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アサヒビール・ビアリーIPA

アサヒビールから出たノンアルコールビール「ビアリー」の限定銘柄。
スタイルは堂々のIPA。

今までに飲んだノンアルビールの中でベスト1
そして、今年飲んだビールの中でベスト1
ノンアルコール(微アルコール)という下駄を外して、普通のビールやクラフトビールと同じステージで選択肢に入ってくる怪物的曲者ビール。

まぁバリバリに苦いIPAなので万人向けでは無いし、ノンアルジャンルとして見ると欠点も多い。0.5%の微アルで、カロリーも100ml中33kcalのノンカロリーじゃないですからね。

いやいや水鏡さん。普段クラフトビールとかベルビー大好きみたいなこと言ってる人が、大手ビールに魂売っちゃうんですか?みたいに思われるかもしれないけど、ジッサイ=ウマイんだからしょうがない。
というか、これ大手にしか作れないビールじゃないかな…ていうか大手の中でもアサヒビールにしか作れないと思う。

でも美味いのだ……。思わず箱買いしちゃったのだ……。


ビアリーIPAのお味

・ハードヒットしてくるホップ

最初の飲み口は強烈かつ鮮やかなホップの香りと苦みと、適度な飲みごたえの2段構成。微アルの割に飲みごたえあるのが意外すぎるほどに以外。

ホップとにかく強い
ビッシビシくるやんかぁ、君ぃ。
フルコンタクト空手の打撃くらいのハードヒットである。

香りとフレーバーとしては柑橘系だと思うんだけど、なんの柑橘かと言われるとちょっと例えにくい。
まぁ苦味と合わさってオレンジビターズっぽいので柑橘系。
癖のある青いハーブ的な風味もそれなりに強く、この癖は何に例えたらいいのか…ミントみたいなスッキリ系でもなく少し荒々しく……ふきのとう???東北で言う所のバッケ的な。

ノンアルビールだと春菊や炒めすぎた青菜みたいな嫌味が感じられることも多いのだが、ビアリーIPAは風味を組み合わせて、嫌みの手前で抑えきってることに技術力を感じる。てか美味い。ありがたい。

そしてIPAらしく苦い。かなり苦い。そうとう苦い
めっちゃしっかりしてる。嫌味じゃないけど苦い。
昨今のヘイジーなIPAブームはどこ吹く風の苦さ。
ちょっとトニックウォーターとかカンパリ的な苦さにも近いかな?
苦味料的な風味と考えると、ややケミカルな印象…にもあるようなないような。

・案外しっかりしてて甘いボディ

それとボディ。ボディね。飲みごたえね。
パッと飲むと麦芽と違う気もするけど、なんかこう──味があって飲みごたえがあるのだ。

ていうか、なんか甘いね。糖?とも少し違う気もするけど甘い。
コーン?コーンかな?コーンでもないかな?
あと酸味。これも少し強いかな?

この飲みごたえを作ってるのは、カロリーの数値に出てる「甘さ」と、0.5%分のアルコールだと思う。
と言ってもそこまで強い飲みごたえでもない。セッションIPAほどにはスカスカしないけど、昔ながらのIPAと比べるとやや軽いくらいなので適度に飲みやすい。適度にってのは大事。

・全体として

そんなわけで鮮烈なホップとそれを支えるボディという構図。
それがセッションIPAとIPAの中間くらいに座ってるのが面白い。

ホップの強い風味と苦みが、ノンアルコールにありがちな嫌味を隠して味を調えているから、そういう意味では万人向けじゃあない
ホップ苦手な人、苦みが嫌いな人には辛いでしょう。

さてそれで、改めて全体を丁寧に見ながら飲むと、ほんとに面白いビールなのだ。

まずは甘さが面白い。甘ったるいわけではもちろん無いけど、全体の風味の中で「ちょっとした甘さ」が明確に存在してる。

次に面白いと思ったのが、飲みやすさと飲みごたえのバランス。
ホップが強い銘柄──特にセッションIPAは飲んでいるとホップ風味で飽和してくることが多々あるのだが、ビアリーIPAはその手前くらいで収まってる。
1口2口飲んでちょっと休めば元通り。
案外しっかり目のボディと適度な飲みやすさのおかげですかね。
1本飽きずに飲めるし、1本飲んで結構満足するってのも有難い。


・なんとなくスーパードライ味を感じる

さてさて。たいていのノンアルコールビールは、美味しくするために……あるいはビールテイストにするために、足し算と引き算を繰り返して味を作ってる。ビアリーIPAもまたしかり。

その目でみると、なんだか構成がスーパードライに似ておる。
パッと飲んだ感じでは麦芽とわかりにくいけど、案外しっかりしたボディ。
酸味がありつつスッキリした飲みやすさ。主に米由来とかね。

麦芽(国内製造)、スターチ、麦芽エキス、ホップ、大麦、コーン、米/炭酸、香料、苦味料

ビアリーIPA

麦芽(外国製造又は国内製造(5%未満))、ホップ、米、コーン、スターチ

スーパードライ

言うまでもなく、アサヒスーパードライってアサヒビールの看板商品で全世界的にも販売されてる銘柄で、その味を作るため尋常じゃないレベルで技術研究されてるのも確定的に明らか。

例えば、今は終売になった「スーパードライ ドライブラック」は、しっかりしたロースト麦芽の黒さがありつつも、紛れもなくスーパードライの味という変態銘柄だったりしたこともあるわけで。

スーパードライの味しか作れないわけじゃなく、アサヒビールは麦芽と米とコーンを使い味を構成する能力に長けていると考えれば、ビアリーの足し算引き算の巧みさも納得できる気がする。俺の勝手な想像だけど。

そんなこんなでベタ褒めしたビアリーIPA。
万人向けじゃないけど俺はめちゃめちゃ気に入ったので、逆につらい。
限定銘柄なのが辛い!!
俺の愛飲ビールにするから、レギュラーにしてくれんか!アルコール度数0.5%で完全0.0%じゃなかったり、だから普通のビールよりやや少ない程度。


アサヒビール・ビアリーIPA
スタイル:ノン・アルコールビール
製造会社:アサヒビール
原料:麦芽(国内製造)、スターチ、麦芽エキス、ホップ、大麦、コーン、米/炭酸、香料、苦味料


■「炭水化物」というクリティカルなご指摘をいただいた

な~んて書いてる途中でツイッターにザックリした内容を放流してたり。

アサヒビールにはビールの技術的なデータが膨大に蓄積されていて、望み通りの味を作る能力に物凄い長けてるんじゃないかな?
例えばスーパードライブラックとかいうスーパードライでありつつローストしてる化け物みたいなビールとか(俺は味が好きだとは言ってない)

特にほら、米、コーン、スターチを使ってお望みの味を作るのとかは、アサヒビールは得意分野だと思うし、小規模醸造所では難しい味の作り方だと思うんですよね。そういえばビアリーIPAもスードラに似たちょっと金属的な感じする……しない?

と思って書きました。誰にも1ミリも伝わらなかったけど。
書き方が雑なんだよな!!呟きだから仕方ないっていうても、もっと頑張りましょう俺君。

……そんな俺の呟きに文筆家の長谷川小次郎さんから、凄いクリティカルなご指摘がありました。

あ!炭水化物!?糖質ぅ!?ビアリーIPAの飲みごたえはそれ!?

ビアリーIPA(栄養成分表示100mlあたり)
炭水化物:7.4g
糖質:7.4g

ほげええ!
スーパードライが3.0gだから倍以上やんけ!
炭水化物モンスターだこのビール!

ダイエット目的で飲めないやつだこれ……。
あぶねえ。


なおこの長谷川さん。国際的なビアジャッジ、提灯記事を書かない、文章力モリモリ、専門的な話もわかりやすい、情報精度と信用度満点……というライターさんなので全幅の信頼を寄せているのだ。

長谷川さんが書いたこの本もオススメ。
この手のビール図鑑系本としてブッチギリで群を抜いてるのだ。

もちろん、長谷川さんとは取引関係にありません。
良い本を知ってみんなで幸せになろうよ。