トイレ案内図鑑賞の良さを伝えたい。
みなさんは公共機関のトイレの案内図はどこも同じって思っていませんか?今日はその常識を変えたいと思います。
変なトイレの間取り
~MYトイレの案内図ランキング1位~
下の画像のように「長方形」を左右に区切って、小便器や個室が並んでいるだけだと思っていませんか。
そんなことはないんです!
下北沢駅のトイレの間取りを見てください。
女子の個室は完全に円を意識して作られますし、男子の小便器の配置も円形になってます。トイレというよりかは、ミステリー小説に出てくるようにあ建物の間取りの趣が漂ってきます。
実用性として各トイレの個室が小さかったり、小便器で隣の人との距離が近すぎるといった弊害がありそうなのに、デザインの遊び心を突き通すあたり、「下北沢らしさ」を感じれるでしょう。
2年間ほどトイレの間取りを見つめてきていますが、ここまでハチャメチャをしているトイレの間取りは未だに見たことがありません。
平行四辺形~トイレ案内図鑑賞との出会い~
就職活動帰りのある日、新大阪駅で用を足しました。
トイレから出て、何の気なしに見たトイレの案内図に心を奪われました。
「こんなに平行四辺形だったんだ・・・」と。
右下が少しはみ出ている以外は小学校の算数に出てきてもいいほどの平行四辺形です。
入ってすぐに手洗い場があり、左右に小便器と個室が並んでいるスタンダードなトイレにみせかけて、実は全体が平行四辺形というトリック。
そのときから「もしかしてトイレの間取りは多様性がめちゃくちゃあるんじゃないか・・・」と思いトイレの間取り写真を収集するようになりました。
男子トイレと女子トイレの境界線
~直線じゃなくてもいい~
男子トイレと女子トイレの境界線の多くは直線になっています。ですが、そうじゃないトイレも実在しています。
境界がなぜか波波になっているトイレ(下図1つ目)もあれば境界がギザギザ(下図2つ目)になっているトイレもあります。
境界波波タイプは男性側、女性側それぞれで手洗い場になっていて案外合理的ですが、ギザギザタイプはあまりメリットがなさそうな印象を受けます。同じようなイレギュラーさなのに機能性だと差がでているのも面白いですね。
このように境界が直線じゃないタイプのトイレは比較的珍しいので、見かけたら写真に収めておくとよいでしょう。
スロープと階段~普通と珍しいの間~
トイレの案内図には間取り以外にも「スロープ」や「階段」の情報が記載されています。今更「スロープ」や「階段」があるだけじゃ驚かないよ、そんなの普通だよ、という人もいるかもしれません。
ですが、多くのトイレの間取りを眺めていくと当たり前のような間取りが実は珍しいということに気づけるかもしれません。
確かに、「スロープ」があるトイレの間取りは一般的ですが、
稲荷町のトイレはスロープが合計4か所ありますし、
木場駅は男性は「スロープ」で女性は「階段」になっています。
トイレのスロープも1つであれば平凡ですが、4つもあれば特殊な印象になります。また、階段のみ、スロープのみが普通だということに気づくと両方あることの感動もひとしおです。
入口の分岐の仕方
~シャープに分かれるか、ぬるっとに分かれるか~
男子トイレと女子トイレの通路が途中まで一緒で後から分岐するタイプの間取りがよくあります。
一般的な間取り、例えば下図の落合駅では男性用トイレが右に90度曲がれば男性、左に90度曲がれば女性用トイレになっています。
しかし、分岐の仕方にも特殊な事例があります。神楽坂駅はその特殊な分岐の種類を教えてくれるための駅と言ってもいいかもしれません。
神楽坂駅矢来町方面の改札にあるトイレ(下図)では女性は45度右に、男性は135度も右にターンして分岐しています。かなりシャープな印象を受けます。
対照的に、神楽坂駅神楽坂方面の改札にあるトイレ(下図)は分岐がぬるっとしています。この「ぬるっと」としかいいようのないカーブ。まるで同じ駅には思えません。
同じ駅なのにトイレの間取りでこのような2面性が味わえるのも、トイレ案内図の奥深さかもしれません。
トイレ以外の情報~花壇もあるトイレ~
トイレの案内図には、トイレ以外の情報が載っていることもあります。近くに駅のホームへ続く階段があり、それが表記されているパターンが多いです。
ですが、下図の上諏訪駅のトイレの案内図は思いもよらぬものが表記されてます。
花壇です。普通であればこの花壇のゾーンはトイレの案内図に含まれないことがほとんどなのですが、上諏訪駅はなぜか花壇を表示しています。
いろんなパターンのトイレの案内図を見ることで、「花壇なんて載ってるわけない」という先入観が芽生えれば芽生えるほどに驚きも増す、素敵な案内図です。
ここまで読んで、トイレの間取りの多様性にみなさん気づけたでしょうか。他にも「手洗い場の配置が壁側ではなく中央にあるスタイル」や、「図に記された大便器のデザインが独特な案内図」など、様々な変った案内図があります。一つの点に着目すると珍しい案内図に気づけるようになるかもしれません。みなさんも心掛けてみましょう。
次からは案内図そのものが特殊なケースを紹介していきます。
目の不自由な人向けの案内~凹凸だけの案内図~
トイレの案内図は基本的に目の不自由な方にもわかるように点字や凹凸が施されていることは、ここまでの案内図でおわかりでしょう。
ですが、下図の白金台のトイレの案内図はもう一味違います。
この案内図は「目の不自由な人」専用の案内図になっています。
色を一切つけずに凹凸のみを施し、図にまたがるように「お手洗い案内図」と記されており、目で見たらむしろ分かりにくいぐらいです。
多くの案内図は「目の不自由な人」と兼用できる案内図ですが、このような様式はまだ他で見たことはありません。
お手製の案内図~大江戸線の謎~
今まで上げたトイレの間取りの写真はすべて、JRならJRの様式で、東京メトロなら東京メトロの様式で描かれたものとなっています。しかし、全ての駅が案内図の様式を守っているわけではありません。
大江戸線は通常、練馬春日町駅のような下記のような様式が多いのですが、
豊島園駅と練馬駅では独自の表記方法でトイレの案内図を作成しています。このようなイレギュラーが許されてるとは想像もしていませんでした。
ここの2か所は、記載からおそらく「都庁前役務管理区サービスPT」と思われます。他の駅にもあるのかもしれませんが、なぜ独自の様式を使用しているかの謎はまだ解けていません。
手作り感もあり、独特な味が出ていて個人的にはとても好きなのですが、それ以上に謎が多い案内図です。
答えを知っている方がいっらしゃいましたら、ご連絡ください。
壁にない~独り立ちした案内図~
多くの案内図は壁に設置されていますが、そうじゃない案内図も実在します。国府津の案内図(下図)は壁ではなく円柱の案内図専用ポールに設置されています。
おそらくなんらかの経緯で壁に案内図を設置することが出来ず、その代わりとしてポールが設置されたのだと思われます。周りに広告も設置でき、合理的さも感じるお洒落な案内図だと思っています。
ただ、壁に余裕がなくて敷地に余裕がある施設もなかなか無いと思われるので、このスタイルはあまり普及しなさそうなのが残念です。
案内図がない~ないを楽しむ~
ここまで多くの案内図を見てきたみなさんは、「どこの駅にもトイレの案内図」があるんだろうなと思っているかもしれません。
ですが、案内図がないことすらあり得るのです。住吉駅(下図1つ目)や早稲田駅(下図2つ目)など、いくつかの駅はトイレの案内図が設置されていません。
この、いかにもありそうな場所にトイレの案内図がないと不思議な印象を受けます。それこそ「無い」が「有る」ことを鮮明に実感するので哲学的でもあります。
実際にトイレを訪れてみたら案内図がないとショックをう肩を落としてしまうこともしばしばあります。そういうときは、
「案内図があるとしたらここらへんだろうなあ」
と想像して楽しみ、気持ちをリフレッシュさせています。
まとめに
いろいろなトイレの案内図を見てきましたが、いかがでしょうか。日常でほとんど意識されないトイレの案内図ですが、よくよく見てみると様々な興味のフックが存在しています。多くの案内図を見れば、その微妙な違いが面白いく感じられるようになりますし、その過程も楽しく感じます。
日常に潜むわずかなもの同士の違いを楽しむ、わびさびともいえる可笑しみにみなさまも、興味を持たれたなら幸いです。
他のトイレの案内図の写真が見たい方は、下記のtwitterアカウントの画像を見ていただければ、今回の写真を含めたトイレの案内図を見ることができます。
https://twitter.com/AsaKiriSun