簡単に美術品画像のライセンスを確認する方法
前回、美術の著作権を詳しく解説する記事を書いたのですが、これを一回読んで、さぁこれであなたは自由だ!法律の範囲を最大限活用して美術品を利用しよう!と言われても、内容が難しかったかもしれないと思ったので、簡単にライセンスを確認する方法を紹介しようと思います。
とはいえ、一番確実なのは、著作権保護期間の計算ができるようになることなのは間違いないので、最初は大変かもしれませんが慣れるまで練習したほうがいいと思います。慣れてくれば、作家の没年を見るだけで作品を利用できるか一瞬でわかるようになりますよ。
それでも、その計算がほんとうに合っているかどうか、不安になる気持ちもわかります。とくに商用としてグッズ化して販売も考えている場合、確認はしっかりする必要がありますからね。
ということで、ライセンスがどうなっているのか確認する方法として、一番いいのは、Wikipediaを見ることです。
例えば、画家の村上松園と藤田嗣治の記事を見比べてみましょう。
村上松園は1949年没のため、著作権保護期間は満了しています。なので、記事にも作品の画像が使われています。
一方、藤田嗣治は1968年没のため、ギリギリで著作権保護期間が延長になっており、作品の画像をフリーで使うことはできません。なので、記事でも、著作権フリーになっている写真資料ばかりが使われているのがわかります。
Wikipedia で使われている画像は、基本的に著作権が切れているもの、もしくは権利者によって部分的に利用が許可された画像だけになります。
権利者によって部分的に利用が許可されている場合、商用では利用できない場合があります。
そこまでちゃんと確認したいときは、画像ファイルがアップロードされているWikimedia Commons の画像詳細ページをみるといいでしょう。
上村松園の代表作のひとつ《花がたみ》の詳細ページをみてみます。
このように、パブリックドメインであるとライセンスの表記がしてあります。
ただし、サイトの性質上、有志によって投稿やファイルのアップロードがなされているため、ライセンスの表記が正確でない場合があります。信頼性を評価する上で、その画像がWikipediaのいろんな記事に使われているかどうか、同じ作家の画像ファイルではどういう表記になっているか、なども確認するようにしてください。
あと、やっぱり自分で念入りに計算したり、私が書いた前回の記事をよく読んで、自信をもって使ってください。
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