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いったい何故?河和田にはこんなにも若者い移住者が多い!/河和田微住

文:蔡 奕屏(yiiping)
攝影:Jerry Wang
翻訳:伊藤ゆか

台湾の田舎町でも日本の田舎町でも、どこも同じように深刻な高齢化と若者人口の流出という問題に直面している。けれど人口約4,500人の河和田はというと、ここ数年で100人以上の移住者が外から移住してきており、間違いなく特例中の特例と言える町なのだ!
「この100人は、どんな人なんだろう」「河和田はいったいどんな凄まじい魅力をもっているのか」……これは私たちの心の中に浮かんだ、是が非でも解き明かしたい謎である。微住期間中、約1週間という時間の中でTSUGIの移住デザイナーたちが頻繁に謎解きに付き合ってくれ、少しずつ解明の糸口が見えてきた。

「ここにはたくさんの面白い若者がいる!」というのが私の第一印象だった。
ある晩のこと。私と微住計画の欣盈ちゃんは洗濯の問題のせいで、急遽TSUGIのwebデザイナー室谷ちゃんの家に行って泊まることになった。その日はすっかり夜もふけていたのだけれど、室谷ちゃんの本棚にある本と雑誌を見ながら夢中で好きな日本人デザイナーのことや台湾のデザイン雑誌とブランドなどについて語り合い、日台の情報交換にふけった。最後には本当に夜遅くなってしまったので、不完全燃焼ながら先に休むことにした。こんなかんじで、頻繁に顔を合わせることができて、いつまででもお喋りしていられる友達の輪がある。この環境が移住したいと思わせる最初のきっかけになるのだろう。

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その他にも、デザイン事務所「TSUGI」、ノマドオフィス「PARK」、移住体験の拠点として知られる「森家」で───すでに移住した若者たちや都会から来たショートバカンスの友達たちなど、その立場にかかわらず───皆んなが一緒に集まって、一つの独特のコミュニティが自然発生的に生まれていた。その他のコミュニティとしては、デザイナーや物を作る人たちで作る「アーティストコミュニティ」があり、その存在によりここでは面白いことがより多く起こり、この土地の魅力と引力を強めていく。

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「こんなにたくさん面白いことが起きるなんて!」というのが、私が2番目に受けた印象だった。
1年に1度開催される工芸の祭典「RENEW」だけではなく、移住者の森一貴さんがリーダーとなる「ゆるい移住」、そして今まさに始まった「微住」もあって、移住者ではない私たちからすると河和田はまさに「楽しい」「面白い」の代名詞のように思える。
ある時、webデザイナー室谷ちゃんと話していて、東京出身の彼女は一年ちょっと前にTSUGIで働くために鯖江に移住してきたと知った。彼女は東京と河和田の生活は全くもって違うものだと語る。河和田では車の運転はせざるを得ないし、冬はたくさん雪が降り気温が低い。そしてまた彼女は憚ることなく、東京で働いていた時の方が給料が良かったと教えてくれた。こんなに生活が不便で、給与水準も悪くなったのに、どうしてここを選んでやって来たのだろう? と、私たちはどうにも腑に落ちなかった。

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「webデザインの他に、たくさんの能力を身につけたかったの」───ここでの”デザインの仕事”は、webデザインの他にも様々な方面の重要なデザイン分野に触れることができ、自身の専門外だった能力も伸ばせる。何故なら、ローカルなデザインの仕事は東京での”下請けの下請け”といった仕事とは違い「直接クライアントとやり取りできる」。これだけでも十分に魅力的だ。さらに「一緒に仕事する皆んなが本当に凄い」と言う。一緒に愉快に仕事し、遊んで、共に成長できる仲間がいる。これこそが河和田が人を惹きつける秘密だろう。

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最後に、「地元の職人たちと移住者の間にある好感情」というのが、私が観察した三つ目の特徴だ。
私たちを工房に案内してくれた森一貴さんのように、いつも工房の職人たちと対話しながら工芸イベント「RENEW」は発展してきた。この数日、私たちと一緒に働いたデザイナー室谷ちゃんも、微住の担当としての仕事の他に、暇を見つけては蒔絵職人の奥さんと展覧会のデザイン案の構想を練っていた。
地元の人と移住者たちは密接にやり取りし、互いに刺激しあい、高め合っていて、快適な移住環境を作り上げ、ウチとソトの境界線を消滅させ、一緒になって理想の河和田を作っている。
これこそが、河和田特有の魅力なのかもしれない!


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