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音大と音楽院の学費を比較したよ #自分への取材手帳 #お金のこと

「あれ気になるけどお金がかかりそうだからな~」と思ってためらってしまうことは、イメージではなく実際の額を見て考えたほうがいいのではないでしょうか、という話をします。

今月は授業料の支払いをしました。支払いってどきどきしますよね。授業料みたいに、金額の高いものだと特に。でも、案外安いのです。

留学ってお金かかりそうですか?

今日は具体的な金額を書いてみましょう。単位がユーロで分かりにくいので、日本円換算を併記しますが、€1=¥133で計算します。

わたしの通っている音楽院の授業料は、年額1000ユーロ(133,000円)です。
課程によって値段が違います。わたしの課程は第三課程で、この上の第四課程も同じ値段です。これが一番高い値段です。

学校のある町に住んでいる人は半額になったり、色々な割引があります。わたしは学校の近くには住んでいないのですが、今年は履修する授業の関係で割引がありました。今年実際に払った額は、この3割程度です。(この割引の仕組みは理解していないので割愛します。すみません)

学校で払うお金はこの授業料に加えて、社会保障の保険料217ユーロ(28,861円)のみです。もうちょっと付け足すと、去年は入試のための受験料が30ユーロ(3990円)かかりました。今年は持ち上がりなのでかかっていません。

比較の対象がないと安いと言い切れないのですが、ちょっと極端な例として、私の通っていた私立の音楽大学と比べてみましょう。

私の通っていた大学の学費は年額1,800,000円でした。初年度はこれに加えて入学金200,000円もあります。この大学は専攻によって学費の値段が違い、この値段が一番高い値段です。なのでもともとの値段が少し安い人もいます。
それから、わたしは諸々の理由で入学金免除になっていたり、それ以外でも、特待生になると授業料が安くなったりしますよね。そういうものは限られた枠しかありませんが、そうは言えど、いろいろあります。加えて、もういくらだったか覚えていないけれど、入学試験の受験料もあります。

どうでしょう。学費だけ見ると、私の通っている音楽院は、私の通っていた音大の10分の1程度です。これはちょっと極端な例です。同じ芸術系の大学でも、国公立の大学だと、もうすこし安いはずです。狭き門ですけどね。

違い

ちなみに。授業数は明らかに音楽大学の方が多いです。実際のわたしの時間割で比較してみましょう。

こちらは音楽院2年目のわたしの時間割表。グーグルカレンダーです。

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こちらは音楽大学2年生だったわたしの、時間割表です。
(なぜ横書きかというと、この頃はまだ手書きの履修登録で、用紙に書く前の下書きとしてこの表を作ったから、だと思います)

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音楽大学の授業は多くて、音楽院は授業が少ないですよね。

それもそのはず。音楽院で撮られる資格は、DEMという、フランス国内で通用する資格だけです。大卒や院卒の資格と同程度の資格を取ることはできません。
それに対して、大学では学士の資格が得られて、教員免許のように専門の資格を取ることも可能です。また、卒業するために、一般教養の授業も履修しなければいけません。

となると、学費が違うのは当然のことかもしれません。

ちゃんと自分に合ってる?

音楽大学を出る一番の利点、ってたぶん、習いたい先生に習えることと、音大卒という学歴、だと思います。

わたしは音楽大学を出てからフランスに来ているので、そこで得たこと学んだことや、良き出会いに恵まれ、良い経験を沢山させていただいたことは、否定できません。なんとか卒業できたので、一応大卒の資格もあるし。

が!
場合によっては、別に音楽大学を出なくてもいいのでは、と思います。
音大に通っていると、学内の演奏会、オーディションなどなど、準備することがいろいろあります。そこで得るしがらみもまた、多くありませんか。なにより、お金がかかるし。

大学でのやり方が合わなかったがために、20歳前後の貴重な期間を棒に振るのは、すごく勿体ないです。いま私は大学生の時に身に着けた諸々の観念によって苦しめられているので、そう思います。

自分がやりたいことと、かかるコストを考えて、ベストな選択をするために、選択肢をぜひ増やしてみてほしいです。

イメージを取り除いて、具体的に考える

とはいえ、留学をするにはいろいろな準備が必要です。語学をはじめ、きちんとした準備をするためには相当なコストがかかります。こうやって学費の安さだけを提示して、留学が優れているかのように書くのはちょっとよくないな、と思います。

自分の得たいことをしっかり見つめたうえで、よい先生に習うことに重きが置かれていて、他を切り捨ててもよいのなら。大学や大学院の代わりにフランスに来る、という選択肢は、絶対にアリだと思います。

そのうえで、もしも、「お金かかりそうだな~」というイメージが枷になっているのなら、実際の金額を調べることで、「ほかの選択肢とそれほど変わらないかも?」というものに、変わっていくのではないでしょうか。

イメージを取り除いて、具体的に考えるということは、学校を選ぶという場面以外にも、同じことが言えると思います。特にお金ははっきりとした数字が出せるものなので、ぜひ、イメージを具体的なものに、変えていきませんか。

このコラムは、自分への取材手帳リレーとしてお届けしています。今週のテーマは、「お金のこと」です。

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