ウガンダの人材採用 (2)起業家の多いウガンダ

2016年9月11日 
前回は人材採用の手段や面接で起こった事などをシェアしました。

今回は、ここ数年の実体験から感じるウガンダ人の人生や仕事に対する価値観について述べたいと思います。


起業家がとても多いウガンダ
人口に占める起業家の割合が世界でも有数に多いウガンダ。色々なレポートがありますが、例えばこの記事では、起業家の占める割合が28%。二位のタイの16%を抑えて断トツの一位です。

起業家が多いというと皆さんどんなイメージを持ちますか?日本では、ハングリー精神と熱い想いをもって世の中にインパクトを出すべく、学生であれば大企業の内定を蹴ってまで起業し、若手社会人であれば輝くキャリアを飛び出して起業する。そんなイメージではないでしょうか?

では、ウガンダの起業家とはどんな人達でしょうか?
私の周りにも多くの起業家がいますが、上記のイメージとは大きくかけ離れています。

ウガンダでは、高等教育に進学できる人の割合は9%程度と少ないです。(※きちんとしたデータはないが様々なレポートからするとこの割合が妥当)高等教育とは、大学に加えて、各種専門学校や短大などです。
ちなみに、日本の場合は大学・短大進学率は56.8%(2016年度)との事です。

大学や専門学校に進学できるというのはエリート中のエリートなんですね。では、学校を卒業して、一般企業に就職できる人の割合はどのくらいでしょうか?これもきちんとした統計データはなく、国際機関のレポート、国際NGOのレポート、ウガンダ統計局のレポートなどを鑑みると、就職率は20%程度のようです。80%の人は就職できないんですね。。

では、就職できない人はどうやって日々の生活を生きる事になるか?
学生時代に手に職をつけた人は、Webデザイナー、メカニック、服飾などでフリーランスとしてお金を稼ぎます。ただし、アルバイトがないウガンダにて、学生時代にインターンなども経験していない人がほとんどなので、社会人としてのモラルや規律もなく、スキルも学校で習った程度なので高くない人が大半です。
中には、自分で新しいサービスや事業を起ち上げて、5-10名くらいの仲間と会社を興している人もいます。

手に職がつかなかった人(または手に職をつけたが、ビジネス市場でフリーランスでお金を稼げない人)は、バイクタクシーのドライバー、路上の屋台でチャパティや焼き肉を作って売る仕事をしたり、日本で言ういわゆる内職や日雇いの仕事をするのが一般的なようです。

上記の職業全て、Entrepreneur(起業家)という定義なんですね。
全員が全員ではもちろんないですが、自称起業家と呼んでいる人の多くは、日本でいういわゆる起業家とは異なります。

彼らと話していると、『就職できなかったら、起業して生きている。』という事なんですね。
ウガンダ人若手起業家(いわゆる日本でいう起業家)の友人達と関わっていて興味深いのは、仲間と5名くらいで起業して1年くらい経ってやっとサービスが軌道に乗ってきたところで、何人かが就職する事で解散するケースがあります。彼らと話していると、『就職したほうが安定するし収入も高い。起業はその代替手段』と感じる事があります。

起業家支援は雇用を生むのか?
失業率がとても高いウガンダにおいて、雇用創出が当然、政策の柱になります。今の国家中期経営計画(Vision2040)においても、Skilling Ugandaというイニシアティブで雇用創出を促進しています。

その中で、起業家育成が一つの柱になっています。
起業家育成に取り組む理由としては、『起業家を育てる事で、起業家がビジネスを創出し、そこに雇用が生まれる。一人の起業家を育てて、そこに何十人何百人の雇用が生まれれば効率的だ。』と言われる事が多いです。(本イニシアティブ内部関係者複数人からの情報)

さて、現実はどうでしょうか?
起業家支援のサポートの多くは、マイクロアントレプレナーと呼ばれる、自営業者、または起業といっても従業員数名を雇用する零細企業を対象に行われる事が多いようです。

そのため、政府の思惑通りの雇用が生まれているのか?は大きな疑問があります。
イメージとしては、小さな商店ばかりが乱立していて、規模の経済が働きづらい環境です。

そんな中、経済的には周辺諸国にとてもオープンなウガンダでは、海外から外資系企業が大きな資本を元に入って来ています。そのため、小さな商店は競争に勝ち残るのが大変なのが現状のようです。

日本でも経済成長の中で、商店街に突如大型スーパーが現れて商店街が寂れた。などの現象が各地で見られたと思いますが、それに近い状況が起こっています。
問題なのは、その大型スーパーのような大きな資本の会社がウガンダ内資ではなく、外資系だという事でしょう。。

次回は、ウガンダ人は雇用される事を望んでいるのか?をテーマに語りたいと思います。


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