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エッセイ509. 「寅に翼」のタイトルバック

「寅に翼」のタイトルバックの素晴らしいイラスト。
これは人に教えてもらいましたが、実際に踊っている人たちをロトスコープという手法でイラスト動画にしたものだそうです。
作者はシシヤマザキさんという方。
楽曲の米津玄師さんの「さよーならまたあした」とともに、目まぐるしく変わるその画面についていこうとしながら、毎朝の気分が高揚する、素晴らしい作品になっていると思います。

音楽やシシヤマザキさんについては、いろいろな方が詳しく書いていらっしゃるので自分はやめておいて、純粋に自分の目から取り入れて、心が喜んでいることを書かせていただきますね。


タイトルバックの冒頭で、新聞を読んでいる女性と、河原で焼き鳥を包んでいた、たれのついた新聞の「新憲法」を読みつつ泣いている寅子が重なります。

リヤカーを引く女性は誰なのか。
第一話で橋の下で、すがれた様子で座っていた人なのだと思いますが、現時点でまだその伏線は解かれていませんね。

法服の靴の足元が、戦後に寅子がよく着ていた鬱金色の着物を仕立て直したモンペになる。その足元は、しっかり歩いていけそうなローヒールの靴で、決して強制されたハイヒールではない。
そして、その次に現れるのは、健康そうな素足です。
いいなぁ・・。


やつれたような後毛を見せ、ショールを羽織って背を丸めて何かを見つめている寅子の目。
これからの難路を予想させ、気持ちがざわざわします。

花を空中に散らし、気持ちよく、水を高々と振り撒く寅子。
もうそこにドラマを感じ、第一話目の始まる前からわくわくしたのでした。


群舞では、明治大正昭和令和までの、女性の職業や身分?によるファッションが網羅されていますね。

寅子と手を繋いで輪を描いて踊るのは、

大正時代のカフェ(カフエェと言ったらしいです)の女給さん、

戦中の女性代表として、
1953年公開の映画「君の名は」で大流行した真知子巻き、

おさげのセーラー服の女性は寅子自身?

ベルハットに断髪という大正時代のモガ(モダンガール)

なのかなと思いながら見ていました。

最後に実写になると、一層よくわかります。

以下は間違っているかもしれませんが、
左から、こんな女性たちが並んで踊ります。

長尺の羽織で縞のお召の女性は、寅子の母、はるの世代
女性の花形職業だったバスガール(観光バスのバスガイドさんではなく)
きびきびとよく働きそうな白衣のパンツスーツは、現代の看護師さんか
セーラー服にお下げの、多分昭和の女子高生
私も着ていました、制服姿は昭和のO Lかな
先ほどの大正時代のモガ
延々と着続けられる、就活スーツ姿は、たぶん昭和平成令和の大学生
大正時代の、電髪にエプロン、銘仙の着物らしきカフェの女給さん
飛白(かすり)の着物で作ったモンペの上下は戦中の人
いきなりミニスカ女子
三角巾にエプロンの働く女性

職業選択も今に比べればはるかに狭かった。

看護婦(看護師ではなく)、電話交換手、店員、教師。
バスガールやデパートのエレベーターガールは花形だったと読んだことがあります。

女給は、着物にエプロン。
このタイトルバックでは電髪の耳隠しなので、大正時代の人かもしれません。
最初は文人や芸術家のサロン的だったカフェが、大衆化するとともに、女給さんのサービスを売りにするようになったそうで、位置づけ的には今のバーのホステスさんのような感じだったのだそうです。
前に、劇中劇で、母親はるが演じた「毒婦」が、確かカフェの女給さんだったと思います。

抑圧されたり、人に生き方を決められたり、
反抗して飛び出す人も、飛び出してから挫折した人もいたでしょう。
このタイトルバックで元気に踊っている女性たちを見ると、
膨大な人数の女性たちが歩いてきたその先に
自分もいさせてもらっているという実感が強く湧くのです。



左上より時計回りに・カフエの女給・モダンガール(モガ)
「君の名は」真知子と春樹・映画にもなった花形職業バスガール

真知子巻き
https://nostalgic-encyclopedia.com/1950s/matiko_maki/


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