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普段の暮らしと微住的“日常”の接点さがし/大野微住

文:K.Yamashita

大野に新しくオープンした荒島旅舎にて1週間の微住を行った。今回は、ここで「在宅ワーク」をしながら、異日常を体験してみた。大野は、何度か訪れたこともあり、水のおいしい豊かな街であること、魅力的な建物や美しい街の風景にも惹かれていた。今回、この土地に、月曜日から1週間身を置き、働きながらじっくりと大野を味わってみようと企んでいた。ワーケーションというとバカンス色が濃いが、バカンスというよりは、生活の場を変えるといった方がいい。大野での生活をプチ体験して、少しでも大野に入り込んでみれたらいいなと考えていた。

住民との日常的“接点”が劇的に変える地域との関係値

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まずは、大野に暮らす方との“接点”を探してみる。毎朝、横町スタジオでラジオ体操が行われていることを知り、さっそく、朝6時半からのラジオ体操に参加する。毎日、早朝のリラックスした中で、ソーシャルディスタンスをとりながら、一緒に体操する。自然と会話が生まれる。私が1週間微住していると伝えると、みなさん、興味をもってくださるようで会話がはずむ。長期滞在者の特権かもしれない。2日目には、もう顔なじみ。お父さん方と、ゆるーい感じで朝トーク。お母さん方は、朝は忙しいようだ。ここで得られた情報は、滞在期間中、有効な情報になる。ランチのおすすめや、大野の水のお話など。地元の人ならではの情報がいろいろ得られる。

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湿度や雲の状況なども、敏感に感じ取られて、「すぐ雨がくるよ」とかも、教えてくれる。ラジオ体操の後は、荒島旅舎にもどり、自転車を借りて街中をサイクリング。猛暑を避けた早朝サイクリングは本当に気持ちよかった。大野市内は、城下町として歴史もあり、昔からまちづくりが進んだ美しい街。碁盤の目に区画整理され、お寺がずらっと並ぶ寺町通りや、レトロな洋風建築や、武家屋敷があったりと、とても風情があり、またゴミ一つ落ちていない美しい通りである。地元のお母さん方が、自宅で採れた野菜や花などを販売する七軒通りの朝市も開かれている。朝食は、こちらで購入した採れたての野菜やおむすびで。朝市ではお母さんからおいしい食べ方など教えてもらったり、野菜の収穫におじゃまさせていただけないか交渉したり、楽しい会話をしながら、元気をいただく。

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マレビトが嫉妬する地域のプライド

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荒島旅舎で朝食後は、いつも通りのテレワークに勤しむ。休憩時間は、お隣のモモンガコーヒーへ。コーヒーと水を知り尽くしたマッキーさんに淹れていただくコーヒーは、一言では語れないが、まあ、美味しい。カウンターのお隣には、ご近所のかなり通なお客様。コーヒーを飲みながらご近所の方とのちょっとした会話も、贅沢な在宅ワークである。お昼は、ラジオ体操で聞いた美味しいお店めぐり。荒島旅舎からは、お昼休みに徒歩で行けるおいしいお店がいくつもある。とても便利な場所である。お腹もすっかり満足してから、午後の仕事に励む。夕食は、さまざまな出会いで、楽しい時間を過ごす。荒島旅舎の1Fには、カウンターバーがあり、ビール片手に、ホストもゲストも一緒になって、盛り上がる。この日は、大野の水がテーマに。この大野水への愛とプライドは、本当にすごい。地域の方々が、プライドを共有しているって、いいなと、ちょっと嫉妬すら感じる。

微住=脱観光ではない、微住中の観光(小旅行)へ。

半日休暇をもらって、大野観光をする。旅舎のカウンターバーで知り合った青年にアテンドをお願いし、ラジオ体操からお付き合いいただいく。さっそく出発。案内の最初は、黒谷の防雪壁。いきなり衝撃を受ける。なるほど、進撃の巨人を彷彿とさせる光景である。黒谷観音は、参道の苔や愛らしいお地蔵さんに癒される、美しい古刹である。ここにも神仏習合の痕跡が見られる。

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次は和泉方面へ。「恐竜」のいる道の駅にて、穴馬スイートコーンをいただく。スペイン風邪の影響で閉山した面谷鉱山の資料を見学してから、一気に六呂師へ向かう。

阪谷地区の美しい水田の風景を縫って、六呂師高原牧場へ。大野の、いろんな顔を堪能する。白山ワイナリーでワインを購入してから、カフェナマケモノへ。ここが半日大野観光のゴール。ナマケモノでのお話の中で、急遽、1泊をゲストハウスでもあるナマケモノで過ごすことに。荒島旅舎とは趣のことなる、古民家での滞在となる。こんな楽しみも微住ならでは。

大野の水のように、微住者の身体に染み込んでいく、また1つのゆるさとへ

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出会いが、また次の出会いを生む。
微住によって、そんな出会いを、ぎゅっと凝縮して体感できる「日常」が得られるのかもしれない。1週間で、私の身体の中の水分は、相当に大野水に占められたに違いない。私の中に取り込まれた大野水のおかげで、大野は、ひとつの「ゆるさと」として、私の中に確実に刷り込まれているのかもしれない。


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