見出し画像

エッセイ290.裏道が好きになる(1)

今年、次女と自分達と、2回にわたって賃貸を探して、調布市近辺を車で走ることが続きました。
不動産会社の方が運転してくださったときは、すごく狭い駐車場で擦りそうになりました。

夫が自分で運転するときは、私がいきなり話しかけると、

ちょっ!
後にして、今集中したいから!

と言われます。

見ていると、大人の人で自転車に乗っている人がとても多いです。
子供は、すごく小さい子もふらふらしながら、お母さんと一緒に乗っています。
怖いです。

私は一応、免許を持っていることは持っていて、狭い道の運転経験はありますが、そんなのは保育園と幼稚園の送迎で終わっているので、もう全く忘れています。

どう見ても一通というような幅を、威風堂々と対向車がやってきますし、なんなら小田急バス、関東バスなども、威風堂々とやってきます。

一通と思っていたら両通だったということもあり、助手席に座っているだけなのに、焦ったりしています。

そして、よく夫や娘と

「この道を名古屋の人が走ったら、発狂するよね」

と言い合っています。

次女は、大学在学中に自動車免許を取りました。
父親の会社が休みで、家の車が使える時は、バイトにもどんどん運転して行っていたし、免許を取ってすぐ、高速を友達と交代で運転して、とんでもない遠くまで行ったりもしていました。
ところが東京では乗るチャンスはないし、なにより怖いのでレンタカーさえ使ったことがなく、運転ができなくなったようです。

父親にこの前、

運転する?

と訊かれて、「無理っ!」と即答していました。

私の住まいからほど近く、平行した2本のバス路線のある通りがあり、
2つの駅にバス停3、4つぐらいでいくことができます。
そのくらいならと思って、愛車ショコラくん2号(電チャリ)で駅に行った最初の日は、とても怖かったです。

バス通りには歩道がなくて、ガードレールや白線で車道と区別してあります。
その内側は歩行者の人がやっと二人並んで歩ける幅で、自転車は走行してはいけません。
当然、車道を走ります。

自転車が車道を走るのは道路交通法で決まっているのですが、バスがすれ違えない狭さのこの車道を、後ろからの車に迫られながら走っていくのは、とてもスリルがあります。
普通の車もそうですが、バスが両側から近づいていくときは、剣豪のように間合いを図って、上手にその身をひねるようにしてすれ違います。

自転車に乗っている人は、老いも若きも、狭い「片側一車線」のその道路の上を走るのですが、多くの方は道路の真ん中を走っています。
私はそういうことはできません。
ガードレールや歩道ギリギリに擦り寄って、

(お願いですから轢かないで)

と祈りながら走っています。

同じ車道を走って来る車は、自転車の人に対してきちんと「側方通過」をします。教習所でうるさく言われました。
こちらでは、ちゃんとそれをしないと、
車は歩行者や自転車の人をすりつぶしてしまうでしょう。

私はこれまでの12年近く、車道も広ければ歩道も広い名古屋が当たり前になっていました。そして、行った先には必ず広い駐車場と駐輪場があります。
なので、今苦労しています。
店の前に駐輪禁止のところが多いからです。

車道を走っていて、後ろからバスが来るときはすぐわかります。
バスから、録音した声で

バスが来ます
バスが来ます
バスが来ます

と、伝えてくれるからです。

(え、来るの?)

と、びびっているうちに、バスはどんどん近寄ってきて、

バスが来ます
バスが来ます

という声がだんだん大きくなっていくのです。

(来ますと言われても・・・)

泣きたい気持ちになります。

怖がりの私はそんなとき、横断歩道とか、横道までやっと来て、わざわざそこで自転を降りて、引っ張って、歩道の中に避難したりするのです。

昔は、たとえ短期間とはいえ、こんな おそぎゃーところを、
よくまあ赤ん坊や幼児を乗せて、走っていたものだ・・
若いって恐ろしい。

夫に先導されて自転車で駅まで行った最初の日は、夫を逆恨みしました。

なんでこんなに危ないバス道を、
自転車の下手な私を引っ張って行ったの?
裏道を通らないと危ないじゃないの。

「君こそ、裏道を行きましょう〜、って言って、
二人で行けばよかったじゃん」

言い返されました。

ふむ。
その通りです。

そのときから私の裏道探索が始まりました。

続きます。


この写真の通りは、さすがに一通です。すれ違えない2点間がルートであるため、必然的に「循環スタイル」になっているバスがあります。そしてみんな、バスのサイズも普通よりずっと小さいです。


サポートしていただけたら、踊りながら喜びます。どうぞよろしくお願いいたします。