳鼻科:65人
整形外科:104人
皮膚科:60人

一方、支払基金の統計月報によると、診療科ごとの外来患者の1日当たりの単価はこのようになる。

②診療科ごとの患者単価(1日あたり)

内科:764点
外科:675点
産婦人科:612点
小児科:510点
耳鼻科:442点
整形外科:427点
皮膚科:391点

この2つのデータを掛け算すると、診療科ごとの1日当たりの平均診療報酬が出る。

結果がこれだ。

③診療科ごとの平均診療報酬(1日あたり)

内科:26,740点
外科:30,375点
産婦人科:21,420点
小児科:21,930点
耳鼻科:28,730点
整形外科:44,408点
皮膚科:23,460点

診療報酬順に並べるとこうなる。

④診療科ごとの診療報酬ランキング

1位 整形外科:44,408点
2位 外科:30,375点
3位 耳鼻科:28,730点
4位 内科:26,740点
5位 皮膚科:23,460点
6位 小児科:21,930点
7位 産婦人科:21,420点

では、この結果の通り、整形外科や外科、耳鼻科で開業するのが良いのだろうか。

診療科ごとの施設数・受療率を考えにいれる

実は診療報酬順ランキングのデータだけで解釈するのは早計である。

この診療報酬順の元になった1日あたりの患者数のデータには、各診療科ごとの施設数という数字が裏にある。

各診療科ごとの施設数は以下の通り。

⑤診療科ごとの全国の施設数

内科:39,568 
外科:3,959
産婦人科:3,517
小児科:5,063
耳鼻科:5,058
整形外科:7,135
皮膚科:4,355

一方、各診療科の需要は、人口あたりの外来受療率(人口10万人あたりの1日に外来を受診する患者数)として表される。

診療科ごとの外来受療率はご覧の通り。

⑥診療科ごとの外来受療率(人口10万あたり)

内科:2,189 
外科:127
産婦人科:136
小児科:524
耳鼻科:189
整形外科:739
皮膚科:299

これをみて、何かお気づきだろうか。

例えば、内科と整形外科を比較してみよう。

内科の需要、つまり受療率は、整形外科の約3倍である。

一方で内科を診療科としてかかげるクリニック数は、整形外科の5倍以上ある。

この需要と供給のミスマッチが、受療率と、クリニックごとの実際の来院患者数との開きの理由である。

しかし、実際のクリニックの診療圏は、一般的に狭い。

都市部だとクリニックの診療圏はせいぜい半径1km。

郊外でもせいぜい半径3km以内だ。

つまり、全体論としては整形外科や外科で診療報酬が上がりやすいのは事実ではあるが、開業予定地の診療圏の各診療科の数によって、簡単にランキングはひっくり返る。

全体論は抑えつつ、診療圏調査を怠らず、有利な局地戦を選択するのが重要である。

今回は単一の診療科で展開するときの、診療報酬、受療率の面で有利な診療科を述べた。

診療科選びの点で重要なもう一つのポイントは、将来需要である。

次回は、診療科ごとの将来需要について考える。

ではまた、よろしく!









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